私の中のフランケンシュタイン博士、というイメージを真正面から粉々に砕かれた。
個人の意見だけど、ジャンルは「周囲がじわじわ殺されていく系ホラー」「SF」「疑似親子もの」だと思う。
M.S.F.P. No,1
作品情報
「フランケンシュタイン~或いは現代のプロメテウス」(Frankenstein: or The Modern Prometheus)
著者:メアリー・シェリー
出版国:イギリス
出版年:1818年
読んだ時期:2018/4
書籍情報
- 作者: メアリーシェリー,Mary Shelley,芹澤恵
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/12/22
- メディア: 文庫
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- 作者: メアリーシェリー,Mary Shelley,小林章夫
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/10/13
- メディア: 文庫
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- 作者: メアリ・シェリー,森下弓子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1984/02/24
- メディア: 文庫
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私の読む前の前提知識
きっかけ
映画のオマージュの元映画を漁っていた頃に1931年版「フランケンシュタイン」を観た。
友人から原作をおすすめされた事があるが、映画でストーリーは知っているし、この1931年版は結末が胸糞悪いから原作までみる気はない、と思っていた。
しかし、転機が。
「マイティー・ソー バトルロイヤル」を観た時の既視感…それを確認した時、登場キャラクターのハルク&ブルース・バナーのモデルが「ジキル博士とハイド氏」と「フランケンシュタイン」であると知る。前者はわかる。わかるけど…
1931年版の「フランケンシュタイン」とハルク&ブルース・バナーがどうしても繋がらない。
その時には入院が決まっていて、「まぁどうせ暇だしもしかしたら読むかもしれないし」と新潮文庫版を購入したのがきっかけ。
※参考
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2012/10/24
- メディア: DVD
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ミリしら ~タイトルだけで知った気になっていた内容~
フランケンシュタインが怪物の名前でない事は知っていた。
1931年版「フランケンシュタイン」を観た時、前提として色々な所でオマージュや見聞きした内容は全てこの映画で見ることが出来た。
墓を掘り返す男たち。天才の脳と悪人の脳のうち悪人の脳を使った死体の蘇生実験。雷をバックに高笑いしながら「生きてる!生きてるぞ!」と叫ぶマッドサイエンティストのおじさん……。
無知で無垢である故に、誤って子供を湖に突き落としてしまう人造人間、人造人間を風車に追いつめ、火をつける村人たち…。
ティム・バートン監督の「フランケン・ウィニー」もほぼこんな流れだったのでそれが正しいのだと思っていた。
※参考
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読んだ結果
→ 結果: 全然違った
嘘だろ!?フランケンシュタイン博士って大学生だったの!??!風車小屋は燃えないの!?!?!?
(そしてフランケンシュタイン博士もとい、天才大学生ヴィクター・フランケンシュタインに惚れこむことになる)
感想
私が知っていた「フランケンシュタイン」は一体何だったんだ!!!と言うのが第一声。
主人公であるヴィクター・フランケンシュタインについて、怪物を作ったあたりから私は「可愛い!可愛い!!」と叫ぶことになるが、ヘタレ…ようするに臆病で情けない奴なのである。
おじさんだと思っていたフランケンシュタイン博士は大学生で、怪物が目覚めた時怖くなって逃げ出し、恐怖から気絶して熱を出して何カ月も寝込む…でもこの恐怖を誰にも相談できない、そんな男の子なのである。この時、まだ21歳。可愛い。
また、怪物は無垢で愚鈍な怪人ではない。悪人の脳みそを入れられる描写もない。賢く、狡猾で、自分が醜い事も、それによって人間のコミュニティには入れない事を自覚した、愛情に飢えている可哀想な奴なのである。
そんな怪物は私が愛する叙事詩「失楽園」を愛読し、それを引用してヴィクターを詰る点もポイントが高く、すっかりハマってしまった。
ヴィクターと怪物の関係は疑似親子と見なしているけれど、それを考えると二人の愛憎はあまりにも悲しい。ヴィクターがいたずらに神の領域に踏み込んだ事は正しくないけれど、ヴィクターに対して行った怪物の報復も正しくない。怪物の行為に怯え、憎むヴィクターの反応も最もだけれど、彼がもし怪物の愛に飢える心を受け止められたならハッピーエンドに向かったかもしれない。けれど、序盤からヴィクターの姿を追ってきて彼にそんな心の余裕ないのはわかるので、迎えた悲しいエンディングは当然のものだったのかもしれない。
でも、悲しくもめちゃくちゃ美しいのである。
※参考
- 作者: ミルトン,John Milton,平井正穂
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1981/01/16
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独自研究など
ミリしらの理由(現在構築されたイメージとの差異の原因)
1931年のユニバーサル映画版の影響が大きいと思う。現在のボルトの刺さった継ぎはぎだらけの顔色の悪い大きな怪物の姿は1931年の映画に由来するものだ。
その後、何本か原作からの派生映画を視聴したところその時代の流行を反映しているのがわかったりして面白かった…が、原作に完全に忠実だと言いきれる映画は今のところ見つかっていない。(2018年7月現在)
でも、2004年版はヴィクターくんが少しアクティブになっていることと、怪物の狡猾さがなくなっている所を除いては、かなり忠実だったので映画1本観て内容知りたいと言われたら2004年版をおススメするなぁ、きっと。
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- 発売日: 2005/09/09
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関連作品(視聴済)
○フランケンシュタイン(1931年)
○フランケンウィニー(1984年)
○フランケンシュタイン(1994年)
snow-moonsea.hatenablog.jp
○フランケンウィニー(2012年)※ストップモーションアニメ
○フランケンシュタイン(2004年)
○ヴィクター・フランケンシュタイン(2016年)
snow-moonsea.hatenablog.jp