海に浮かぶ月のはしっこ

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【読書】透明人間(ハーバート・ジョージ・ウェルズ/イギリス/1897年)

初読時はキャラクターに感情移入が出来ないなぁと思ったのだけど…ケンプ医師が登場したあたりから透明人間が可愛くなってくるけどやっぱクズです。
ジャンルは「ホラー」「SF」「スリラー」あたりがキーワードかも。


透明人間グリフィンとねこです

M.S.F.P. No,4

作品情報

「透明人間」(The Invisible Man)
著者:ハーバート・ジョージ・ウェルズ
出版国:イギリス
出版年:1897年

読んだ時期:2018/7

書籍情報

透明人間 [完訳版] (偕成社文庫)

透明人間 [完訳版] (偕成社文庫)

偕成社文庫版は児童書と言いながら完訳。ルビとひらがなが多いので感じに変換されていないと意味がすぐにわからなくなった部分はあれど言葉づかいは優しいのですいすい。挿絵が入ってるのでイメージしやすいです。
翻訳は2003年。多分今のところ一番新しい。でも面白かったので岩波文庫版も読みたいよね。

私の読む前の前提知識

きっかけ

名作読書マラソンを志した所で、次の本…出来ればマッドサイエンティストモノで何か読みたいと思っていたところ。
スマホゲー「Fate/Grand OrderFGO)」の1.5章新宿で"科学者が出てくるウェルズの著作"について言及があり、「これは…?」とウェルズの名をググった所ヒットしたのがこのタイトル。
ウィキペディアに「「ジキル博士とハイド氏」に影響を受けて書かれた」との記載があったので本当かデマかはともかく読まなければと思った次第。

ちなみに、偕成社文庫版の解説に影響を受けた作品について言及があったのでデマじゃないっぽい。

ミリしら ~タイトルだけで知った気になっていた内容~

町で謎の怪人が現れるという噂が広まる。なんでも、首から上がないらしい。
主人公はひょんなことからその噂の怪人と遭遇、驚いて怪人を攻撃して逃げ出してしまう。
しかし翌日から彼の家に何者かの気配を感じるようになり…

…みたいな疑心暗鬼系ホラー。

読んだ結果

→ 結果: 大体合ってた、けど…。

主人公の透明人間がマジでクズ過ぎてハイド氏か可愛くなってくるレベル。

感想

透明人間の本名はグリフィン(名前の意味は「赤い」)という。外見は白っぽい髪に透き通ってピンクがかった肌、そして赤い目。生まれつき色素が薄かったと言う彼は所謂アルビノ体質。学校でも目立っていたと自分で言っているので苦労も多かったのではないかと推測する。
けれど、そういった身の上話が出てくるのは中盤の後半に差し掛かったところ。グリフィンが素性を明かすまではコートに帽子、マフラーにゴーグル、手袋を身に付けた包帯だらけの謎の男の奇行について語られている。なので反芻した方が面白いと思う。
そんなグリフィンだけど、とにかく小説序盤にいたるまでの行動がクズで、小説後半は鉄パイプで通行人を殺害するなどの行動に走るのでやっぱりクズだと思う。…のだけど、透明なのは肉体だけなので全裸になって逃走するから寒くて風邪をひく、などのくだりは可愛げがあって中盤以降は感情移入が楽しい。
けれど変身モノとしてのポイントは抑えていて、"透明故に犯人として特定されない(故に、犯罪を犯す事も平気になっていく)というメリットと引き換えに、透明故に第三者からはどの程度殴ったのかわからない、というリスクによって破滅する。
ので、変身モノとしても美味しく頂いたのでした。

独自研究など

ミリしらの理由(現在構築されたイメージとの差異の原因)

包帯をぐるぐる巻きにしたコートの男、というイメージは現在のモンスターパロディ等でもよく見かけるけどそれは原作のままなのですね。
ただ、私あまり透明人間が悪役に回るイメージがそこまで強くなくて。ミリしらが悪役になった理由はホラーだと聞いたからが起因している。恐らく幼少期に見た日本の連続ドラマ「透明人間」の主人公(謎の男から貰った薬を飲んで透明になるけど、やっぱり服は透明にならないので全裸にならないと駄目)が透明になって悪事を暴いていく正義側の人間だったからだと思う。
そうか~…本物はクズだったか~…。

関連作品

透明人間(1996年のドラマ)

(原作に忠実な映画とかがあったら、やっぱり鉄パイプで殴ったりするんだろうか…)