一般的にハロウィン系キャラクターって何を思い浮かべるかしら?
狼男?吸血鬼?魔女?
それとも……
2018年10月。
私が「フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス」にハマって最初のハロウィンシーズンを迎えようとしています。
先日気分転換に町をぶらついていた時の事。
町はすっかりハロウィンムードになっていて、小物や装飾がオレンジや紫になっていました。
手芸屋さんでハロウィン系マスコットの手作りキットのラインナップ。
今年のラインナップは、かぼちゃ、魔女、黒猫、ミイラ、ドラキュラ、フランケン、おおかみ男……。
あっ…なんか…違和感(・_・)
あんまり気に留めたことがなかったのだけれど、「ハロウィンのキャラクター」の定義って何なんだろう?
kotobank.jp
伝統的なのはかぼちゃをくりぬいて作ったランタン、「ジャック・オー・ランタン」をモチーフにしたものみたいですね。
色々ネットを調べてみた所感としては、
発祥の地はアイルランドやイギリスという説がある。古代ケルト、古代ローマ、キリスト教の3つの文化が融合して生まれた。原点はケルト人の収穫感謝祭で、それがカトリックに取り入れられたとされている。
引用元:https://kotobank.jp/word/ハロウィーン-188648
のあたりから現在のハロウィンの姿と結びつかず、既によくわからないので、文化を渡り歩くうちに姿を変えてしまったもの…という印象を受けます。
日本ではもう既に仮装パーティーのようなもの、というイメージになってる気もする。
アメリカでも仮装パーティーの趣が強いのか、アマゾンなんかで検索をかけるとアニメのキャラクターの仮装グッズがハロウィンカテゴリで売られていたりする。
でもまぁ、少し「それでいいのかなー」という気がするものの、仮装をする目的は「悪霊を追い払う(魔除け)」らしいので、スーパーヒーローの恰好でも悪霊は近づかないんじゃないかな~。
けれどスパイダーマンやプリキュアなどの版権キャラクターにとらわれない場合のハロウィンのキャラクターを挙げよと言われると、やっぱり、
かぼちゃ(ジャックオーランタン)、魔女、黒猫、ミイラ、ドラキュラ、フランケン、おおかみ男
…っていう感じになるのだろうけど、
おい、フランケン!!
そういう名前っぽくなってるけどお前、オリジナル版じゃなくて1931年版の映画のフランケンシュタインの怪物だろ!?
と、毎年全く気に留めていなかった事に今年はツッコミを入れてしまったので、ちゃんとそれを受け止めて考察しようと思います…。
何度も言うけれど、「フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス」は1818年(ちょうど200周年!)の小説で、
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もう前提はそれだけ踏まえてくれればいいから!(投げやり)
だけれど、この記事を書いている時にネットで"フランケンシュタインは博士の名前"という惜しい解説を何度か目にして、「あの…その、ヴィクターくんは…大学生…(・ω・;)」と思ってしまってごめんなさい。
しかし、同じ解説を私が中学生の頃に担任の先生にされた記憶があるので、中学の担任の先生も映画の記憶の方が強すぎて原作の事はあんまり覚えていなかったんだと思います。先生の言っていた"賢い人の脳みそを壊してしまったので悪人の脳みそを使う事に…"という設定も原作にはないので、「完全に1931年の映画の解説だった」と思っております。
私が1931年版の映画を観て違和感がなかったのは、こうやって語り継がれている「フランケンシュタイン」の物語は原作ではなく1931年のものでほぼ統一されてしまっているからなのでしょう。
1年前の私にも教えてあげたい。
継ぎはぎだらけで頭にボルトとか刺さってて純粋で知能が低くて喋れないのは、1931年版の映画内のフランケンシュタインの怪物がそれ。
なお、主人公のヘンリー・フランケンシュタインは大学生のイメージがないので、博士でいいと思います。(そこまで細かく観てなかった、すみません。今度確認しておきます)
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そんな風に考えていた最中、ふと「そういえば「ミイラ」がハロウィンの怪物として扱われるのってもしかして映画の影響?」と思いまして。
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映画史の研究書から引用出来たらいいのですが、残念ながら所持していないのでウィキペディアから引用する事にします。
(本当は書籍の方がいいよね…)
その記述が以下の通り。
ミイラ再生 - Wikipedia
フランケンシュタイン・モンスターを演じて一躍怪奇スターとなったボリス・カーロフを主演に起用して製作したホラー映画。前2作とは違って原作小説を持たないオリジナル作品である。1921年に世界的な話題を呼んだツタンカーメン王墓の発掘を題材としている。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/ミイラ再生
また、この作品について調べてみると、この作品を元ネタとして、ハムナプトラや、ザ・マミーが作られたらしい。
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…ということは、ミイラ男をハロウィンキャラとして定着させたのはユニバーサルスタジオ…?
この「ミイラ再生」の解説記事に、「魔人ドラキュラ」というタイトルが登場します。
これもユニバーサルクラシックに数えられる作品だということは知っていますが観ていません…。
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このオールバックで、タキシード風のコスチュームに裾がギザギザのマント…見た目のフォルムが「あっドラキュラね」って感じの、これ。
ここが原点になっているみたいです。
原作はブラム・ストーカー著の「吸血鬼ドラキュラ」。これも未読ですが、読むか迷いどころ。
(そもそもヴァンパイアより人狼の方が好きなのです)
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(※ちなみに"フランケンシュタインの怪物"は原作の描写と共通点が…「でかい」ってことくらいかなぁ?)
「吸血鬼ドラキュラ」は「フランケンシュタイン」と同様、ユニバーサル以前にも1度映画化されているようですが「吸血鬼ノスフェラトゥ」というタイトルで、ドラキュラという名称ではないようです。
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ということは、ハロウィンでおなじみのドラキュラもユニバーサル由来のイメージということかな…。
狼男はどうだろう、というと、人狼伝説自体はもっと昔から存在します。ギリシャ神話にも罰として狼の姿にされた男の話がありますし、魔女狩りの時代では人狼として告発される者もいたとかどこかで読んだような…(うろ覚えですが)
とはいえ、ユニバーサル版の狼男が有名なような気がしてしまうのでした。
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これもきちんと観ることができていないけれど、有名なシーンは知っている、という感じです。カップルがベンチに座っていて、男の方が突然苦しみだして毛むくじゃらになるのは多分この映画なんじゃないかと…。
なんとなく、「よくパロディにされているのはこの映画ですね」っていう香りがします。
今回の手芸屋さんのラインナップにはなかったけれど、「透明人間」も入れていいのならそれもユニバーサルスタジオです。
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ゲーム「キングダムハーツ」の「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」のステージでドナルドも透明人間(ダック?)の仮装をしてましたしね。
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ちなみに、原作の透明人間は原作の時点で包帯ぐるぐる巻きです。ヤバい時は服と包帯を脱ぎ捨てて逃げます。
(雪の中でも真っ裸にならなければならないので寒くて嫌らしい)
ようするに、
ユニバーサルスタジオ強い………( ゚Д゚)
なんとなく「伝統的な怪物」って思いこまされているだけで伝統的というよりはレトロ映画由来と言った方が正確なような気がしてきた、ハロウィンキャラのラインナップ。
ハロウィンの仮装によくありそうなキャラがたくさん出てくる映画っていうと、「モンスターホテル」もあるけれど…
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ハエ男の元ネタは「蠅男の恐怖(1958年)」(これは20世紀FOXの映画)なんでしょ…。
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調理師の鐘つき男は「ノートルダム・ド・パリ」なんでしょ…。
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ちなみに、映画「ヴァン・ヘルシング」で過去に観たことがあるはずなのに
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snow-moonsea.hatenablog.jp
でもハロウィンの衣装に「マッドサイエンティスト」はあるのですよね。このイラストのヴィクターくんの衣装もGoogle検索したマッドサイエンティストのハロウィン衣装を参考にしたものです。
狂科学者は職業(+属性)であってモンスターじゃないけど……
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"マッドサイエンティストの祖"とか言われてるのは当のヴィクターくんらしいのですが、当人は研究室にこもり過ぎてガリガリに痩せてしまった大学生。(しかもわずか2年で人造人間を作ってる)
1931年版の映画のヘンリーも傲慢な青年科学者、というイメージだったので見た目のイメージはここからではなさそう。
ググってみて回った結果、ぼさぼさの髪型や年季の入った顔立ちはアインシュタインや映画「バックトゥザフューチャー」のドクの影響が強いとされている…みたい。
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画像を検索すると「なるほどね!」とは思うけれど元祖かどうかは不明。
服装も割烹着のような、所謂ドクターコートではないタイプの白衣で黒手袋というスタイルも「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」で観たけど元祖が分からない…。
エジプト衣装がハロウィン扱いされるのは前述の「ミイラの影響かな?」と思うものの、囚人、お姫様、カウボーイ辺りになってくると「悪霊、祓える…??」…と心配になりますが、"自分じゃないもの"に変身する事自体が魔除けになっているのかもですね。
というわけで、伝統的なモンスターとかいろいろ言いはしますが、現在に引き継がれている各モンスターのイメージはせいぜい80年かそこらがいいところなので、好きな恰好すればいいと思う、という結論です。
少なくともフランケンシュタイン、って名称でマスコットとかつくられたりとかしてるあれ、「本来のフランケンシュタインじゃねぇから!!!!」と自称・面倒くさい原作原理主義者の私は吠えますが、その蓄積されたイメージを私がどうこうできる問題ではないので「楽しく仮装すればいいんじゃない?」と適当な事を言いつつ、今日はここまで。
☆関連記事
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☆その後、プレゼンテーション化したものを記事にしました
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