海に浮かぶ月のはしっこ

映画や文学作品、神話関連その他の事をおぼえがきしますよ

【観光】英国一人旅 15 / プリムローズ・ヒル&ブルームズベリー広場 5月26日

7年勤めたグレーな会社を退職した私が初めて行った海外一人旅の文学聖地巡礼の記録、15記事目!
4日目の昼…となりました。
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●前回までのお話
パック旅行ツアーの丸一日自由行動の日。
13~14記事目では朝9時頃に『ジキル博士とハイド氏』に登場するリージェンツパークを堪能し、10時頃に言わずと知れた『緋色の研究』のベイカーストリート221Bでシャーロック・ホームズ博物館を見学した所まで。
snow-moonsea.hatenablog.jp
さて、『ジキル博士とハイド氏』→『緋色の研究』ときて、次の聖地巡礼文学は…?

次の目的地は…『透明人間』の聖地巡礼

2019年5月26日の昼は『透明人間』聖地巡礼ターンとなりました(*'ω'*)

透明人間 (岩波文庫)

透明人間 (岩波文庫)

透明人間 [完訳版] (偕成社文庫)

透明人間 [完訳版] (偕成社文庫)

『透明人間』の聖地巡礼といえば、二日目にあたる5月24日に「コヴェントガーデン・マーケット」に行っていますね。
snow-moonsea.hatenablog.jp
『透明人間』の主人公はSF系の専門書などで"マッドサイエンティストの祖"とされる主人公群の一人。
そして私が個人的に、同じく"マッドサイエンティストの祖"にあたる『フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス』、『ジキル博士とハイド氏』と同列に並べて愛でている作品の一つです。

まぁでも、彼らは"概念"が先行して彼らの本来の設定って知らない方が多いんじゃないかなと思っています。私もそうだったし…本来の設定を知ってドハマりしたからこそ、私はロンドンを歩いていたわけです。
一番衝撃を受けたのはヴィクター・フランケンシュタインなんですが…博士号すら持ってないヘタレ大学生…最高。


ハーバート・ジョージ・ウェルズ『透明人間』(1897年)は突然現れた透明人間による騒動で右往左往する田舎町(アイピングという町)が描かれている19世紀のSF小説その透明人間は、長らくロンドンに住んでいた"グリフィン"という名の貧乏科学者。収入の為に大学で講師を勤めていたようです。高学歴ワーキングプア年齢は単純計算で32歳くらい。
自分が白い髪、透き通るようなピンク色の肌、血走ったガーネット色の目を持つ、所謂アルビノの体質だった事をヒントに透明になる薬を作ったものの、家賃が払えない程に貧しく、自暴自棄になって自ら薬を飲んで逃げ出した事を発端として大騒ぎになってしまいます。彼が(服までは透明にならないために)全裸で雪が降っている1月の極寒のロンドンを彷徨うシーンは面白くも泣けてきます(;^^)

なお、"グリフィン"という名前がファーストネームなのかファミリーネームなのかは不明ですが、ユニバーサル映画では"ジャック・グリフィン"という名前が付けられているようです。
よく映画などでは恋愛方面やエロ方面に持っていかれる透明人間(概念)ですが、原作の彼はこんな感じで余裕のない人物です。アルビノ設定なのは流石にびっくりしましたが…まぁ、自暴自棄になって大暴れしますし、善人ではないですね(;^_^)


そんなグリフィンですが、『透明人間』でグリフィンがさ迷い歩いた地名はほとんどロンドンの大英博物館周辺に集中しており、実際に歩くことが出来ます(*'ω'*)

今回の聖地巡礼ではポイントをいくつかに絞って実際に歩いてみようという試みをしています。

イカー街221Bからプリムローズ・ヒル

イカー街221Bの次の目的地プリムローズ・ヒルはグリフィンが今後の自分について考えていた場所。グリフィンは徒歩でプリムローズ・ヒルまで行き、徒歩で自宅へ戻っています。

名探偵シャーロック・ホームズとその相棒ジョン・H・ワトソンのコンビが住んでいた「ベイカー・ストリート221B」。その1kmほど東には「グレイト・ポートランドストリート」というエリアがあり、グリフィンの住所はそこです。

私はそのとき既にチェジルストウを離れ、ロンドンに部屋を借りた。昨年の十二月のことだ。そこはグレイト・ポートランド街近くの貧民街にある管理の悪い下宿の一室で、家具は付いていなかった。その部屋は(父親から)盗んだ金で買い入れた器具でいっぱいになってしまった。
H・G・ウェルズ『透明人間』橋本槇矩(訳)、岩波書店(1992)、P.150

ちなみに、『ジキル博士とハイド氏』の登場人物たちも「ベイカー・ストリート221B」の南東1.2km先にヘイスティ・ラニヨンの住所「キャベンディッシュ・スクエア」、1.5kmほど先にエドワード・ハイドの住所「ソーホー」があり、ヘンリー・ジキルもそこから簡単に歩いて行ける距離の場所に住んでいる。ヘンリー・ジキルが散歩していた公園「リージェンツ・パーク」は「ベイカー・ストリート221B」から東に100mです。近ッ。
お前らご近所さんかよ、って気持ちになります。ロンドンって一言で言っても結構広いのに…(;・ω・)

そして、次なる目的の場所「プリムローズ・ヒル」は「ベイカー・ストリート221B」から「リージェンツ・パーク」を北へ縦断して1.6km先にあります。

しかし、この距離感が微妙。
リージェンツ・パークの散歩を堪能しながら歩こうと思えば歩けるけれど、道のりで歩くと目的地まで30分くらいかかる。
予定を組んでいた時から気がかりだったのは、スケジュールの4日目の昼でまだ午後と翌日もスケジュールみっちりの状態で体力を消費して大丈夫なのかという事。

地下鉄で行くことを考えたのですが、プリムローズ・ヒルからその最寄りの地下鉄の駅(チョークファーム駅)まで700~800m程度あり、往復すると1.6km。その上、現在地であるイカーストリート駅からチョークファーム駅へは乗換が面倒くさい。

そう、3日目の夜、「スケジュールからプリムローズ・ヒルを外す」という選択肢にかなりギリギリまで迷っていたのはこれが理由でした。他の場所から移動するにも行きづらいし…。

「ベイカー街221B」→「プリムローズ・ヒル」まで道路を経由して行くと約2kmといったところ。この中途半端な道のりを行く選択肢としては4つ。

・徒歩(30分かかる)
・タクシー(値段は日本の倍くらいする)
・レンタサイクル(現地に行って思い知ったけど、絶対初心者にはめっちゃ危ない)
・バス(乗り方が不安)

というわけで試練ですが、バスに乗ることを決意したのです。
前日の夜に…。

★レンタサイクルの話題は過去記事にもあります
snow-moonsea.hatenablog.jp

試練:乗合バスに乗ってみよう!

私は生まれも育ちも電車の発達したベッドタウンの住人で、自転車と電車でどこでも行ってしまうタイプの人間。自転車ですら一人ですっころんで怪我をするので自動車やバイクの免許を持っていません(;^ω^)死んじゃうからね…。
そして自転車を愛し、乗合バスに乗ることはほとんどありません。

そんな私なので、日本ですら乗合バスに乗り慣れない。英語もろくにわからず、イギリスに来るのも初めての、しかも単独行動をしている私が難なくバスで移動できるか不安でたまらない。
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バス停を探してベイカーストリートから北へ、北へ。

結果的にGoogleマップの勧めるバス停「Alpha Close (Stop LC)」から乗ったものの、「もう一つ手前のバス停(Park Road Ivor Place)でも良かったのでは?」と首を傾げつつ、路線を間違えると大変な事になるのでGoogleマップに従うチキンな私。
目的地は「Primrose Hill (Stop H)」で路線名は「274」なので今考えるとやっぱりもう一つ前のバス停でも良かったような気がしますね(;^ω^)

乗るのは街中を走る赤い二階建てバス。
待合所には他のお客さんもいて、見よう見まねで意外にもスムーズに乗れてしまったのですが、絶対日本のバスよりスピード出てるし運転が荒いと思う
急発進する勢いで「ぎゃっ」と間抜けな声を出してコケてしまったため、ちょっとクスクス声が聞こえたような。スピードも速いので何とか乗れたという安堵もあれど、緊張感も相まって手すりに掴まっていないとあんまり安心できず。
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写真を撮っている心の余裕も微妙な所…。

終始落ち着かなかったものの、「Primrose Hill (Stop H)」でボタンを押して何とか無事に目的地で降りることが出来ました(*'ω'*)

バスの乗り方と注意点

バスの乗り方については一応疲れた時やプリムローズ・ヒルに行く決心がついた時の為に「地球の歩き方」で予習済み。

A03 地球の歩き方 ロンドン 2020~2021

A03 地球の歩き方 ロンドン 2020~2021

  • 発売日: 2020/02/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
予習ノートには以下のようにメモが書かれていました。

<バスの乗り方:オイスターカード>
1.路線を確認
2.手を真横に出す
3.黄色くて丸い所にカードをタッチする
4.降りる時はボタンを押す

概ね日本のバスと同じですね。
ただし、ロンドンのバスは現金支払いが出来ません。切符も存在しないので、乗車一回ずつの支払いなら「オイスターカード」が必要です。

この乗り方はオイスターカード…つまりロンドン版Suicaを使った乗り方なので、乗り放題系のトラベルカードの場合は少し違うかもしれません。
オイスターカードにも通常のオイスターカードと観光客向けのビジター・オイスターカードという選択肢があり、前者は簡単に手に入るのに対して後者は手に入れる方法が若干面倒くさかったり割引特典を受けられる施設が限られている等の理由があって私は前者にしちゃったんですけどね)

オイスターカードを読み取り部分にピッてやってお支払い完了です。金額は乗車1回あたり£1.5で、上限は£4.5(2019年時点)。つまり3回以上乗ったらその日はそれ以上のバス代がかからないシステムです。観光客に優しい…。

ロンドンの市内ならバス代がどこから乗ってどこで降りようと乗車一回単位の金額で統一されているところや一回当たりの金額自体も、東京のシステムによく似ていますね。

プリムローズ・ヒル

前日あんなに悩んで、「やっぱり諦めるのはやめよう」大英図書館に行くのをやめてまでたどり着いたプリムローズ・ヒル。まぁ正直言って、最終的な感想を言ってしまうと本当に多少の無理をしても行って良かった

最も、それは私が文学(をサブカル的に愛する)オタクであり、文学聖地を求めてロンドンに来ているという理由の上で感じた感想なので、上記に述べた通り、「交通の便上の行きづらさ」や「誰もが感動するような何か大きな見どころがあるかどうか」という事を考慮すると、全ての人にお勧めできるスポットかどうかは微妙な所です(;^ω^)
ほとんどの人はリージェンツ・パークだけで十分なんじゃないかな…駅からも近いしバラ園は美しいし。

地球の歩き方に「プリムローズ・ヒル」が載っていない時点でお察しください。

でも私にとっては、想像以上の収穫と、本当に行って良かったという満足感の塊でした。


バス停から少し歩いて公園の中に入っていきます。
いきなり「着いたー!!」という達成感で満たされる。
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にわか雨があるかも、という予報を忘れてしまうような青空。
すがすがしい天気です(*'ω'*)

でも達成感も束の間、私を驚かせたのはこの歩道のほんの少し先。
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その名の通り、丘がある。
小説のまま、丘がある。

いや、プリムローズ・ヒル(丘)なのだから丘があるのは当然と言えば当然なのですが、こういう拓けていて登れる丘になっている感じってイメージしづらいというか…もっとなだらかな斜面だと思っていましたし、文字情報だけを受け取って想像したものが視覚的に入ってくる感じってこんなにも尊いのかと感激するのです。


Googleマップの情報によると丘の上には展望台があるという事なのでせっせと登りました。
「展望台というからには鉄製の柵や小屋が設けられていて望遠鏡みたいなものが設置されているのであろう」と日本の観光地みたいな光景を想像していたのですが…展望台といっても、特に何かがあるというわけではなく、繊維でできた緑の柵に囲まれたエリアの真ん中に、展望台である事説明したプレートがあるだけ。
望遠鏡があるとか、そういったものは何もなく。まさに自然のままの形の展望台。
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展望台ではリュックサックを背負ったお兄さんたちがたくさん固まっていたので、その場を少し避けて適当な場所にレジャーシートを敷いて一休みすることにしました。

でも、たったこれだけのことですが、ここに立った私は感動で打ち震えておりました。

【文学聖地】『透明人間』:プリムローズ・ヒル

レジャーシートも敷いたところでサクッと聖地巡礼マーキング。
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暑いけどジメジメしないから風が気持ちいいです。

でも私を何よりも感動させたのは、この美しい景色でした。しかも、この景色には特別な意味があるように思えたのです。
何故なら、ロンドンを見渡すことが出来るから。

この景色、実は小説の中には一切語られていないのです。
下記、プリムローズ・ヒルが描写されている部分を引用します。

私の運命が変わった日の朝のことはよく覚えている。グレイト・ポートランド街を歩いていくとオルバニー通りの兵舎から騎馬隊が出てきたことも覚えている。気がついてみると私はプリムローズの丘の上にいた。陽は明るく降りそそいでいたが、気分はすぐれなかった。
今年と同じで雪の降る前に続くあの晴れた寒い日の1日だった。私は疲れた頭で自分の置かれた状況や計画の実行などについて思案していた。私は自分の研究の成果があともう少しで手にできるのに、それを実行に移した場合の結果については何も予測できないことに唖然としていた。私は疲れ切っていたのだ。四年間の厳しい研究生活が私の感情を摩滅させ、無感動な人間にしてしまった。昔の情熱や父を自殺にまで追いやった研究への意気込みを取り戻そうとしたが無駄であった。この世に価値のあるものは何もないという気がした。しかしこれも過労と睡眠不足のせいだ。睡眠薬で一眠りするか、充分な休息を取れば元気を回復出来るだろうと考えた。
H・G・ウェルズ『透明人間』橋本槇矩(訳)、岩波書店(1992)、P156

ついでにもう一つ別の訳でも紹介しておきます。

世界ががらりと変わった日の朝のことも、あざやかに思い出す。ぼくはグレート・ポートランド通りを歩いていた。アルバニー通りの兵舎から、騎兵隊の兵士たちがでてきたのを覚えている。いつしかプリムローズ丘のてっぺんにすわっていたが、太陽の光を浴びているのに、ぼくは気が滅入って落ち着かなかった。一月の晴れた日だった。新年の初雪のまえによくある、冷え切った晴れの日だ。ぼくはつかれた頭で、計画を実行すればどうなるかを考えようとした。
とてもむりだと思っていたことが、もうすこしで実現する――ぼくはそれにおどろいていた。じつは、へとへとにつかれていた。四年間、ぶっつづけで研究にうちこんできたからだろう。神経がぎりぎりまで追い詰められ、感情がのびきったゴムのようになり、老いた父親を破滅させてまで新発見にかけた情熱を思いだそうとした。だが、そうはいかず、気がぬけたようになっていた。はたらきすぎと睡眠不足からくる、一時的な気分だとはわかっていた。睡眠薬をのむか、たっぷりと休みをとれば、気力も回復するだろう。
H.G. ウェルズ 『透明人間 [完訳版]』雨沢 泰(訳)、偕成社(2003)、P.187

この時のグリフィンは「才能はあるが高学歴ワーキングプア」という辛すぎる身の上で、実家からお金を勝手に持ち出してしまうのですが、実はそのお金は借金であり、グリフィンがお金を持ち出したことで借金を返済出来なくなった父親が自殺。
白い猫に研究途中の薬を飲ませて透明になる薬がほぼ完成していることを確認したものの、自分はこの先どうすればよいのか思い悩んでいる…というシーンです。
設定が妙にリアルで重い…。

グリフィンは田舎で大学の講師として働いていましたが、お金が回らなくなり、実家のお金を持ち出した1カ月ほど前に6年ぶりにロンドンに戻ってきています。だからロンドンにはあと一歩で完成する研究の仕上げをするために戻って来たようなもの。しかもグリフィンが父親の死を知ったのは、父親から盗んできたお金で実験器具を買い揃えた矢先のことなのです。
そんな彼がふらふらとたどり着いたプリムローズ・ヒルで呆然と眺めていた景色こそが、これなのです。

一望できるロンドンの街並み。
グリフィンがこの丘に登り、自分の身の上を嘆くような事を思ったのは、ロンドンの街を見渡せる場所だったからなんだね。

これは流石にここに来なければわからなかった。
だって本文に書いてないんだもの。

プリムローズ・ヒル・ピクニック

レジャーシートを敷き、リュックサックに詰めてきたポテトチップスをポリポリしながら水分補給。

↑初日にスーパーマーケットで買った、これの小さいのです


オビツ11で作ったグリフィンを本物のプリムローズ・ヒルに立たせたりしました(*'ω'*)
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ちょっと哀愁がある……?
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良い感じの風が吹いています。
風でふわふわとはためいている白いリボンは包帯。透明になってしまったグリフィンが透明になった故の弊害に疲れ果て、自分を可視化させるために身に着けた装備の一つです。(その為、大怪我をしている人だと思われている)
薬を飲む前のグリフィンのアトリビュートアルビノである事くらいなのですが、「透明人間(概念)」からは遠くなってしまうので巻き、ボディは"ホワイティ"より白くピンクがかった"スーパーホワイティ"を使用しています。
アルビノカラーはドールによく映えますね(*'ω'*)

アトリビュート:美術用語の一種で、特定の人物を表す為の目印とされている物品やデザインの事)


リージェンツ・パークは地元の人たちに愛されている場所であると同時に、カメラを持った観光客らしき人がたくさんいた印象がありますが、プリムローズ・ヒルの方は割合で言えば地元の人らしき人の方が明らかに多い印象。

写真を撮ったりおやつを食べたりしてのんびりしている時にふと右後ろを振り返ると、ビキニみたいな姿の女性がシルバーの板を持って日光浴をしていてビックリ
ここ、ビーチじゃないですけど!??!?
しかも写真の編集時に気が付いたけれど、撮影した写真の奥にもタンクトップの女性がシートの上に寝ころんでいるのが映っている…。

驚きながらも、添乗員さんの言葉が思い出されます。
今の季節は一年の中でもとても日の長い時期…という話。
ロンドンは東京に比べ緯度がかなり高く、年間日照時間も日本より400時間前後短いらしい。5月末というと東京ではまだまだ夏には遠い気がするけれど、それは梅雨を挟むからです。
少し暑いな~と思う程度の陽気ではありますが、そもそもロンドンは北海道より北にある東京よりずっと寒い地域です。
つまり、観光客である私には全然ピンとこないけれど、「ロンドンの人にとってはほぼ夏」という認識だとしても自然な事なのかもしれない。

天然の日焼けサロンかぁ……いいなぁ(*'ω'*)


そう思いながらふと左後ろを見ると、大型犬を連れたお兄さんと車いすのお兄さんが談笑しながらサンドイッチを食べていました。地元の人なのでしょうけれど、サンドイッチを持ってくるだけでちょっとしたピクニックですね。

凄い和やか……いいなぁ(*'ω'*)

現地時間11時55分。
時間的にもちょうどお昼ですものね。写真の履歴計算すると、レジャーシートを敷いてから30分以上も遠くに見えるロンドンを眺めていたようです。

名残惜しいですが、もしも食事を取るつもりならそろそろプリムローズ・ヒルを去らねばなりません(>_<)

次の目的地は…?

「プリムローズ・ヒル」の次の大きな目的地は「大英博物館」。ツアーで立ち寄った時に予定を済ませておこうと思ったのに、上手くいきませんでした。
それに時間を割くことを考慮すると早めに大英博物館に到着する方が良いですが、他にも余裕があったら立ち寄ってみたいスポットがあります。

どちらにせよ、「大英博物館」に向かって移動することにしました。
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名残惜しいですが丘を下っていきます…………。
出口の周辺で白い花が満開に咲いている木がありました。
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調べてみたのですが、この木の種類はわからず…。

プリムローズ・ヒルからトッテナム・コート・ロードへ

「プリムローズ・ヒル」の最寄り駅は700m先のチョーク・ファーム駅で、路線はNorthern lineしか通っていません。
大英博物館に行くにはいくつかのルートの選択肢がありますが、「地下鉄の乗り換えを少なく」と考えるとNorthern lineの通っているトッテナム・コート・ロード駅から300mほど歩くのが良さそうです。

まぁ…この時はこれが「やや誤算」である事には気づいていないわけですが…。

プリムローズ・ヒルからチョークファーム駅へはまっすぐ一直線の広い道路です。駅前の周辺は多少入り組んでいますが、そこまでの道は迷わずに済みそう。
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この周辺は多国籍料理の店が多く、中にはギリシャ料理のお店もあります。でも焦る気持ちや、レストランに入ってからの注文が心配で、お店の前で一瞬立ち止まったものの、入らずに先を急いでしまいました。

この道路はリージェンツ・パークから繋がっている道で、リージェンツ・パーク・ロードというらしい。
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多国籍料理の店が連続した所をさらに進むと、パステルカラーの可愛らしい街並みが広がっています。若干、シルバニアファミリーの洋風の街並みのセットを思い出すような可愛らしさ(*'ω'*)

更に先へ進んで行くと線路の上にかかる橋があります。
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この周辺は先ほどの可愛らしい街並みから少し雰囲気が変わり、壁の落書きなどがロックの街の側面があることを思い出させてくれます…笑
橋に描かれている絵は落書きではなく元々の塗装なのでしょうけれど、お魚の絵柄でとっても可愛らしい(*'ω'*)

橋を越えればチョーク・ファーム駅はすぐそこ。
地下鉄に乗ってトッテナム・コート・ロード駅へ一気にショートカットします ( `・ω・´)+

ここがトッテナム・コート・ロード駅。
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実はこの周辺も『透明人間』で描写されているシーンがあります。

【文学聖地】『透明人間』:トッテナム・コート・ロード

ちょっと向きがこの向きではないと思いますが……駅の名前にもなっている「トッテナム・コート・ロード」は『透明人間』に登場しています。
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研究中の薬で透明になり、家賃を払えないために家を飛び出したグリフィンは服までは透明にならないために服を脱ぎ捨て、全裸でロンドンを彷徨うのですが……1月ですから、雪が降ってくる。
死んじゃうよ!!( ゚Д゚)

ふるえも止まらず風邪の前兆であるくしゃみをし、腰の痛みがますますひどくなるのを気にしながら、トッテナム・コート通りへ入って行った
H.G. ウェルズ 『透明人間 [完訳版]』雨沢 泰(訳)、偕成社(2003)、P.165

いやそりゃ風邪も引きますわ。
"ちょっとした騒動"があって、行き場を失ったグリフィンはまたトッテナム・コート・ロードを歩いてデパートへ行きます。

ふとそのときひとつの考えが浮かんだ。私はトッテナム・コート通りを選び、オムニアム百貨店に着いた。
H.G. ウェルズ 『透明人間 [完訳版]』雨沢 泰(訳)、偕成社(2003)、P.170

閉店後のデパートに潜んだグリフィンは毛布でぬくぬくして一晩過ごしますが、事はそう簡単に済まないのでした。

トッテナム・コート・ロード駅から大英博物館を素通りし…

時間に余裕がありますし、せっかくなので大英博物館に入る前に立ち寄っておこうと思う場所があって、大英博物館前より一本南の道…「ブルームズベリー・ウェイ」を通って東へ進みました。

ギリシャ風のちょっと変わった建物があったので写真におさめましたが、後で調べたところ、これは「コメディ・ミュージアム(Museum of Comedy)」というスポットらしく、教会の下(おそらく、この建物の地下)に美術館があるそうです。
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www.museumofcomedy.com

この道が「ブルームズベリー・ウェイ」。
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奥に見える緑の木が生えている場所が寄り道したかったスポットです。

更に近づくと、木が生い茂っているのがわかります。
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ここを曲がって突っ切った左手がすぐ大英博物館
この緑に囲まれたエリアの名前は「ブルームズベリー広場庭園」。ここもまた、『透明人間』の聖地なのです。
www.londongardensonline.org.uk

【文学聖地】『透明人間』:ブルームズベリー広場

Googleマップでは「ブルームズベリー広場庭園」という表記になっていますが、位置関係から推測してここで間違いないと思います。
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町中にあるちょっとした公園、といった感じで、遊具などはありませんが花壇やベンチなどが並んでいます。タワーマンションの中庭のようでもあります。
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公園の北側に像がありました。
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誰の像なのかわかりませんでしたが、名前を見ると「チャールズ・ジェームズ・フォックス卿」……18世紀の政治家だそうです。


さて、文学聖地として見ると、この場所は透明&全裸でトッテナム・コート・ロードを歩いていたグリフィンが"ちょっとした騒動"に巻き込まれた場所の周辺です。

私は慌てて飛び降りたが危うく背後から来た鉄道馬車に轢き殺されるところであった。大英博物館の北側を通り、人通りの少ないところへ出ようと思い、ブルームズベリー広場へ急いだ。そのころには身体が冷えきっていた。自分の情けない境遇に、走りながら泣けて仕方なかった。広場の北側へ来たときである。薬剤師協会の事務所から一匹の白い小犬が走り出てきて、鼻を地面に擦りつけながら私の方へ向かってきた。犬の鼻は人間の眼と同じだ。小犬は吠えだした。私に気づいたらしい。
H・G・ウェルズ『透明人間』橋本槇矩(訳)、岩波書店(1992)、P.165〜166

グリフィン……(´;ω;`)
ちょっとこれだけ見るとあまりに可哀想なんですが、透明になって家を飛び出す際に、証拠隠滅の為に自宅に放火している(しかも下宿なので借家だし大家さんとかも住んでる)ので、自業自得感が出てしまうんですが…(;^ω^)


大英博物館の北から来たという事は、グリフィンが白い犬に襲われたのは、恐らくこの道。
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「という事は、グリフィンが見ていた景色はこんな感じであろう」ということで、北側の道からブルームズベリー広場を見ながら聖地巡礼マーキング写真をパチリ。
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と、これで私も寄り道を終えたので大英博物館に入ろうと思います(*'ω'*)

大英博物館へ…と思ったら…。

大英博物館の正面玄関は「ブルームズベリー広場」のすぐ左手。
ところが…
門が閉まっている

正門ではなく、北側の裏口から入れという事らしいです。何という事でしょう…。
スケジュール2日目にツアーで訪れた時は団体客として裏口から通されたので個人で来る時は正門から入りたかったのに!(>_<)

……と悔しがっても仕方ありません。
正門のアシリパさんだけ撮影して、ぐるりと一周することにしました。
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【文学聖地】『透明人間』:大英博物館(の北側の道)

(半ヤケですが)一応大英博物館(の北側の道)もグリフィンの歩いた道という事で楽しもうと思い、写真を撮っていました。
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この道が「モンタギュー・プレイス」。ちょうど大英博物館の北に面した道です。

私は慌てて飛び降りたが危うく背後から来た鉄道馬車に轢き殺されるところであった。大英博物館の北側を通り、人通りの少ないところへ出ようと思い、ブルームズベリー広場へ急いだ。そのころには身体が冷えきっていた。自分の情けない境遇に、走りながら泣けて仕方なかった。広場の北側へ来たときである。薬剤師協会の事務所から一匹の白い小犬が走り出てきて、鼻を地面に擦りつけながら私の方へ向かってきた。犬の鼻は人間の眼と同じだ。小犬は吠えだした。私に気づいたらしい。
H・G・ウェルズ『透明人間』橋本槇矩(訳)、岩波書店(1992)、P.165〜166

この道を通り、右手に曲がってブルームズベリー広場に行こうとしたところを白い犬に追いかけられたのですね(*'ω'*)

まっすぐ進んで行くと、木々で囲まれた裏門周辺のエリアが近づいてきました。
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かなり並ぶのではないかと心配していた手荷物検査も案外早く終わり、大英博物館に入ることが出来ました。
しかし、なんだか遠回りをした上に昼食を取らずにここまで来てしまい、この頃にはかなりの疲労感が出てきていました(;^ω^)

次回予告

さて、いよいよ大英博物館の中へ。
出国前から気になっていたレプリカのネックレスは買えるのでしょうか!?そして私の空腹は…!?
待て次回!

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