海に浮かぶ月のはしっこ

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【考察】ヴィクター・フランケンシュタインの命日を特定してみる

これはメアリー・シェリー著『フランケンシュタイン』の主人公、ヴィクター・フランケンシュタインの推し活の一つとして「命日」が特定できないかなぁと思って大体特定できてしまった、という記事です(*'▽')

特定するまでの経緯などをまとめますが、論文などを参照にした真面目な文学研究ではありません。
オタク夢女の考察の一つくらいに考えてくださいね。

ヴィクターくんが推しになって6年目!˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°


2023年現在、私の最推しはメアリー・シェリー著『フランケンシュタイン』の主人公、ヴィクター・フランケンシュタインです(*'▽')
全ての愛好コンテンツを加味した上での最推しなので、かなり強めなんですが…。
彼が推しになって6年目になります。

ということは、私が「推し活」をするとなると、彼ですることになりますが…当然ながらどこにも供給がないので自分でドールを作ったり、推しぬいを作ったり、3Dボディ作ったり、AIで疑似人格を作ってみたり…そんなことをしています。
(世界一有名なマッドサイエンティストに私は何をしてるんだ…?)

「推し活」と言っている通り、私の愛で方はあんまり大人しくない。
「ヴィクターくん!可愛い!ヘタレ可愛い!よしよししたい!!」とか心の中で絶叫しているタイプです。

今回の試みも、「ヴィクターくんの誕生日は季節もわからないが、もしや…命日ならわかる…!?」と思ってじっくり読んでいったら出来ちゃったというだけのことでして。
推しの誕生日は相変わらず祝えないが、これで推しの命日は弔える。
よかっ…良かったのだろうか??


というように、私自身はオタク夢女スタイルで生きているのですが…。

このブログ、意外と検索等で見ず知らずの方も辿り着いてしまうようなので、この記事に関しては丁寧に書いていきたいと思います。

フランケンシュタイン』おさらい

深夜の墓地―。
怪しい男たちが墓場から死体を掘り出して持ち去っていきました。その死体たちは白衣を着たマッドな科学者フランケンシュタイン博士の所へ持っていかれました。
博士は死体を使って人造人間を創り上げると、雷を利用して命を吹き込む実験をしたのです。雷鳴の轟く中、わずかに動いた人造人間の身体を見るなり、博士の「生きてる!生きてるぞ!!」という狂気に満ちた叫び声が木霊し……。

………というのは違います。

こういう絵に描いたマッドサイエンティストを期待している人は、1931年のユニバーサルスタジオ製作の映画『フランケンシュタイン』へGO!

あちらは原典たる原作、メアリー・シェリー著『フランケンシュタイン』から派生した独自の文化が展開されています。

原作とはかなり違うストーリー展開ですが、もうハロウィンなどを見ればもう彼らが不動の地位を築いているのは一目瞭然と言えると思います。

でも、1931年のユニバーサルスタジオ製作の映画『フランケンシュタイン』を見るなら続編の『フランケンシュタインの花嫁』を続けて観て欲しいです。
個人的には続けて観ることで、ヘンリー・フランケンシュタインくんのお話が終わるような気がするから…。

実は3作目、4作目…と続くんだけど狼男と共演したりドラキュラ伯爵と戦ったりするストーリー展開らしくて、あらすじ読んだだけで「待ってww待ってww独自路線いいけど、いいけどさぁ!?www」ってなってしまったので、そのうち覚悟が出来たら観ます…。

原作:メアリー・シェリー著『フランケンシュタイン

北極探検隊の隊長、ロバート・ウォルトンは、北極で何か奇妙な影を追いかけ、漂流しかけていた青年を保護した。ウォルトンがこの青年の話を聞き、手紙にしたためるという構図で物語は進んでいく。
彼の名はヴィクター・フランケンシュタイン。スイスのジュネーヴ出身で、ドイツのインゴルシュタットの大学に所属する大学生。ヴィクターは21歳の時に11月の嵐の夜、人造人間を創り出してしまった。彼はその動き出した姿を見て、自分が恐ろしい事をした事に気づいて逃げてしまったが、その隙に人造人間は彼の学生寮からいなくなってしまった。

人造人間は人間から拒絶され、自分がどんな存在なのか学び、言語や人間の常識を学び、善と悪を学び、自分がどんな行動をとろうとも人間から受け入れられない事を悟った。彼は復讐鬼となり、創造主であるヴィクターの身内を自らの手で、もしくは罠にかけて始末していく。
そしてヴィクターの前に再び現れて…。

分かり合えない疑似父子ものと呼ぶべきか、すれ違い続ける愛憎劇と呼ぶべきか。
ヴィクターくんの目から見れば恐怖と絶望しかなく、人造人間の目から見ると憎しみと絶望しかない、でもエンディングで人造人間はヴィクターくんの亡骸を見て「本当はあなたに愛して欲しかったのだ」と取れるような言葉を発します。

原作(にストーリー展開が忠実ではないにせよ)のシーンを拾っている映画などではこのシーンに具体的にそういう台詞を喋らせているものも、ちらほら見かけますね。

私にとってヴィクターくんが推しである理由は色々と複雑ではあるのですが、「悩める主人公が好き」「自己肯定感が低く謙虚な天才が好き」「繊細で気が弱い、所謂ヘタレな男の子が好き」「高笑いするヤバい博士のイメージと気弱な天才大学生のギャップ萌え」「彼の存在によって救われたと思っている」くらいの理由を挙げておくので、私の愛の程度は察してください(*'▽')

ヴィクター・フランケンシュタインの命日を特定する

さて、ヴィクターくんの命日の割り出しをしてみましょう。
全文を記載するには長すぎるので割愛しますが、ヴィクターくんが息を引き取ったシーンが書かれているのは、ウォルトンの「September 12th.」の手紙です。

今回は青空文庫を引用していきたいと思います。
www.aozora.gr.jp
フランケンシュタイン』著者:メアリー・ウォルストンクラフト・シェリー,翻訳者:宍戸 儀一,出版社:日本出版協同,出版日:1953

九月十二日
事は終りました。僕はイギリスに帰るところです。人類のやくにたつという望み、光栄の望みを失い――友を失ってしまいました。しかし、姉さんには、このせつない事情をできるだけ詳しく申しあげましょう。

日付が9月12日の手紙ですから、9月12日時点で「友」=ヴィクターが亡くなっている事が示唆されています。

九月九日に氷が動きはじめ、氷の島々が裂けて八方に散らばる時の雷のような音が、遠方に聞えました。僕らけ、ひどくさし迫った危険状態にありましたが、なるがままになっているよりほかはなかったので、僕はほとんど、病気が悪化してすっかり床についたきりの不運な客人に、附き添っていました

日付が最初に出てくるので、この手紙は9月9日~12日までの出来事を記したものということになります。まだヴィクターくんは生きていますが、元気がなさそうですね。

氷が僕らのうしろで割れ、僕らはむりやりに北方へ押しやられましたが、西から風が出て、十一日には南への航路が完全に自由になりました。水夫たちはこれを見て、どうやら確実に故国に帰れるようになったので、騒々しい喜びの声をあげ、大声でいつまでもがやがやしていました。すると、眠っていたフランケンシュタインが眼をさまして、どうしてあんなに騒ぐのかと尋ねました。

 ~中略~

こう言って寝台からはね起きようとしましたが、そうするだけの力もなくて、あおむきに倒れて気を失ってしまいました。
正気にかえるのに長くかかり、僕は何度も、もう息を引き取ったのではないかとおもいました。やがてやっと眼を開きましたが、呼吸が苦しく、口もきけませんでした。医者が気つけ薬をのませ、安静にしておくように命じ、この人はもう何時間ももつまいと僕に耳うちしました。医者に見放されてしまったので、僕はただ、悲しんで辛抱するほかはありません。寝台のそばで見守っていると、病人は、眼を閉じていたので、眠っているものと思っていましたが、やがて弱々しい声で、僕を近くに呼び寄せて言いました。

日付が変わりました。
9月11日。まだヴィクターくんが生きている描写がありますが…11日の時点で「もう何時間も持つまい」と言われてしまっています。

時間について詳しい説明は書かれていませんが恐らく、「探検隊の船が先に進むことが出来るようになった」のは明るい時間帯…朝~昼間の事だと思われます。(北極は日が沈まない事もあるようなのではっきりとは言えませんが)
その状況があった上で、船員たちがガヤガヤしていて病人(ヴィクター)が目を覚ましたわけですね。

そこから気絶して生死の境を彷徨った後、「何時間ももつまい」…となると、医者のくだしたヴィクターくんの余命は9月11日の夕方~夜までくらいでしょうか。

そう話しながらも声がだんだん弱くなり、とうとう力尽きて黙りこんでしまいました。それから三十分ほど経ってからまた言いだそうとしましたが、何も言えず、僕の手を力弱く握って、眼を永久に閉じ、やさしい微笑の光も唇から消え去りました。

ヴィクターくんがウォルトンと話した後、30分後頃に亡くなってしまったと描写されています。
(推しが死んじゃった……悲しい(´;ω;`))

邪魔が入って書けなくなりました。あの音はなんでしょう? 今は真夜中で、風も追い風ですし、甲板の見張りも動きません。人間の声のような、ただもっと嗄れた音がまた起りましたが、それは、フランケンシュタインの死体の置いてある船室から聞えてくるのです。行って調べなくてはなりません。おやすみなさい、姉さん。

手紙を書いているのは9月12日の夜中……。
この後、エンディングと言える人造人間がウォルトンにヴィクターくんも知るはずがない本心を告げるなどしますが、ヴィクターくんはもう亡くなっているのでここは割愛します。

時系列を整理してみる

では、原作の記述を整理してみます。

【9月9日】命日ではない
・船が氷で動けなくなる
・ヴィクターは病気で寝込んでいる
【9月10日】命日ではない
・描写なし
【9月11日】★命日の可能性がある
・船が動き出す
・船が動き出した騒ぎでヴィクターが目を覚ますが、会話後気絶する
・ヴィクターが生死の境をさまよい、医者は「ヴィクターは何時間も持たない」と言う
・ヴィクターはウォルトンに語り掛けた後、30分後に息を引き取った
【9月12日】★命日の可能性がある
・夜中、ウォルトンはこの出来事について手紙を書いているが、物音を聞いて中断した
ウォルトンは人造人間と遭遇する

ということは、ヴィクター・フランケンシュタインの命日は「9月11日」か「9月12日」のどちらかということになります。

ではどちらが可能性が高いか、というと難しい所なのですが……

日付特定の手掛かりを考えてみる

さて、ヴィクター・フランケンシュタインの命日は「9月11日」か「9月12日」か、どちらなのでしょう?

【考察ヒント1】ウォルトンが手紙を中断した時間

まず、ウォルトンが手紙を書き始めたのが9月12日中だとして、その途中で手紙を書くのを止めた「真夜中」って何時なんでしょう。

原文を確認してみます。

What do these sounds portend? It is midnight; the breeze blows fairly, and the watch on deck scarcely stir.
https://www.gutenberg.org/ebooks/84

いくつかの英語解説サイトを見たところ、midnightは「午前0時」を指す時と概ね「午前0時~午前3時」を指す時があるようです。

ウォルトンが「9月12日に手紙を書いていたら午前0時になった」なら、ウォルトンが人造人間と出会ったのは9月13日の午前0~3時です。
ウォルトンが「9月12日の午前0時頃から手紙を書き始めていた」なら、ウォルトンが人造人間と出会ったのは9月12日の午前0~3時です。

また、ウォルトンが手紙を書き始めたタイミングも不明です。
ヴィクターくんが亡くなって何時間後に書き始めたのでしょうか?

すぐなのか、しばらくしてからなのか……。

【考察ヒント2】ヴィクターくんが気絶した後~余命を告げられるまでの時間

ヴィクターくんが11日に目を覚まして、気絶してしまってからのことはこうかかれています。

正気にかえるのに長くかかり、僕は何度も、もう息を引き取ったのではないかとおもいました。やがてやっと眼を開きましたが、呼吸が苦しく、口もきけませんでした。医者が気つけ薬をのませ、安静にしておくように命じ、この人はもう何時間ももつまいと僕に耳うちしました。医者に見放されてしまったので、僕はただ、悲しんで辛抱するほかはありません。寝台のそばで見守っていると、病人は、眼を閉じていたので、眠っているものと思っていましたが、やがて弱々しい声で、僕を近くに呼び寄せて言いました。

この後、ウォルトンと会話して30分後に亡くなります。
「(1)正気にかえるまでに長くかかった」+(「(2)この人はもう何時間ももつまい」~「(3)僕を近くに呼び寄せて言いました」)+「(4)30分」=亡くなった日時
というわけですが…

原文ではどうなっているでしょうか。

It was long before he was restored, and I often thought that life was entirely extinct. At length he opened his eyes; he breathed with difficulty and was unable to speak. The surgeon gave him a composing draught and ordered us to leave him undisturbed. In the meantime he told me that my friend had certainly not many hours to live.
https://www.gutenberg.org/ebooks/84

長くは持たないだろう、というところでしょうか。
これではわかりませんが、(2)と(3)の間の時間はほとんど離れていないように感じます。となると、ヴィクターくんは余命を宣告されて数時間もしないうちに亡くなってしまっています。多分、せいぜい2時間くらい。

そうなると、「気絶~「(1)正気にかえるまでに長くかかった」」の時間がどれくらいあったのかが問題になります。
でも、「僕は何度も、もう息を引き取ったのではないかとおもいました」とウォルトンが言っているということは、ヴィクターくんに付き添っているということなので、丸一日はかかっていないと思います。
半日くらいじゃないでしょうか…?長くて12時間。

もし船が動き出したのが朝だったら、(1)が12時間くらいかかっていてもヴィクターくんは9月11日に亡くなったと読み取れます。
もし船が動き出したのが昼以降で、(1)が12時間くらいかかっていたらヴィクターくんは9月12日に亡くなったと読み取れます。

手掛かりを揃えてみて、いつなのか考えてみる

私が考えた考察結果はこうです。
といっても、ここからは原作には何も書かれていないので、読者の解釈次第ということになりますね。

・9月11日に船が動き出したのは朝~昼、その直後にヴィクターくんが気絶
・ヴィクターくんが気絶してから生死の境をさ迷ったのは6~10時間くらい
・ヴィクターくんが余命を宣告されてから息を引き取るまで1〜2時間くらい

なので、私は「9月11日の夜~深夜」と考えました。
この場合、ウォルトンが手紙を書き始めたのは9月12日の0時でも、9月12日の23時でも辻褄が合います。
個人的には「9月12日の0時」かなぁ…と思います。
ヴィクターくんが生死の境をさ迷っている間にも、ヴィクターくんが亡くなってから日付が変わる描写がないので…。

でもヴィクターくんの命日が9月12日でも間違いではないと思います。これは読者が考察することが重要だと思いますので。
両方の可能性があるので、この辺りはお好みで。

推しの命日に何をしたらいいですか?

私は誕生日の概念が存在するようなジャンルを渡り歩いていないので、「推しの誕生日」というものに馴染みがありません。ましてや命日なんて…。

もしもそういうものに慣れている人がいたら、どんなことをしたらいいのかアイディアをくださると嬉しいです。

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