海に浮かぶ月のはしっこ

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【グッズ制作】オリジナルマスクケース:ヴィクターとハイドの私得英文学マスクケース

何処へ行ってもマスクと消毒を求められる昨今。
自分の「好き」を日常に忍ばせて生活したいな~と思っている最中に、ちょうど気に入ったデザインのマスクケースが見つからなかったので自分でデザインすることにしました。

スマホケースと同じ要領なのでそういう意味では慣れていますしね(*'ω'*)

今回のデザインモチーフは『フランケンシュタイン; 或いは現代のプロメテウス』と『ジキル博士とハイド氏』です。

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オリジナルマスクケースは作れる!

当初はクリアファイル型の既製品を探していたのですが、気に入ったデザインのものが見つからず……
色々なキーワードで探して「これだ~~!」と思ったのを見つけたら既に完売していたりしてね…

ちなみにこれです。
https://www.amazon.co.jp/dp/B017192OK6/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_1QrxFbEFN36F6www.amazon.co.jp
キャラクターが動物に置き換えられたホームズパロ…!
めちゃめちゃ可愛いし、この建物の並びがマジでベイカーストリートっぽくてとても良い。
ネタがわかると本当に愛おしいデザイン。

あぁ!こういう感覚になるデザインのが欲しい!!

…と思ったのですが、そんなマニアックなもの、私の好きな作品でドンピシャで売られている事なんて滅多にある事ではありません。

ペーパーブランクスの高級ノートに文学シリーズがあると知った時はソワソワが止まらなかったですからね。
ならば自分で作るしかない、と思った次第ですが、割と「マスクケース」という概念自体が新しいのでスマホケース程は簡単に見つける事が出来ませんでした。

クリアファイル型はロットが大きく、プラケース型は1つから注文しようとする場合はケースに直接印刷してくれるわけではないみたい。


そんな中で見つけたのがオレンジ工房さんのマスクケース
スナップ型なのでストックを忍ばせておくのには向きませんが、食事の時に机の上に直置きしなくて済みます。
www.orangekoubou.com
私がマスクケースに求めていた用途としてはこれでも十分ですし、逆に口を当てていた部分が内側になるから案外清潔に使えるかも。

今回のモチーフについて

今回は「私の趣味に全振り」「原作ネタを入れる」「アンティークやスチームパンクを思わせるブラウンベースの色」というテーマだけ決めて制作に取り掛かりました。

二つ折りにするので、変えるならデザインは2つになります。

どうしてもビッグベンを描きたかったので「だったらまたジキハイかなぁ…『透明人間』だと透明になっちゃうし…笑」と思ったのですが、表裏療法ともジキハイにするとスマホケースと似たような感じになってしまうのでやめました。
snow-moonsea.hatenablog.jp

最初のラフが残っていました。
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ハイドの左側に描かれているのはリージェンツパークです。

「では反対側は私のアイドル、ヴィクターくんにしよう!」と思い、できあがったデザインがこちら。
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どちらも重要なアイテムとして手紙が出てくるので、二つを無造作に置いた手紙で繋げました。
盛り込んだ意匠は次の項目でご説明します。

正の位置:フランケンシュタイン

正の位置の原作はメアリー・シェリー著『フランケンシュタイン;或いは現代のプロメテウス』。
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全体のイメージはヴィクターくんの研究室。

フランケンシュタイン (新潮文庫)

フランケンシュタイン (新潮文庫)

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①人造人間

ヴィクターの生んだ身長8フィート(2.5m)の人造人間。名前はない。黄身がかった皮膚で、髪は黒くつややかに伸び、歯は真珠のように真っ白、薄茶色の眼、顔色もしなびたようにくすみ、真一文字に引き結ばれた唇は血色が悪く、黒みがかっているようにさえ見える…らしい(本文より抜粋)。物凄く賢い。

その黄身がかった皮膚では、皮膚のしたにある筋肉や動脈のうごめきをほとんど隠すことができません。確かに、髪は黒くつややかに伸び、歯は真珠のように真っ白ですが、そんな麗しさも、潤んだ薄茶色の眼をいっそうおぞましく際立たせるばかりです。その眼が嵌め込まれた眼窩も同じような薄茶色、顔色もしなびたようにくすみ、真一文字に引き結ばれた唇は血色が悪く、黒みがかっているようにさえ見えます。
メアリー・シェリー「フランケンシュタイン」 芹澤恵(訳)、新潮社(2014)、P109~110

いわずもがな、ヴィクターくんの息子さん。彼には名前がなく、どのように創造されたのかは不明。
ヴィクターくんが錬金術オタクだったのがガルヴァーニ電流の話を聞いて「賢者の石を作る」という夢がぽっきり折れたり、実家の家の前の大木に雷が落ちてそのエネルギー量に驚かされている描写から、"命を吹き込む技術"は電気を用いたものなのだろう、という推察や、研究や材料集めと称して屠殺場や死体安置所に通った描写から"人造人間は様々な生き物の死体を組み合わせて作ったキメラのようなもの"なのだろう、という推察は出来るものの、はっきりとどのように作ったかは原作に書かれていません。

ヴィクターくん曰く、話したくないんだそうです。

この人造人間、滅茶苦茶賢くてヴィクターくんはそのせいで窮地に追いやられます。
彼自身も誰にも理解されず、人間の言葉や常識を習得し、いかに優しく接しようとも自分が人間ではなく恐ろしい外見をしているから誰からも愛されない、人の手で生み出された唯一の存在だから同じ種族の者は誰一人としていない…そう自分の身の上を嘆く可哀想な存在。
が、同時に人造人間の恐ろしい外見と、しでかした事の大きさに恐れをなして逃げてしまったヴィクターを憎み、復讐と脅迫を繰り返す復讐鬼と成り果ててしまいました。

決して!緑の肌でボルト刺さってて言葉も話せない継ぎはぎだらけの大男ではありませんので!!

②ヴィクター・フランケンシュタイン (主人公)

ジュネーヴ育ちの内気な天才青年。目が美しいらしい。ガリガリに痩せている。14歳の時に錬金術にのめり込み、17歳の時に無理矢理ドイツの大学に留学させられ、大学教授に錬金術を馬鹿にされながらも科学に才能を発揮し、21歳の時に人造人間を生み出してしまう。しかし怖くなって逃げてしまい、それ以来不幸な出来事に見舞われる事になる。ストレス耐性が低く、何かあるたびに寝込んでしまう。

自分を運び去る馬車の座席に腰を落ち着けると、わたしは鬱々とした気分のまま何から何まで悲観的な物思いにふけりました。これまでずっと気心の知れた快活な人たちに囲まれてきたわたしは、相手にも同じ歓びを与えることを心がけてきましたが、そのわたしが今は独りぼっちなのです。これから入る大学では自分で友人を作り、自分で自分を守らねばなりません。けれども、これまでの生活が世間から隔絶され、何もかもが家庭内でまかなえてしまえたものだから、わたしはどうしようもないほど人見知りです。知らない顔を受け付けられないのです。
メアリー・シェリー「フランケンシュタイン」 芹澤恵(訳)、新潮社(2014)、P85

はいぱーヘタレ主人公ヴィクターくん…彼が世界一有名なマッドサイエンティストです…一応。
彼は完全なオタク気質の持ち主で、自分の好きな事と自分の研究分野の事だけは熱っぽく話し、時に大胆な行いもするのに、それ以外の時は結構陰鬱、マイナス思考、臆病。誰にも相談することが出来ず、友達作りも下手でいつも孤立している。おまけに肝が小さくて怖くなるとすぐ逃げてしまうし、追い詰められると気絶して寝込んでしまうこともしばしば。「ホラー映画のやられっぱなし主人公」の様相を醸している天才大学生です。
チート級の天才なのに、その力に精神の許容範囲が追い付いていません。あっという間にメンタルのキャパシティを超えてパニックになってしまう。
そんな人物だから、この物語は悲劇になってしまったのかもしれない。彼にもっと勇気と度胸があったなら、もしかしたら。

だけど!決して!彼は博士号なんて持っていないので!
フランケンシュタイン博士」だとか「フランケンシュタインは人造人間を創った博士の名前なんだよ」とか言いやがる人がおりましたら、是非原作読んで確かめてね!!!!

ヴィクターくんは大学卒業前にフェードアウトしちゃうから博士号もらうタイミングないぞ…

③プルシアンブルー (色)

ヴィクターのモデルの一人とされる錬金術師ヨハン・コンラート・ディッペルが生み出した色(塗料)、「暗い紫みがかった青」。 ※本文に言及はない

ヴィクターくんの着ている服はプルシアンブルー。
ヨハン・コンラート・ディッペルの話は他の記事でも触れてるので良かったらそちらをご参照ください。
snow-moonsea.hatenablog.jp

錬金術関連の道具

ヴィクターの研究の着想の元である錬金術の道具。

彼が14歳の時に憧れたのは賢者の石や不老不死の霊薬の創造。大学に入学してから人造人間創造を目標にしてしまうのは、この少年時代の憧れが原因のようです。

⑤科学の道具

大学入学以降は錬金術から科学へと移行。

実家の客人として現れた科学者からガルヴァーニ電流の話を聞いて錬金術が時代遅れの代物だと知ってしまったヴィクターくん。
大学でも錬金術の勉強をしていたことを教授に嘲笑されながらも、科学の方面にめきめきと頭角を現す様子はやっぱり天才なのだなぁという感想。

⑥Mary Shelley

著者メアリー・シェリー。女流作家であり、執筆当時18歳。

作者の名前をデザインに紛れ込ませたかったので。
作者の名前を墓石に書くのはいかがなものかと思ったものの、本だとあまりに小さくなってしまうし、下に出版年を書きたかったので許して欲しい。

⑦1818

初版出版年。現在普及しているのは改定とまえがきを加えた1831年版とされる。

⑧Henry Clerval

登場人物の一人、ヘンリー・クラーヴァル。ヴィクターが最も心をかき乱されたと思しき出来事が幼馴染で良き理解者だった彼の死だった…と思うので。

ヴィクターくんが唯一心を開いていた…とも言える存在。
ヴィクターくんが人造人間の怒りを煽るような事をしたから報復されたとも言えますが、この出来事は読んでいても痛ましかった。
でも語り部のヴィクターくんはこの出来事の前に感極まって泣き出して、この件をネタバレかましてくる。
語り部としては最低です苦笑

⑨机の落書き(人体構成成分)

水素9.5%、炭素18.5%、窒素3.2%…等。ヴィクターの人体創造は科学によるもの、という設定なので装飾として書きました。 ※本文に言及はない
→参考URL
https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/
d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000247186

机の部分ががら空きになってしまうので何か模様を描こうと思い、何かの数式を書くことを考えたものの、イマイチ思いつかず、人体創造の物語なので人体を構成する成分について書くことにしました。

⑩Diary

人造人間が自分の出自を知る事になった重要なアイテム「ヴィクターの日記」。日記というよりは研究日誌。

この日記帳が人造人間の持ち出した服に入っていたことが、ヴィクターくんの存在と、人造人間が生み出された経緯と製法について人造人間が知る事になったきっかけでした。という事はこの日記がなければ、二人は再会しなかったかもしれない…。

コルネリウス・アグリッパの本

14歳の時にヴィクターが心酔したという16世紀の錬金術師の著書。本のタイトルまでは本文に言及されていなかったので代表的なものを適当に調べて書きました。
『隠秘哲学について』
De occulta philosophia libri tres
『学問の不確実さと空しさについて』
De incertitudine et vanitate scientiarum et artium

錬金術師であり魔術師。彼の著書には霊や悪魔召喚の方法等も書いてあるようです。ヴィクターくん、実践していますがうまく出来ませんでした。当然ですけれど。

ウォルトン隊長のマーガレット姉上への手紙

北極を目指しているイギリス人探検家ロバート・ウォルトンが姉に書いた手紙。瀕死の同じ年頃の青年を助けた事や、彼の語った数奇な半生について書かれている。その瀕死の青年こそ主人公ヴィクター・フランケンシュタインである。
第1巻第1章の手紙の部分を丸写しさせていただきました。

フラ~原作は入れ子構造になっていて、主人公ヴィクターくんの物語はウォルトン隊長が姉に宛てた手紙の中に出てくる、(語り部の)ヴィクターが語ったここまでに至る経緯の話です。
小説の冒頭はウォルトン隊長の手紙になっていますよ。

逆の位置:ジキル博士とハイド氏

逆の位置の原作はロバート・ルイス・スティーヴンソン著『ジキル博士とハイド氏』。
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全体のイメージは夜のロンドン。

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エドワード・ハイド (主人公…?)

語り部であるガブリエル・ジョン・アタスンが出会った不気味で若い青年。具体的な年齢は不明だがアタスンが心の中で「Master(~くん)」という敬称で呼んでいることから、未成年(18歳以下)の可能性がある。
「青白い肌で小人(ドワーフ)のように小さな体格、これといって名指し出来るような異形さはなかったが奇怪な印象を与え、不愉快な笑い方をする。振舞いには臆病さと大胆さの混ざり合った、ある種の凶悪さがあった。そして、しゃがれたハスキー声で、囁くような、ややたどたどしい話し方をした。これらすべての点が彼の印象を悪くしていた」…という。(本文より抜粋)
また、他の描写から毛色が黒い事がうかがえる他、場面によっては明らかに服のサイズが合っていない、ぶかぶかの服を裾をたくし上げて着ている。ものすごく気が短く、感情的で、すぐ暴れる。
(※意外にも、彼が関わった殺人事件は1人だけで、初読時はかなり首を傾げた)

彼の存在は完全にネタバレになってしまうのですが……低身長萌え袖ショタジジィ(50歳)です。
ヘンリー・ジキル博士(50歳)の夜の姿であり、姿も性格(※人格も性格も同じ"character"という単語)も異なるものの、記憶と感覚は共有しているようです。

そんな自惚れに浸っていたまさにそのときだ。突然の目眩に襲われ、ひどい吐き気を催し、体がわなわなと震えだした。それが収まると、私は気を失い、しばらくして意識が戻ると、自分の内なる変化にまず気づかされた。より大胆になっていた。危険を侮るようになっていた。義務の戒めから解放されていた。自分の体を見下ろした。ちぢんだ手足に衣服がだらりとぶら下がり、膝に置いた手はすじばって、毛に覆われていた。またエドワード・ハイドに戻っていたのだ。私はその直前まで誰からも敬われ、愛される裕福な男だった。自宅の食卓では私のために用意された料理が待っているはずだった。それが突然、世間の攻撃の的として追われ、家もない、世に知られた殺人犯になっていたのだ。絞首台行きの奴隷に成り果ててしまっていたのだ。
私は動揺した。が、私の理性は私を完全には裏切らなかった。
ロバート・L.スティーヴンソン「ジキルとハイド」田口俊樹(訳)、新潮社(2015)、P.135

この変身は本来、自分の評判ばかり気になって人生を楽しめない事を嘆いた彼が望んで行ったことですし、行動がよりエスカレートしていく事に危機感を感じながらもやめる事が出来なかった事が原因なので自業自得なのですが…。
このハイドという姿がまた、見た目はちっちゃいしやってる事のスケールもちっちゃいし、警察に追われている事を自覚したら泣くわ喚くわで、あまりに小物なので何となく愛嬌があって個人的に気にっています。

決して!ジキルおじさんは超善人ではありませんし、ハイドは殺人を好む連続サイコキラーでもありませんので!!
詳しくは原作を読んでくれ!!青空文庫版がとても良いですよ!!!

②杖

ハイドの私物として発見された杖。
しかし「アタスンにはその杖が、自分が何年も前にヘンリー・ジキルにプレゼントした杖だとわかったのだ」(本文より抜粋)

ハイドが事件に関与した証拠品。でも正体をバラしてはいけないのに何故杖はアタスンからプレゼントされたものをそのまま使用していたのかは不明…ずさんです。
相当気に入っていたんですかねぇ……??

③パブ(モデルはソーホー地区のパブ街)

ロンドン旅行の際に「ソーホー地区」で撮影した写真をモデルに描いたパブ(=バー)の風景。ソーホー地区はハイドの家があるという設定になっており、19世紀の当時は外国人や売春婦などが多く住んでいる治安の悪い地域。現在は大きな中華街や多国籍料理店やバーなどが並び、ビートルズ等、ロックの聖地としても知られる賑やかな地域だが、奥に行くと何処となく歌舞伎町や新宿二丁目のような雰囲気。
ちなみに、場所はロンドンの「ピカデリーサーカス駅」を北に数mくらい行ったあたりの区域。

馬車が指示した住所の前で止った時、切りは少し晴れて彼に薄汚い街を見せた。派手な外観の安い酒場や、貧相なフランス料理の店、低額な雑誌や安っぽいサラダの小売店がある。家の出入り口にはたくさんのみすぼらしい子供たちが寄り集まっており、色々な国の外国人女性たちが朝酒を呑むために鍵を片手に出てきた。が、次の瞬間には赤茶色に近い褐色の霧がその周辺にまたおりてきて、彼をならず者たちの領域から分断した。
これがヘンリー・ジキルの寵愛している男、25万ぽんどの相続人の住処だった。
ジキル博士とハイド氏の奇妙な事件』雪代 月・私家訳

その昔は娼館などもあったようなのですが、今は規制が厳しくなって多国籍感のある賑やかな地域って感じでした。

※私が実際に歩いた記録
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④TREASURE ISLAND

著者の代表作「宝島」の原題。

⑤ROBERT LOUIS STEVENSON

著者の名前、ロバート・ルイス・スティーヴンソン。
今作のモデルにウィリアム・ブロディという人物がいて、作者はそれを題材に戯曲を書こうとした事もあるらしいが通説では病に倒れた時に見た悪夢がモデルとされる。

パブの名前として著者の名前を。

⑥1886

初版出版年。

⑦ビッグベン(ロンドンの象徴)

今作の舞台はロンドンで完結していて、アタスンの住所ゴーントストリート、ハイドの住所ソーホー、ジキルの散歩していたリージェンツパーク、ラニヨンの住んでいるキャベンディッシュスクエア、全てロンドンにある。ビッグベンは登場しないけど舞台となっている場所とはせいぜい1~2kmくらいしか離れていないので「ロンドンの象徴」として描きました。
あと単純にデザインが好きなので私のテンションが上がる。

前述の通り、ビッグベンの絵柄の小物がお洒落で好きなのです。
スチームパンク感もあって良いですよね。

⑧霧

霧の街ロンドンとは言いますが、実際の霧は産業革命による蒸気機関の煙や工場から発生するスモッグが中心であり、山の霧のようにきれいなものではなかったらしい。本文でも「霧はまるで巨大なチョコレート色のビロード布が棺を覆うように天上から降りていた」とあって、正直汚そう。白で描いたけど。

今作で語られる霧って汚いです。
チョコレート色とか赤茶色とか……『透明人間』の主人公もロンドンの大気中の浮遊物が身体に付着してせっかく透明になったのに浮き出てきてしまうのではないかと心配していましたね…

⑨ヘンリー・ジキルのアタスン宛ての手紙

最終節「ヘンリー・ジキルの語る事件の全容」の冒頭部分を書き写させていただきました。ミステリー調のストーリー構成ながら、多くの謎を残したまま物語が終わってしまった後に始まる最終節。
内容はヘンリー・ジキルの遺書であり、一連の騒動の種明かし。「推理できそうで推理できないミステリー」なので、推理小説好きはブチぎれそうです。

ミステリーに見せかけて不可思議な出来事を架空の科学で説明付けた初期SF小説なので推理できそうで出来ません。
この手紙、ようするに遺書なのですが、今まで被害者かと思われていたハンサムで背が高く体格も良い、多くの博士号を持つ慈善活動に熱心な、街でも有名なイケおじの好感度が一気に下落する遺書です。こんなもの書かない方が被害者で済んだのに…!笑
でも種明かしをしないと物語として成り立ちませんからね。
種明かしをしながら延々と言い訳を聞かされる内容になっています。

完成品

入稿から1~2週間後、届いたのがこちら。
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滅茶苦茶印刷綺麗です!!
水彩風の色合いのグラデーションも綺麗に再現されています。完成するとテンション上がりますね…!!
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マスクを挟むとこんな感じ。

レストランなどでの使用したマスクの仮置きケースに使っています。
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好きなものを日常に忍ばせていくのって楽しいですよね(/・ω・)/


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