海に浮かぶ月のはしっこ

映画や文学作品、神話関連その他の事をおぼえがきしますよ

【雑記/神話/読書/映画】私がゴシック文学にいたるまでの道程

私は別にマッドサイエンティストが好きなわけではない…はずだった、という話。
このブログ、読書記録をつけると言いながら専ら映画とゴシック文学歴代マッドサイエンティストの考察に使ってしまっている気がするのだけど、まぁ好きにやることにします(-ω-;)

私は元々マッドサイエンティストが好きだったわけではない。様々な連鎖の結果、ヴィクターくんに行きあたったに過ぎないのです。
元々のメインジャンルはギリシャ神話ですが、じゃぁどこから始まったのだろう。というまとめ。

マッドサイエンティスト沼への道のり

最初の地点は…どこだろう?
マッドサイエンティスト連鎖」で言うのならば、「モンスターVSエイリアン」からかな。

モンスターVSエイリアン:コックローチ博士

大学卒業して間も無く、パワハラや色々な不幸が重なって毎日が辛かった時に救ってくれた映画。
簡単に言うと「1950年代ホラー映画のモンスター」版アベンジャーズって感じです。でもコメディに隠れて「女性の自律」や「マイノリティ」等のテーマも含んでいるのが私の心にグッと来たというか。

この映画で一番お気に入りのキャラクターはコックローチ博士というのですが、彼は元人間です。
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発明を披露する時の笑い方は1931年版の「フランケンシュタイン」のヘンリー・フランケンシュタインです。
(ヴィクターくんはそんな笑い方しない!(*>_<*))
でも振る舞いがジェントルマンとしか言いようがない、さり気ない気遣いが最高に紳士的なキャラクター。
彼のモデルは1958年の映画「蝿男の恐怖」のアンドレ・ドランブルといいます。

蝿男の恐怖:アンドレ・ドランブル

(えーー…プレミアついてる……)
これが個人的にはクリティカルヒットだった。
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幼少期にTV放送で「ザ・フライ2」を観て怖かったのを覚えていたため、覚悟を決めて観たというのに怖さで言えばだいぶ拍子抜けでした。その代わり、これは切ない夫婦愛の物語でした。

今年60周年なので自分用にスマホカバー作っちゃうくらい好きな映画。

蠅男の逆襲:フィリップ・ドランブル

その後、蠅男シリーズにそのままハマり、主にアンドレさんの息子のフィリップくんが大好き。
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アンドレさんの息子のフィリップくんが主人公の2作目。フィリップくん卑屈可愛い。
マッドサイエンティストみの強い3作目。蠅男は出ません。

ザ・フライザ・フライ2:セス・ブランドル、マーティン・ブランドル

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ザ・フライ2/二世誕生 [DVD]

ザ・フライ2/二世誕生 [DVD]

蝿男シリーズは全部で原作+5作+アメコミ1あります。噂によると蠅オペラがあるとか…?
The Fly: Outbreak

The Fly: Outbreak

蠅:ロバート・ブラウニング

原作がジョルジュ・ランジュランの「蠅」という作品で、それは当ブログでも触れた事がある。
snow-moonsea.hatenablog.jp
でもやっぱりアンドレさんの方が好きだな~と思ってしまう…。

そのあと、一旦失楽園再加熱を挿んでいる。

失楽園:ルシファー&ベルゼブブ

彼らはマッドサイエンティストではなくて堕天使です…

失楽園 上 (岩波文庫 赤 206-2)

失楽園 上 (岩波文庫 赤 206-2)

失楽園 下 (岩波文庫 赤 206-3)

失楽園 下 (岩波文庫 赤 206-3)

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蠅男の逆襲の蠅男化したフィリップくんの作画資料にハエのミニチュアを買った時、そのミニチュアをふざけて「ブブ様」と読んでいた際、「失楽園」のベルゼブブがどんなキャラクターだったかうろ覚えだったので調べ始めたのが再加熱のきっかけ。なので一応、連鎖には入ります。

ベルゼブブは「蝿の王」という意味の言葉だけど元々の言葉はバアル・ゼブル(「高き館の主」とか「崇高なるバアル」とかそんな意味)。元・ウガリット神話の神様です。
旧約聖書にはその痕跡がまだ残っていて「エクロンの神バアルゼブブ」と称されているけど語感が似ている事から名前を「蝿の王」にされ、19世紀の「地獄の辞典」の挿絵でハエの姿で描かれ…

地獄の辞典 (講談社プラスアルファ文庫)

地獄の辞典 (講談社プラスアルファ文庫)

失楽園」ではルシファーの一番の腹心というポジションだけど、ルシファーに寝てるところを叩き起こされたりして散々な目に遭っているので、「なんかこの主従楽しい」という感覚からずぶずぶと再加熱を。

ここから急加速!

映画周辺をうろうろしていた私がまた神話沼に戻ってきたところで、FGOのキャンペーンが始まり、周囲の神話沼の人たちがFGOを始めたので私も便乗する事になりました。

FGO:ヘンリー・ジキル

正直なところ、FGOスマホゲー)に私はあまり期待してなかった。
元々、私の好きなキャラの条件って凄く狭い。「不可抗力で変身・異形化する紳士が好き」って、誰がそんなニッチな望みを叶えてくれると言うのでしょうか。
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……叶えてくれたんだけどね。FGO手広いなぁ…。

彼へのハマり方は言葉にするのはあまりに恥ずかしいけど、この記事でも読んで何となく察して欲しい…。
snow-moonsea.hatenablog.jp

そしてゴシック文学沼へ

あまり派生キャラが好きすぎる場合は原作を掘るとイメージギャップで頭が痛くなるのでそういう事はしない。けれど、FGOの原作の要素の拾い方が独特で、FGOだけやってても謎が多いので…読むしかないのか→読んだ→拒絶→一周回って本当に沼にハマってしまった。

ただ、映画沼ほどではないにしても、神話沼よりは色々な意味で多少気が楽な面が多いのがホッとします。

ジキル博士とハイド氏:ヘンリー・ジキル&ガブリエル・ジョン・アタスン

初回~2回目はジキルおじさんの口調や無責任さにイライラしたものですが、「いや…これは好きかも」と思ったのは3周目くらいです。イライラしたのは原作と現代のイメージの差異でジキルおじさんが聖人君子だと思っていたのが原因。FGOのジキルさんは聖人君子だったもん…)でも先入観を抜くと、彼は人に良く見られたいだけの普通の人でした(偽善者ともいう)。

でもそう理解するまでに何周かしたので、そのうち「これはジキルおじさんとアタスンおじ様のブロマンス」だと思うようになり、それ以降ずぶずぶハマりました。
snow-moonsea.hatenablog.jp
でも未だにジキルおじさんの遺書、何言ってるんだかわからない。マッドサイエンティストからしょうがない、と言えば確かにそう…かも。
友人は「SUN値チェックしたい」と言っていました。

ジキルおじさん自体にはすんなりハマらなかったのは「不可抗力で変身・異形化する紳士が好き」のうち「不可抗力」の部分を感じにくかったからだと思うのです。

フランケンシュタイン:ヴィクター・フランケンシュタイン

彼にハマるのは早かった。人造人間を作って逃げ出したあたりで「好き!!」となってしまったのです。
snow-moonsea.hatenablog.jp
卑屈で豆腐メンタルな大学生のくせに、彼が「マッドサイエンティストの祖」なのです。
でも私の抱くマッドサイエンティストのイメージとはだいぶかけ離れていて。その事が、「マッドサイエンティストを追いかければ容易くお気に入りを見つけることが出来るのでは?」と思うに至った原因。

彼と人造人間の関係は分かり合えない親子のようで、なんとなく親近感を得てしまいます。
変身及び異形になるキャラクターではないのに彼が好きなのは、単純に卑屈なキャラクターが次点で好きだから。そして、「現在の姿・イメージが本来の姿から悪いイメージに歪められてしまっている」事も、一種の不可抗力の異形化と考えられるのです。

透明人間:グリフィン

そこで白羽の矢が立ったのがハーバート・ジョージ・ウェルズの「透明人間」。
でもグリフィンもFGOをプレイ中に彼の存在を知ったので、そこからの派生力が強い気がする。「新宿」のステージで「ウェルズの描いた科学者」「透明」というキーワードから探し当てました。
snow-moonsea.hatenablog.jp
グリフィンはジキルおじさんの派生キャラでもあるようです。
まぁ、確かに
・医学と科学に精通し、飲み薬によって変身を遂げるマッドサイエンティスト
・「正体がわからなければどんな事をしてもいい」と悪事を働く
・変身が仇となって非業の死を遂げる
という在り方は共通していると思います。

変身モノとしての比較はまた改めてやりたいところ。

まとめ

ここまで書いて何がわかった、と言う事もないのですが、ゴシック文学沼に落ちたのも全部蠅男のせいな気がしてきました。やっぱり「不可抗力の変身・異形化する紳士が好き」というニッチな性癖のせいで色々振り回されているような気します。