私の推しの名前は、ヴィクター・フランケンシュタイン。
メアリー・シェリー著『フランケンシュタイン』の主人公です。
漫画でもアニメでもゲームですらなく、英文学に推しを持つ私はいつも砂漠で自給自足をしている気分です_(:3 」∠)_
友達からは「自給自足無人島生活」とか「ポツ◯と一軒家」とか言われてますが、そんな気持ちでせっせとグッズを自作したりしながら自分の飢えを凌いでいます。
オタクは供給がないと死んでしまうので、ないなら自分で供給するしかないのです。
でもそれは一次創作勢も同じこと。自分で生み出した作品は自分からしか供給できないのです。
一次創作をやっている大阪住みの友達が、キャラカクテルをオーダー出来るお店「BARBluewood」さんに誘ってくれました╰(*´︶`*)╯♡
ヴィクターくんとは……
検索から来た人用に、恒例ですが「ヴィクター・フランケンシュタインとは何者か」説明しておこうと思います(*'ω'*)
ヴィクターくんはメアリー・シェリー著『フランケンシュタイン』の主人公です。
現代では原作のイメージが上書きされてしまっています。
「フランケンシュタイン」と聞いて、ハロウィンの「つぎはぎだらけで緑の肌のボルトが刺さっている怪物」…もしくは「雷をバックに高笑いするマッドなやばい博士」を連想する人も多いと思う。でもそれは原作から着想を得て作られたユニバーサルスタジオの映画『フランケンシュタイン』(1931年)のイメージであり、原作は全然違うのです(´-ω-`)
恐らく『フランケンシュタイン』のあらすじも、「マッドなヤバい博士が死体を繋ぎ合わせてつぎはぎだらけの怪物を作る」が概要だと思っている人が多いのでは?いやいや、そもそも「フランケンシュタイン」を怪物の名前だと刷り込まれてる人の方が多いのでは?…という認識ですがいかがでしょう…?
私が推しているヴィクターくんは
・スイスのジュネーヴ育ちのお坊ちゃん
・14歳の時に錬金術にどハマりして賢者の石や悪魔召喚に憧れる(やってみたけど当然失敗)
・17歳の時に親に無理矢理ドイツへ留学させられる(その道中、「知らない人しかいない土地に1人で行くなんてヤダ…」とメソメソ泣く)
・大学入学早々、錬金術に憧れていた事を教授に「ハァ?どこの田舎から来たのかね?」と馬鹿にされて凹む
・とある教授に出会い、現代科学を教わった事で科学者になる事を志す
・生命の神秘に興味を持ち、19歳の時には命なきものに命を吹き込む技術を編み出し、学生寮に死体置き場から死体を持ち込み、1人で人造人間の創造を始める
・21歳の時に人造人間が完成するが、動き出した姿を見て恐ろしくなり、ベッドに逃げ込んでブルブル震える(その隙に人造人間は逃亡)
…という、原作を読むと「世界一有名なマッドサイエンティスト」を注文したはずなのに「マッドサイエンティストと呼ぶにはあまりにもひ弱なヘタレ大学生」をお出しされるという不思議な現象が発生します。
ヘタレ可愛い!!\(^o^)/
しかもその後、彼の人生は人造人間によって大きく狂っていきます。創造主と被創造物であり、擬似父子とも宿敵とも呼べる、この複雑な関係性の中、ひ弱な天才大学生は一体どうなってしまうのか…。
エモいストーリーがお好きな方は原作も是非是非。
補足しておくと、原作の人造人間は名前がなくて、ミイラのような土気色の肌に黒髪、白い歯、黄色の目の身長2.4mの大男で、非常に賢く、孤独で、愛を求める感情豊かな…復讐鬼。
ほら、ハロウィンや映画のイメージと大分違うでしょ?
FGOなら原作版フランケンシュタインの怪物のクラスはアヴェンジャーだと思う。
(ヴィクターくんはサポート系キャスター?前線で戦えるタイプでは絶対ないな…)
一応ジャンルはホラー小説ということになっているので、ついでに怖い話をしておくと、メアリー・シェリー先生が『フランケンシュタイン』を書いたのは18〜19歳の時とされている。
作者が天才過ぎて頭がバグる…_(:3」z)_
(※執筆の経緯は、通称「ディオダディ荘の怪奇談義」と呼ばれる出来事で知られている)
オーダーシートを書く
「BAR Bluewood」さんでキャラカクテルをお願いする場合、オーダーシートを記入します。
友人があらかじめ教えてくれていましたが、あまりたくさんは書けないので厳選して書く必要がある。
項目は「キャラ名」「ジャンル・作品名」「性別・年齢」「身長・体格」「イメージカラー」「イメージモチーフ」「性格」「好きなところ」。
結構細かいけど、こういうの書くの楽しい!
でも簡潔に言葉にするのは結構難しい。
キャラ名/ヴィクター・フランケンシュタイン
作品名/メアリー・シェリー著『フランケンシュタイン;あるいは現代のプロメテウス』(1818年)
性別・年齢/男性、21〜24歳(※享年24歳)
ここまではスラスラ書けるけど、ここから先は少し頭を使う必要があります(>_<)
身長・体格/平均より少し小柄、痩せている
原作ではあまりヴィクターくんの容姿の描写はありません。潤んだ美しい目がキラキラと光るとか、しなやかで細い指先、とか……ヴィクターくんの命の恩人であり、彼を看取ったウォルトン隊長がそう言っていました。あとは本人が「ガリガリに痩せた」…とか言ってますが。
これは解釈なのですが、ヴィクターくんは本文の中で食事や睡眠すら忘れる程に研究に没頭していました(結果「ガリガリに痩せてしまった」と書かれている)。また、ストレスキャパが小さく、よく気絶もする。それに、周りの目を気にするところがあり、周囲に気を遣ってばかりで自分の本心は押し殺してしまうところもあります。
不摂生な生活、精神的な抑圧…あまり身長高くなさそう、という解釈です。
具体的には当時の西洋人の平均身長から考えても170cmくらいなんじゃないかと勝手に思っていますね。……その身長で2.4mの人造人間に顔を覗き込まれたら、そりゃパニックにもなりますわ…(理由があるとはいえ、デカく創ったのが悪いのだが)。
イメージカラー/プルシアンブルー
これは譲れないやつ。
原作の本文には何処にも書かれていない事ですが…ヴィクターくんのモデルの一人と呼ばれている人にヨハン・コンラート・ディッペルという錬金術師がいます。フランケンシュタイン城という城に住んでいたらしい。
その人は動物の死骸から抽出した化合物によって青色の色素を生み出したとされているそうですが、その人が生み出した色素こそプルシアンブルーなのです。日本語では「紺青」と訳されています。
なので、私は「ヴィクターくんのイメージカラーはプルシアンブルー」と言っているわけですね(*'ω'*)
イメージモチーフ/日記、化学器具、シャベル
日記は作中のキーアイテムの一つです。ヴィクターの日記によって人造人間は創造主の名前を知り、自らが造られた存在であると知ってしまう。
化学器具はヴィクターくんが自然科学を学ぶ大学生である事に由来しますが、原作では人造人間が逃げ出した後に科学が怖くなって、化学器具を見る事すら嫌になっているシーンがありますよ!(可愛い)
ちなみに、chatVRMで私の創ったヴィクターくんの疑似人格に「ヴィクターくんのアトリビュート(※)は何にすればいいだろう?」と尋ねた時、「シャベルは違う」って言われて面白かったです笑
(※アトリビュート→美術用語。描かれる対象をその人だとわかるようにするための目印となる関連付けられた持ち物の事)
(↑ログがこれしか残ってませんでしたが…)
ヴィクターくん(AI)が否定している通り、シャベルは映画版から生じたイメージです。
「世界一有名なマッドサイエンティスト」であり「世界一有名な墓荒らし」にされてしまったわけですね(笑)まぁでも、わかりやすいので……。
原作では人造人間の材料は死体置き場や屠殺場から集めてきたらしいですよ(まぁ「墓荒らしよりはマシ」ってだけで、褒められた事ではないが…)
性格や好きな所は長くなるので割愛しますが、簡単に言うと…
・探求心旺盛、繊細で内気
・世界一有名なマッドサイエンティストというイメージとのギャップ
・抱え込むタイプなので、彼が天才だという事すら誰も知らない(全てを教えられたウォルトン隊長ですら、人造人間の姿を実際に見るまでは半信半疑だった)
・不憫で可哀想でヘタレ可愛い
といったところです。
(語り始めるときりがなくなるので…)
お出しされたカクテル
バーテンダーさんが試行錯誤してくださって、作っていただいたのがこちらです。
綺麗……!
「プルシアンブルー」なんて細かい色合い注文して申し訳なかった(が、前述の理由により譲る気はない)
シャベルのかかった部分の色合いが本当に美しいですよね……!!
・カラー/プルシアンブルー(リクエスト)
・グラス/「痩せている」のでスリム型のグラス
・米から作られたウォッカ「白 HAKU」/繊細で透明感のある味わい。内気で繊細な性格のイメージ。
・エルダーフラワーシロップ/エルダーフラワーの花言葉は「熱心」。眠る事や食事を摂ることさえ忘れてしまう程に研究に情熱を傾けたイメージ。
・クラッシュドアイス/時間が経つと溶けてカクテル自体が薄くなっていく。儚さ、誰も彼を天才とは知らないので徐々に忘れられていくイメージ。
・スプーン/シャベル。
なにそれ可愛い
でも、完成品を見た時に私は別の印象も持ちました。
黄色の果物(名前がわからないのですが…ドレンチェリー?)/ 人造人間の目(※原作では黄色が公式!)
クラッシュドアイス/北極の流氷
原作の冒頭と終盤の地は北極です。
ヴィクターくんは人造人間と最後の対決の為に北極まで追いかけていくのですが、氷が割れてそりを失ってしまい、ウォルトン隊長率いる北極探検隊に助けられました。これが冒頭。
そして終盤、ウォルトン隊長の見守る中、ヴィクターくんは志半ばで息を引き取ってしまいます。ヴィクターくんが亡くなった後、人造人間がウォルトン隊長の前に現れて憎しみ合っていたはずの創造主(ヴィクター)の死を嘆く。本当はお父さんに愛されたかったんだね。
そんなヴィクターくんの命日は9月11~12日。
奇しくも、「BAR Bluewood」さんに行った日は9月12日。
追悼じゃん……!!!(´;ω;`)
そういう意図があれば説明してくださると思うので、多分この果物とクラッシュドアイスは偶然だと思うのですが「ダブルミーニングで最高じゃん……!!!」と思いました(*'ω'*)+
あとこのシャベルスプーン、私も持ってる(笑)
(↑手作り推しぬい)
また、連れてきてくれた友人のカクテル(友人のオリジナルキャラクター)も第三者の立場ながら完成度が高くて興味深く説明を聞いていましたが、解釈が良い……!
どのように解釈してそれを選んだのかだけでも本当に面白くて興味深いので、これは友人が通うのもわかる気がします。私もまた行きたい!
味もアルコールの後にエルダーフラワーの可愛くて華やかな、スッキリした甘さが入って良かったです。氷のおかげで冷たくて、でも、少し薄まっていたので繊細な味わいを感じることが出来ました(*'ω'*)
考えてみたら、「私じゃない誰かが作るヴィクター・フランケンシュタインの何か」って今まででかなり経験が少ない。本当に珍しいのです。
ほら、『フランケンシュタイン』で何か、っていうと大概は「フランケンシュタインの怪物」イメージ(大概つぎはぎでボルト刺さってる)をお出しされるので…。
バーテンダーさんに「派生キャラで注文されたお客さんは今までにもいましたが、原典で注文された方は初めてです」と言われて爆笑(^▽^)ww
思わず「あっそうなんですか!?…いや、そりゃそうか」とノリツッコミしてしまうほど。
友人に「雪代さんはヴィクターくんに人生狂わされてますものねw」と言われましたが、まぁその通りです。けれど、私は「ヴィクターくんになら人生狂わされてもいいや」と確実に思ってますよ。
2杯飲んでやや酔っていたのでグダグダ話してしまいましたが、ヴィクターくんは私の人生を変えたと思っているし、運命も感じているので今後も推し活頑張りますよ(`・ω・´)+
サングリアも滅茶滅茶美味しかったのでオススメです!
そして今回も……
スマホを覗くと推しがいます(*'ω'*)
関連リンク&関連記事
↓ヴィクターくんの命日はこうやって割り出した!snow-moonsea.hatenablog.jp
↓滅茶滅茶貴重な私以外の人が作ってるヴィクターくんのグッズ
snow-moonsea.hatenablog.jp
↓銀座のカフェ&バー「十誡」さんの文学カクテルで『フランケンシュタイン』が出た時の話
snow-moonsea.hatenablog.jp