海に浮かぶ月のはしっこ

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【ゲーム/FGO】パートナー英霊を追いかけた先は沼だった

2018年4月の入院時に「Fate/Grand Order」と関連のドラマCD"蒼銀のフラグメンツ"を聞いて(※嫉妬に悶えた)、友人から勧められた小説メアリー・シェリーの「フランケンシュタイン~或いは現代のプロメテウス」を読んだ、という話を書きましたが。
読書を避けていた私がそのおすすめ作品を実際に読むまでには時間をもう少し遡る。

FGOを始めたのは2017年の9月末の事。
もともとギリシャ神話を愛好してそちらでの活動を中心としている私の周囲には既にたくさんのマスター(プレイヤー)がいた。
ガチャが地獄」と言う友人たちは積極的に誘ってくる事はなかったけれど、TwitterのTLは常にその話で埋め尽くされている状態で、その様子を1年以上「皆楽しそうだけどスマホゲーは懲りてるしなぁ…」と笑って眺めていたものです。

転機が訪れたのが2017年の9月、☆4英霊プレゼントキャンペーンの時。
同じく「スマホゲーはなぁ…」と横目で見ていた親しい友人たちが次々にマスターになっていくのを見て、ふと既に長くプレイをしている先輩マスターに「こういうキャンペーン珍しいんですかね?」と聞いたところ、その回答に「まぁ登録するだけタダだし…登録するだけしておこうか」という気になったのがきっかけ。

「長く続けるコツは好きなキャラを見つけてとことん愛でる事だ!」と先輩マスターの方々はおっしゃいますが、性癖(キャラの好み)の範囲が狭い私には「いや、希望薄なんだけど…」としか思えなかったのです。
けれど、TLで流れてくるファンアートからナイチンゲール女史には興味があったので「何とかなるかなぁ」なんて思って進める事に。
(なお、ファーストパートナーはカーミラさん。)


ストーリーを駆け抜け、駆け抜け、好みのキャラを探す日々。
私の性癖キーワードは頂点が「(不可抗力の)変身・異形化」、次点は「ヘタレ男子」というところだけど、普段から滅多に現われないことが悩ましいのに、そんな簡単に見つかるはずもなくて。

アメリカ大陸を縦断した勢いでストーリーガチャを60連して爆死(☆4以上の英霊カードが1枚も出ない)し、先輩マスターに慰められて「ナイチンゲール女史は一旦諦めて、今いる子の中から推しを探します」と宣言。

その結果、3番目くらいに白羽の矢が立った"アサシンのバーサーカー"を初めてパーティに入れて宝具(必殺技)を見た時、
君しかいない
…と思ってしまって、それ以来ずっと一緒に旅している。

それが私とパートナー英霊"ヘンリー・ジキル&ハイド"、通称ジキルさんとハイドくんとの出会いです。
その後、人気作品の供給量に慣れていない私は名前を見るだけでも悶え苦しみ、Twitterでファンアートを見かけるだけでしばらく悶絶して動けなくなる(いつも心臓を吐く!と騒いでいる)程入れ込んでしまったのです。

なお、戦闘のクセが強いけどステータスを盛り過ぎて最近はアサシンのまま素殴りで戦っています…。


さて、私はあまりに派生作品が好き過ぎる場合は原作を避ける傾向にある。ジキルさんにおいてはまさにそれ。
イメージを壊されることが怖かったのです。
それに前述の通り、文学部卒だけど活字中毒ではないので自由時間に読書に時間をかけるのはどちらかというと苦痛。

けれど「タイトルだけで勝手に構築されているイメージ」からはさほどかけ離れていないが、アトリビュート(象徴的な持ち物)がそのイメージと結びつかない部分があり、腹をくくって原作を読むことにした。


こうして、スティーヴンソン「ジキル博士とハイド氏」(読んだのは新潮文庫版)の主人公・通称ジキおじに出会いますが、その場所は空の上……飛行機の中。
100ページ程度の短い小説なので1~2時間ほどで読み終わってしまい、けれどこの時点では原作のジキおじに対して魅力を感じなかったので、機内上映でも見るか~と選んだ「マイティー・ソー バトルロイヤル」。
アベンジャーズシリーズは継続的に見ているけれど、ハルクを見た瞬間妙な既視感が………。

帰国後、ブルース・バナー&ハルクについて調べてみました。
予感は的中で、彼のモデルは「ジキル博士とハイド氏」と「フランケンシュタイン~或いは現代のプロメテウス」のミックスだという。
…でも、前者はわかる。狂暴な別人に変身する博士。でも、後者は何だろう?

それまで「フランケンシュタイン」は数々のパロディ元になっている1931年版の映画しか知らず、ブルース・バナーと全く結びつかない。
原作を友人に勧められたことはあるけれど、原作を読んだことはない。
その時、丁度私の入院が決まっていた。「どうせ入院中は暇だろう、読むかはわからないが…」などと思っていたけれど、あまりの衝撃に2~3日で読み終えてしまった。


それが"フランケンシュタイン博士"…もとい、"ヴィクター・フランケンシュタインくん"との出会い。
マッドサイエンティストの祖と称される、臆病でコミュ障な23歳豆腐メンタル天才大学生である。


このことがやがて名作読書マラソンへの道を切り開いたのだから、まさに愛するパートナー英霊を追った先には沼が待っていたとしか言えない。
名作読書マラソンはまだ始まったばかり。これからが本番、かもね。