海に浮かぶ月のはしっこ

映画や文学作品、神話関連その他の事をおぼえがきしますよ

【M.S.F.P.魔法学校】第3話の原作ネタについて

原作の話をさせていただこうかなと思っています。
元々このシリーズはマッドサイエンティストの祖たちの物語をなぞる形で、彼らの魅力を伝える強火のプレゼンをするつもりで描き始めました。
なので、ちまちま混ぜている原作ネタをあとがき代わりに書いて行こうかと思います。

是非原作に興味を持って欲しい。

★【M.S.F.P.魔法学校】は文学作品の「マッドサイエンティストの祖」たちを14~5歳の少年に変え、ハリーポッター風の世界観の魔法学校生徒にして交流させるクロスオーバーパロディです

原作について

原作は「メアリー・シェリー著『フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス』(1818年)」。

フランケンシュタイン (新潮文庫)

フランケンシュタイン (新潮文庫)

グリフィンの出典については第4話で。
ハリー達3人組の出典は……第6話を描く事があったらお話します(;^_^)

モローの物語は今の所描く予定がないので明かしておくと、ハーバート・ジョージ・ウェルズ著『モロー博士の島』です。

モロー博士の島 (偕成社文庫)

モロー博士の島 (偕成社文庫)

飼育委員モロー少年のモデルはマッドサイエンティストの祖の一人に数えられる生物学者のモロー博士です。

「アズカバンの囚人」の『フランケンシュタイン』原作ネタ

今作の「アズカバンの囚人」とは魔法学校の都市伝説の登場人物の事を指します。

先生に心配されるがクラーヴァルが話を逸らす

これは原作をモチーフにしたシーンです。
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気絶の挙句何カ月も寝込んでいたヴィクターくんは大学教授二人(ヴィクターくんの才能を見出したヴァルトマン教授と意地悪なクレンペ教授)に話しかけられ、色々と褒められたりするのですが、科学や研究自体を恐れるようになってしまったヴィクターくんは反応に困ります。
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原作でもクラーヴァルはその様子を察して話を逸らしてくれます。いまだに映像で観た事のないシーンですがこのシーンは大好きです。

あっ、でもTremendousCircus様版の演劇では観ました。
snow-moonsea.hatenablog.jp

クラーヴァルは事情を追求しない

言葉にして表すことがありませんが、クラーヴァルはヴィクターくんが何かを隠している事は察しているし、気絶後に魘されている時にヴィクターくんが自分の犯した罪(人体創造)の後悔と恐怖を聞いて事情を何となく知っている様子が匂わされています。
でも、クラーヴァルはヴィクターくんが話したくないと思っているらしいことも察して、何も追求しません。最後まで追求しませんでした。
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いい子ですよねぇ…。

ヴィクターくんはジュネーヴの名士の家の子

ようするにお金持ちです。
本人はお金持ちである自覚はあんまりないようですがお金に困っている様子は一切ありません。
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ただ、ヴィクターくんは長男でオタク気質の陰キャですが、彼のお父さんは鬱に理解がない陽キャで、とても生きづらそうです。

服や日記帳が盗まれる

原作でも、人造人間が服と一緒に日記帳を研究室から持ち出してしまっています。
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その日記帳が全てのきっかけなのかもしれませんが…。

人造人間は日記帳を通じてヴィクターを知る

人造人間がヴィクター、さらにはヴィクターくんの身内としてフランケンシュタイン家を憎んでいるのはヴィクターの日記がきっかけです。
彼の日記は研究・実験の記録でもあったからです。
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人造人間は人間と関わりたかった

原作第二巻、自分の恐ろしい容姿が人間に受け入れられないと悟った彼はどうしたら人間に受け入れてもらえるか模索します。その努力の日々は是非原作で確かめていただきたい。
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人造人間の身長は8フィート

ヴィクターくんが人体創造の設計をするシーンにしっかり明記されているのが8フィート。約2.5m。
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何故こんなに大きくなってしまったかと言えば繊維や血管などの複雑で細かい組織を作るにあたっての労力を軽減させるためですが、「でかすぎる」事くらい察しようよ…。

クラーヴァルはヴィクターの秘密を知っていたのかも

人造人間が消えた後、人造人間にビビりまくっていたヴィクターくんは錯乱して何カ月も寝込んでしまいます。
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その時にクラーヴァルは彼を看病しますが、その時のうわ言を聞いていたはずなのでクラーヴァルはきっと真相を知っていたと思う、と語り部のヴィクターは振り返っています
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原作でクラーヴァルはヴィクターの秘密を問い詰めるようなことは一切しません。でも、ヴィクターくんがあまりにも怯えて挙動不審なので知っていてあえて触れないようにしている様子ではあります。
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ヴィクターくんが日常を取り戻せたのは「どうせ人造人間は長くは生きられない」と思ったからなのですが、それでも科学への恐怖心が芽生えてしまい、学校に居づらくなってしまっているのをクラーヴァルがフォローしています。
(前述の『先生に心配されるがクラーヴァルが話を逸らす』がそれ)クラーヴァルいい子ですよねぇ…。

人造人間に名前はない

色々と巡り巡って「フランケンシュタインの怪物」という呼称が転じて「人造人間の名前がフランケンシュタイン」と勘違いされている事がよくあるのですが(ハロウィンのせいよね……)、フランケンシュタインは彼を作った天才ヘタレ大学生のファミリーネームです。
確かに彼はヴィクターくんの事を「フランケンシュタイン」と呼ぶので口に出してる回数は多いですけど。
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人造人間に名前はなく、最後まで付けられることはありません。名前がない事に意味があるキャラクターでもあるような気もするのですが、彼を救う事の象徴としてこの世界ではクラーヴァルに名前を付けてもらいました。
本来はヴィクターくんがつけるべきなのですが、原作の流れを考えるとヴィクターに付ける事は出来ないと思ったからです。原作ではクラーヴァルが名前を付けること自体が不可能なので、「クラーヴァルが名前を付けることが出来る世界自体が救い」の世界線であることの象徴とも考えています。

人造人間のお手伝いと学習能力の高さ

原作第二巻は人造人間の物語です。
人造人間がヴィクターくんの前に再び姿を現すのはヴィクターくんが23歳の時、人造人間誕生から二年目の事。
ハロウィンのキャラクターイメージだとユニバーサル映画の影響が強いからか、人造人間は言葉が話せずゾンビのようにカクカクと動くイメージですが原作は俊敏で異様に賢く、言語を話すことが出来ます。

ちなみに原作では助手のミスで悪人の脳みそ入れられたりしてないです。人体創造はヴィクターくん一人の犯行なので…。
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人造人間は自分が恐ろしい容姿でそれ故に人間に受け入れられない事を悟り、ある没落貴族の家の納屋に住み着いて姿を見られないように彼らの手伝いをし、彼らの様子や外国人妻の勉強風景を眺めて言語や歴史等を学習しました。
また、読書をすることで良い事、悪い事、法律、感情等を学習し、2歳にしてその辺の人間よりよっぽど頭が良い。
彼は絶望の挙句、二巻の終わりにヴィクター・フランケンシュタインへの復讐を誓い、ヴィクターに接触する前に取り返しのつかない罪を犯しますが、自分の行いが悪い事であることを知っており、それを心苦しくも思っている存在です。絶対悪とも言えなければ可哀想という一言で片付けられる程単純な存在でもありません。
一方のヴィクターは内気で気弱で、身内の中にしか人間関係を持つことのできない性格。だからこそヴィクターは人造人間を可哀想に思いながらも人造人間にされた復讐を心底憎み、人造人間はヴィクターが自分を誰からも愛されない存在に生み出し捨てた事を心底憎んでいます。絶対に分かり合えないのです。
それ故に生じるエンディングの悲しさや深みが原作を名作たらしめているんだと思います。
だから…ううん、救ってよかったのかなぁ、とちょっと思う。

ヴィクターの目を覆う

原作では怯えながら「消えろ!消えろ!」と騒ぐヴィクターくんの目を人造人間が塞いで「これで消えた」というのですが、ヴィクターくんは怒って振り払います。
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この世界では一応和解したことになっているのでヴィクターくんは暴れたりしません。

人造人間の花嫁

この世界ではクラーヴァルのジョークにすぎませんが、原作では人造人間がヴィクターを脅迫して要求した内容が「花嫁を創れ」なのです。
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でも原作で、もしも人造人間がヴィクターに復讐をする前にヴィクターに接触して同じことを要求していたら結果は少し違っていたかもしれません。
最も、ヴィクターくんが人造人間を受け入れた世界は『シザーハンズ』のような感じになるんじゃないかと思っていますが。ヴィクターくんどう見ても不健康そうだし。

シザーハンズ (字幕版)

シザーハンズ (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video

「アズカバンの囚人」の『モロー博士の島』の原作ネタ

元々、『モロー博士の島』は『フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス』に影響を受けて書かれた作品だそうで、確かにストーリーは全く違うものの、いくつかのキーワードが共通しています。
是非両方読んで比べてみてくださいね(*^▽^*)

動物からだって……

短い小説なので原作のモローが何をしたのかは原作を読んでいただきたいところです。
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むしろ、このシーンから察して欲しい。

動物の扱いが乱暴

原作のモローは動物たちに酷い事をしました。
詳しくは原作読んで!(*^ω^*)
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この世界のモローはまだ少年ですが、動物の生態を知るために動物の近くに身を置いているだけで別に動物が好きなわけではないのです。動物を死なせてしまったとしても「貴重な実験材料が減った」くらいにしか思わない可能性が…。

「アズカバンの囚人」の別作品の原作ネタ

オカルト耐性のあるハリーとないヘイスティ

仲良し三人組のやり取りで、ハリーがヘイスティをオカルトネタで脅かしていますが、原作ではこういう形ではないもののこの違いが理由でとんでもないことになってしまいます。
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ハリーはヘイスティに謝罪すべき。

爪を噛む

ハリーの癖です。
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理性が利いていない状態で何かに耐えている時、考え込んでいる時などに噛むことがあるようです。この世界のハリーはまだ少年で、理性と本性の境目があやふやです。

薬学博士のハリー

ギャビーは文系少年で、ここは学校なので「薬学博士」というのは仲間内の称号でしかありません。
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実際に原作のハリーは薬を作るのが得意です。

M.S.F.P.魔法学校の各キャラクター造形について

ヴィクター・フランケンシュタイン

この世界のヴィクターくんは「青寮(ハリポタのレイヴンクローに相当)」の生徒として描いています。
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原作のヴィクターくんは17歳でインゴルシュタットの大学に進学した天才大学生です。物語が大きく動き出す人造人間誕生の2年後でさえ、23歳の大学生。なので、実は"博士"という敬称は誤りです。

彼を青寮にした理由は私が「叡智への探究に心奪われるあまり数奇な運命に足を踏み入れてしまった青年」だと考えているからが大きい。
彼自身は所謂「ヘタレ」で、人一倍の才能を持つチート級の天才であるにも関わらず、非常にメンタルが弱く、ガリガリの痩せっぽっちで体力もない没頭しやすく自分の好きな事はめっちゃ喋るけど基本的には内気でコミュ障という典型的なオタク気質
臆病ですぐに逃げてしまうので勇気もないし、要領よく立ち回る狡猾さもなく、努力家ではあるけれど興味を抱く対象は結局「賢者の石を作る」→「不老不死の実現」→「命を吹き込む力」→「生き物を作る」という自分の研究に対してばかり。全てを知り、全てを手に入れたいと渇望する叡智の探求者。きっと真理の扉も喜んで開ける。
原作で悪魔召喚も試しているし、死体の観察もしているので、魔法学校でも興味はオカルト寄りで、錬金術や死霊術に異常なレベルの適性があるという設定にしています。

原作では彼が気絶したりメンタルから体調不良になっている間にどんどん事態が悪化してしまう。故に主人公なのに主人公としては非常に扱いづらく、映画などの派生作品だと「傲慢でサイコパスな絵に描いたようなマッドサイエンティスト」に描かれてしまうのは彼の無様なまでのヘタレっぷりのせいだと思います。
いや、私はヘタレじゃないとヴィクターくんじゃない、とすら思っているのですが。

田舎から来たガリガリでコミュ障でヘタレでオタク気質のガリ勉(天才)なんて恰好のいじめの対象です。
故にこの世界では若干いじめられています。でもいじめダメ、絶対。

彼が魔法学校に来る事で、彼は培ってきた錬金術の知識を嘲笑される事がなく、むしろ勉強熱心な少年として受け入れられ、更に彼の憧れた賢者の石も実際に作る事ができます。
原作での彼は人体創造を成し遂げてしまうけれど、その技術自体が非現実的過ぎて誰にも信じてもらえない。でも魔法学校では割と皆すんなり信じてくれます(笑)賢者の石は存在するし、死霊術でゾンビを作る事も出来る世界なのですから、生き物の残骸から人間を生み出す事だって既存技術の応用から大してかけ離れていないのです。

錬金術と魔法によって人造人間を組み上げているので人造人間自身も少し違うし、魔法学校では人造人間のような風変わりな種族への風当たりも人間界程強くない。もしも人造人間が罪を犯しておらず、魔法学校という世界が人造人間という種族を受け入れる事ができるなら、ヴィクターくんは人造人間を受け入れる事が出来るかもしれない。…でも、彼自身がコミュ障なのでどう接すれば良いかわからず難しい。
そんな距離感に設定しています。

また、ヴィクターくんを救う為には彼を叱ってくれる人も必要だと思っています。原作での彼は誰にも相談できないまま「僕(が人造人間なんで作った)のせいだ」と一人で悶々と悩みを抱え込んでしまうので、誰も叱ってくれなかったのです。

でも彼の性格では、この世界でも一筋縄では無理です。自ら相談するアクションすら起こせません。本当に面倒くさいです(笑)
クラーヴァルに導いてもらい、先生に叱られて、彼のすべき事を提示される事でようやく受け入れられる…という風に描く事にしました。

原作でもヴィクターくんはクラーヴァルだけを唯一の友達と言って、友達になろうという誘いを断ってしまうような子です。マジで!?って感じですが。断っちゃうんです。
なので空気の読めない、身内以外の人間に興味が皆無な子、というイメージがあります。グリフィンを怒らせてしまうのもその性格の反映です。

原作の世界観のまま全員救いたいと願っても、「相当に難しい」と感じるのは、このヴィクターくんの内向的な性格のせいが大きいです。そこが好きでたまらないのですけれどね(苦笑)

ヘンリー・クラーヴァル

この世界のクラーヴァルは「黄寮(ハリポタのハッフルパフに相当)」の生徒として描いています。
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彼は社交的な文系少年であり、原作ではヴィクターくんの唯一の理解者とも言うべき存在です。もしも原作の世界のままヴィクターくんや人造人間を救う事ができるとしたら、クラーヴァルがキーパーソンになっていただろうと思っています。

「ここが魔法学校である事により、人造人間への風当たりが人間界より強くない」という前提によって彼の運命を変化させる事ができたので、ヒーローになっていただきました。

社交的で勇気を持ち、騎士道物語が大好きで誠実な彼は赤寮でも良かったのですが、「黄寮に割り振るとしたらクラーヴァル」と考えていました。
彼自身、何年もかけて父を説得して進学し、様々な人と出会う為に複数の言語を学んだ努力家ですし、冒険譚が好きと言っても争い事を好むようには思えない。思いやりが強く、様々なキャラの架け橋になるならクラーヴァルしかいないと思っています。

クラーヴァルは原作でも空気が読め、相手の気持ちを尊重する事ができる子です。なので、グリフィンが言われて嫌な事も瞬時に察しているし、グリフィンとも人造人間とも仲良くなる事が出来ると思うのです。
このような気質なので実は非常に扱いやすい。ヴィクターくんより主人公適性あるんじゃないかと思う。

マイケル・モロー

この世界のモローは「緑寮(ハリポタのスリザリンに相当)」の生徒として描いています。
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また、名前もファーストネームが登場しないので勝手に付けさせていただきました。映画などでは「アルフォンス」と付けられていたことがあったみたいです。

マイケルは「大天使ミカエル」という意味ですが、ミカエルとは元々「神に似た者はだれか?」という意味だそう。

原作のモローは過激な生物学者であり、彼もまた文学における「マッドサイエンティストの祖」とされるキャラクターの一人。黒い目で白髪髭面のアラフィフなので、メラニン色素の強い茶色をベースに毛色を少し薄めにして、ブラウンみの強いブロンドで設定。
出典の『モロー博士の島』は『フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス』に影響を受けて書かれた作品だという事を踏まえて、「モローはヴィクターくんに憧れる後輩」として設定しました。

原作のモローもまた人造人間を創った創造主です。彼はヴィクターくんとは異なり、人造人間たちを侍らせて神様のように振舞っていました。けれど、研究の過激さから世間を追放された人物でもあります。
その要素を拾って「倫理さえ無視する選民思想を持った野心家」の少年として描くことにし、緑寮を選択しました。

一言で言えば、可愛い後輩の顔をしたサイコパス…。

テオドール(人造人間)

名前を与えられた世界線の人造人間。
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身長2.5m、黒髪に白い歯、黄ばんだ肌に黄ばんだ薄茶色の目。それが原作の描写です。ボルトとか刺さってないです笑
原作の彼は非常に賢く、俊敏で力も強い。ヴィクターくんの前から姿を消した2年の間に言語を取得し、政治、歴史、文学など様々な知識を得ました。

もしも彼を寮分けするとしたら、クラーヴァルと同じ黄寮だと思います。努力家で人を思いやる心を持ち、その為に身体を張る事も出来ます。基本的には争いを好まず、競争するより温かい交流を望みます。

でも、どんなに人格が聡明であろうと、原作の彼はひと目見ただけでヴィクターくんはパニックに陥って逃げ出す程、人々は逃げ惑い怯えて彼を殺そうとするほど恐ろしい姿をしているといいます。優しい心を持っていたはずなのに、人々から受ける風当たりの強さや絶望、そのような容姿で生み出し、逃げてしまった創造主への憎しみで復讐者へと変わってしまいます。

フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス』では名前がありません。
ヴィクターくんは彼の見た目の恐ろしさから逃げ出した後、人造人間の過ごした二年間の物語を聞いて少し同情もしますが、人造人間の犯した罪がそれなりのものだったので徹底的に拒みます。その結果、人造人間に名前が付けられることはありませんでした。

M.S.F.P.魔法学校では彼を救いたかったので、その救済の一つとして名前を付けました。
テオドールという名前はドイツ系の名前ですが、原作ではインゴルシュタット(ドイツ)で生まれたという裏要素です。意味は「神の贈り物」。ヴィクターという創造主がもたらした奇跡の存在というニュアンスで選びました。

原作で彼を救うのが難しいのは、ヴィクターくんが彼と再開するまでの間に彼は復讐の一部を遂げてしまっている事。これでは二巻で少し理解を示したヴィクターくんも「だが許す事なんて出来ない」と思ってしまって当然なのです。
だから、彼を救う為に重大な罪は犯させない事にしたのです。

そして、時系列の関係で彼はまだ生後数ヶ月くらいなのに原作での2歳並みに成長しているのですが、それは彼の生まれたプロセスに賢者の石が使われたからという事で…笑 彼が作られるのに要した時間も原作の2年よりずっと短いです。…いや、魔法のない世界で2年がそもそもおかしいんですけど。彼が触れた情報が少ない分、幾分か原作より無垢な存在として考えています。
もっと落ち着いてストーリーを練っていれば、原作通り2年にする事も出来たと思いますが当初落書きで終わらせるつもりだったため見切り発車で…(;^_^)
その反省もあり「グリフィンの物語」はちゃんとネーム描いてます…。

この世界のテオドールはまだジョン・ミルトン著『失楽園』を読んでいないので、主人公のサタンと自分を同一視して悲嘆したりしませんが、読書が趣味という部分は残します。
M.S.F.P.は当然ですが文系男子が少ないのでクラーヴァルは貴重な読書仲間になれると思います。


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