海に浮かぶ月のはしっこ

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【M.S.F.P.魔法学校】第2話の原作ネタについて

原作の話をさせていただこうかなと思っています。
元々このシリーズはマッドサイエンティストの祖たちの物語をなぞる形で、彼らの魅力を伝える強火のプレゼンをするつもりで描き始めました。
なので、ちまちま混ぜている原作ネタをあとがき代わりに書いて行こうかと思います。

★【M.S.F.P.魔法学校】は文学作品の「マッドサイエンティストの祖」たちを14~5歳の少年に変え、ハリーポッター風の世界観の魔法学校生徒にして交流させるクロスオーバーパロディです

原作について

原作は勿論、「メアリー・シェリー著『フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス』(1818年)」です。

フランケンシュタイン (新潮文庫)

フランケンシュタイン (新潮文庫)

今回はもう一人主人公格のキャラクターが表に出てきていますが、彼の物語は第4話で…という事で。

「秘密の部屋」の『フランケンシュタイン』原作ネタ

落書きのつもりだった「賢者の石」。
とりあえずヴィクターくんを救うまで続ける事になって、徐々にネームをちゃんと書くようになってきましたが、5Pおきくら
いなものでまだストーリー構成が下手な感じが出てしまっています…

今作の「秘密の部屋」とはヴィクターくんの使っている暗号認証の研究室の事を指しています。

コルネリウス・アグリッパの弟子

ヴィクターくんが借りている、この世界の「秘密の部屋」は、暗号認証の隠し部屋のようなものです。開くための呪文の一部は利用者が登録できます。
ヴィクターくんの部屋は「我、コルネリウス・アグリッパの弟子なり。部屋の守護者よ権限に従いて門を開け」。
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コルネリウス・アグリッパの弟子」、は原作では意地悪な教授に付けられた侮辱的なあだ名。「もうすぐ19世紀だって言うのに錬金術師で魔術師のコルネリウス・アグリッパの信奉者なんてイカれてる」…という嘲笑です。
原作のヴィクターくんは錬金術が現代の科学では何の意味もない時代遅れの代物だと理解しているのでこのあだ名を不愉快に思っていますが、後に彼の才能を見出すヴァルトマン教授にも錬金術の話をしているあたり、錬金術への敬愛はずっと続いていたのだろうと思います。
けれど魔法も錬金術も存在するこの世界では「コルネリウス・アグリッパの弟子」は勉強熱心で優秀だという称賛の意味を持ちます。ヴィクターくんは魔法学校から入学推薦状をもらった時点で既にかなり救われているのだと思いますよ。

細かい作業の為にスケールを大きくする

ヴィクターくんが細かい作業が苦手だと言っていますが…
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原作でも繊維や筋肉、血管といった人体を形作る組織が非常に複雑で細かい事を理由に、完成形のサイズを大きくしたと言っています。
時間短縮と労力の削減のためだと言っていますが、いやぁ、でも、ねぇ。でかすぎて手に負えなくなることまで考えなかったんでしょうかねぇ。

動機

この世界のヴィクターくんの動機は一応原作を踏まえています。
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原作でも少年時代から賢者の石や不老不死の秘薬に強い興味を持ち、憧れの錬金術が科学的に再現不可能だと知っても、最終的に興味を持ったのは結局不老不死の実現だったようです。
肉体が朽ちてしまっても、生命を蘇らせることができるなら…という事ですが、それはただの夢物語だと悟るのは事件が起こってからの話なのです。
幼少期の興味関心も大いに影響があると思いますが、どうしてもそこに固執してしまうのは、人間関係の拡張が難しい性格で人間関係も家族とその周囲の人で完結してしまう傾向の強い彼が大学入学直前に母親を失っているせいもあるのかなと思います(母を蘇らせたい、とは言わないのですが)。

死体は怖くない

クラーヴァルが「ヴィクターは案外こういうの(墓地)は怖がらないよ」と言っていますが…
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原作のヴィクターくんは毎日死体置き場に通って死体が朽ちるさまを観察して日記に付けるくらいの事は出来る子です。
父の教育の成果で幽霊も怖くないそうですが……一体どんな教育を受けたらそうなる?

ヴィクターくんの材料集め

墓を掘り返されている描写をしていますが…
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原作にははっきり墓を掘り返している描写はありません。というか、原作に人造人間の作り方について明確な描写ってないんですよね。
語り部のヴィクターが言いたがらないので。

ですが、ヴィクターくんが人体創造の準備の為に納骨室から骨、そのほか解剖室や屠殺場を出入りした描写があるので「材料はお察しください」という感じですかね…。

クラーヴァルと再会する

人造人間が目覚めた時、その恐ろしい姿にビビッて逃げてしまたヴィクターくん。
原作でも逃げてしまいますが、寮に戻る時にクラーヴァルと再会します。この時の原作のクラーヴァルは二年かけて父親を説得し、二年遅れで念願の留学を果たしたばかりでした。
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狂ったように笑いだすヴィクターくん

研究室の様子を見に行ったものの、人造人間が消えていた事を知ったヴィクターくん。
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原作での動作はほぼ同じです。
クラーヴァルの所に戻ったヴィクターくんは人造人間と自分のした事が目の前から消え去ってしまった安堵のあまり、笑いが止まらなくなってしまいます。
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ヴィクターくん、失神する

狂ったように笑った後、失神するヴィクターくん。
でもこれ私の作った演出じゃないんで。
原作通りなんで…。
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原作によれば、人造人間の幻覚を見たようなのです。
原作のヴィクターくんはパニックに陥ると高確率で失神します。おまけに、このシーンの後は何カ月も寝込みます。
どんだけヘタレなんだ。
ヴィクターくんの精神的な危うさ(貧弱さ?)やクラーヴァルとの友情が視覚的に見られるので、この一連のシーンは好きなのですが、映像ではほとんど観た事がないですね。

唯一観た事があるのはこの版(↓)だけです。

あと、TremendousCircus様版の演劇で観ました。
snow-moonsea.hatenablog.jp

このシーンが見られるだけでかなり私の満足度が高くなってしまいます笑

「秘密の部屋」の別作品の原作ネタ

白い髪の少年グリフィン

今作でクラーヴァルと一緒に行動していたグリフィンも主人公格の人物です。
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勿論、彼は『フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス』の登場人物ではありません。
原作では「男の髪と髭は白く―年齢のせいではなくアルビノのように色素がなかったためである―眼は柘榴石(ガーネット)のようだった」と描写されている人物。勿論、この世界は魔法学校パロディなので14~5歳の少年です。
彼の原作のタイトルは有名ですが、私も原作を読むまで彼がアルビノ体質だとは知りませんで…。彼の所縁の地を実際に歩いて、より彼の事が好きになりましたね(*'ω'*)

第4話から第5話にかけてが彼の物語(予定)です。

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