7年勤めたグレーな会社を退職した私が初めて行った英国一人旅の記録、ついに14記事目となりました(/・ω・)/
今記事で4日目の午前中を終わらせることが出来るでしょうか…!?
●前回までのお話
旅は4日目…パック旅行ツアーの丸一日自由行動の日です。朝9時頃にリージェンツパークに到着した私は、『ジキル博士とハイド氏』に登場する「リージェンツ・パーク」を散歩したのですが、季節的にもバラが咲き誇っており、本当に良い体験をしました。
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さて、長居はしたかったけれど次の予定が迫っています。リージェンツ・パークをすり抜けて……「ベイカー街」へ。
次の目的地は…「ベイカー街221B」
2019年5月26日、2つ目のスポットは「ベイカーストリート221B」。2つ目のスポットも文学聖地巡礼のポイントとなるスポットです。
言わずと知れた、世界的に有名な名探偵シャーロック・ホームズの家があった場所です(*'ω'*)
住所についてはシリーズ第一作目『緋色の研究』に書かれています。
- 作者:アーサー・コナン・ドイル
- 発売日: 2006/07/12
- メディア: 文庫
…とはいっても、私は今作については図書室で借りて読んだので本を持っていないのですが…(;^ω^)
なので本文の引用はパブリックドメイン公開されているプロジェクトグーテンベルグ(Project Gutenberg)と青空文庫から引用させていただきます。
WE met next day as he had arranged, and inspected the rooms at No. 221B, 5 Baker Street, of which he had spoken at our meeting.
A Study in Scarlet(1887)by Arthur Conan Doyle , Project Gutenberg
翌日、我々は約束通りに合流し、懸案のベイカー街二二一番地Bの部屋を見に行った。
アーサー・コナン・ドイル「緋のエチュード A STUDY IN SCARLET」大久保ゆう(訳)、青空文庫
今作が出版された頃は「ベイカー街221B」とは区画の都合で存在しない住所だったらしいのですが、現在は区画整理で存在する住所になりました。その結果、「ベイカー街221B」は、この設定にちなんで『シャーロック・ホームズ博物館』が建てられています。
ええ~なんかそれ凄くロマン…(*ノωノ)
粋な事をしますねぇ…。
リージェンツ・パーク から ベイカー・ストリートへ
リージェンツ・パークからベイカー・ストリート、もしくは『ジキル博士とハイド氏』から『緋色の研究』へ。この二つの作品は出版年が1年しか違わない上に、リージェンツ・パークを南西に抜けたところがすぐベイカー・ストリートです。
ちなみに、リージェンツ・パークを南東に抜けたところがすぐ『透明人間』で主人公のグリフィンが住んでいた住所、グレートポートランドストリート周辺です。多分、ショタジジちゃん(※エドワード・ハイド)が隠れていたホテル(ポートランドストリート)もその辺りなんじゃないかな。
聖地巡礼としては滅茶苦茶楽ですし、各々の作品の領域が微妙に重なっているところにエモーション感じちゃいますね!! ( `・ω・´)+
ただ、リージェンツ・パークってただひたすらに、広い。「クイーン・メアリーズ・ローズガーデン」のエリアを出たのはいいけれど、行く手を湖に遮られる。
のどかで散歩するのはとても気持ちいいんですけどね~(*'ω'*)川の向こうに大きな建物が見えましたが、Googleマップによればあれは大学らしいです。
湖をなかなか渡ることが出来ず、大学らしき大きな敷地に迷い込みそうになりながら、何とか湖を渡る橋を見つけました(;^ω^)
車や人通りの少ない静かな道路を「こっちで良いのかな…」とおろおろしながらさ迷い歩き…ようやく大きな道路に出たところで何かの建物に人がたくさん並んでいる光景を見つけることが出来ました!
【文学聖地】ベイカー街221B「シャーロック・ホームズ博物館」
普通の住宅街のような建物の並びに突然現れた人の列。それこそが「シャーロック・ホームズ博物館」。
www.sherlock-holmes.co.uk
この写真は博物館から出た後に撮影したものなのですが、私が到着した時には既にこの2/3くらいは並んでいましたね。
植物が植えられている窓のあたりに、青い丸いプレート…ブループラーク(blue plaque)が小さく見えます。以前ソーホーに行った時も、ビートルズのブループラークがありましたが、簡易版記念碑みたいなもので、「ここは【著名人】が○○した場所です(××〜××年)」という目印。
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シャーロック・ホームズは架空の人物として唯一ブループラークを持つ存在らしいです。すげぇ( ゚Д゚)
↓ ブループラークの検索はこちら
openplaques.org
入場前
入場ルールとしてはまず入り口右手にあるミュージアムショップで「入場チケット兼パンフレット」を購入。
一番奥のグッズのカウンターで「ticket please」と言えれば何とかなる感じ(;^ω^)
パンフレットは色々な言語があるらしく、欲しい言語を聞いてくれます。日本語版もありますよ(*'ω'*)
というわけでチケットを購入。価格は15ポンド。日本円にして2000円強、といったところ。
スタッフ用出入り口もお洒落です…(*ノωノ)
博物館の外のショーケースには世界観を思わせるものが並びます。
お土産が並んでいる箇所で目を奪われたのが、テディベア。
シャーロック・ホームズ(概念)の衣装を着ている……!!!
帰りにミュージアムショップで大きいのと小さいのをお持ち帰りしました(;^ω^)小さい方は妹へのお土産で。
入り口が近づいてきて、ようやく看板が見えました。
入場券に入場の印をつけてくれる門番の衣装を着たお兄さんが立っているのですが…そのお兄さんに英語で話しかけられてビビる。
「リュックサック(バックパック)は体の前に」、って言われたらしく、咄嗟に元気よく「yes!」って言っちゃったけど言うなら「OK!」だったな…と妙な恥ずかしさが記憶に刻み付けられています…(>_<)
そう、この日は色々と買い物もするだろうと思っていたので折り畳みのリュックサックを背負っていたのですよね。
一定数の人が見学を終えて出てくるまで入場させない入場制限方式を取っているようで、人が居なくなったタイミングで反対側から入り口を撮影してみました。
滅茶苦茶お洒落だし、入り口にかけられた帽子がキャラクターのアトリビュートになっているのが最高に良いですね……。
(アトリビュート:美術用語の一種で、特定の人物を表す為の目印とされている物品やデザインの事)
博物館見学
博物館と言っても、ホールにショーケースが並んでいるような民俗博物館みたいな博物館ではなく、シャーロック・ホームズが住んでいた家を再現し、作品に関連するものを並べてあるような博物館…だと事前の調査ではわかっていました。
そして通された部屋がいきなりこれです。
まさに……!!
シャーロック・ホームズの部屋(概念)って感じ…!!!
先にトータルの感想を言ってしまうと、どう考えてもマニア向けの観光名所です。オタクホイホイってやつです。恐らく、ホームズが好きであれば好きであるほど興奮が治まらなくなってしまう施設(*ノωノ)
私も興奮が治まらなくなるくらいのホームズファンだったら良かったのになぁと思ったのでした…。
でも19世紀イギリスの雰囲気を感じてみたい人には是非行って欲しいですね。
ホームズとワトソンの書斎
私は元々シャーロック・ホームズシリーズは中学生時代に新潮文庫で出ている短編集を中心に何冊か読んだだけで、かなり記憶が曖昧なのですが、一作目である『緋色の研究』だけは2年前の入院中に持ってきた本を読み尽くしてしまった際に休憩室で借りて読み返しているので記憶が鮮明です。
そんな私でも何となく「この辺りはホームズで、こっちのあたりはワト氏(※ジョン・H・ワトソン)のテリトリー」と一目でわかるほどに視覚的にわかるアトリビュートが溢れている。
こちら側がホームズの書斎。
ワト氏がホームズとの初対面の時、実験器具を使って血痕の痕跡を分析しようとしているホームズと会話している通り、机の上に実験器具が溢れている。
ホームズが考え事をしている時に弾きまくり、ワト氏が心の中で「聴いているとこっちまで気持ちが不安定になるんですけど(※うろ覚え意訳)」と思っていたヴァイオリンがある。
反対側はワト氏の机ですね。
ホームズと比べて綺麗に整理整頓されているのが性格の違いが現れていて良いです。
彼はアフガニスタンに派遣されてイギリスのロンドンに帰国してきた退役軍医なので机の上に薬瓶や難しそうな書籍が並んでいるのが彼のキャラクター性を感じさせてとても良いです。
ただ、私も何度も読み返したわけではないし、記憶がはっきりしているのが一作だけなので細かい所はわからない。ちょっと悔しい気持ちになります(;^ω^)
ちなみに、後ろに立っているのはお客さんではなく案内係のお兄さん。外に立っていたのは番兵風の服装だったのに対して、室内の案内係は男性女性ともにシックで落ち着いた使用人風の服装をしています。
お姉さんの服は瞬間的に「メイド服だ!」と思うような典型的な使用人風衣装ではありませんでしたが、一目で当時風なんだろうなと思うような、アップにした髪型とフリルがいっぱいなロングスカート(*'ω'*)
少なくともお客さんとの区別は一目で付きます。
名探偵&語り部の軍医のアトリビュート(概念)と言えば鹿撃ち帽(ディアストーカーハット)とポーラーハットなわけで、こう机の上に並んでいると名コンビの仲良し感というか持ちつ持たれつのバディ感というか、そういう幻覚が見える気がしますね(*'ω'*)
でも(概念)と描いたのは、特に「ホームズの帽子が鹿撃ち帽である」とは原文の中で明確に書かれているわけではなく、耳当て付きの帽子、という描写のあるシーンの挿絵で鹿撃ち帽風のデザインの帽子を被っていたことが「鹿撃ち帽=ホームズを表すアトリビュート」として定着した理由だ…というのは結構有名な話みたいです(※私も原作を検証したわけではないので「そんな話を聞いたことがある」、という程度に留めさせていただきます)。視覚によるイメージの定着って、本当に強い。
19世紀後期である当時、鹿撃ち帽を日常的な帽子として被る人なんていなかったみたいなんですよね。用途が違うからなんでしょうけど…(;・_・)
私も「ホームズ(概念)=鹿撃ち帽」が頭の中に刷り込まれてしまっているので、それはそれでお洒落なような気がしちゃうけど、スーツに野球帽を被っているような感覚なのかな…とイメージしてみると、確かに違和感ありそうです。
余談:ここへ来た目的
さて、思い入れのある作品を中心に聖地巡礼の時間を割いている私が何故全作読んだわけではないシャーロック・ホームズの聖地「ベイカー街221B」へ来たかという話も少し書いておこうかなと。
シャーロック・ホームズに関しては中学生時代に数冊短編集を読んでいますが、そこまで大きな思い入れはなく。むしろホームズがドラッグでグデグデになってるシーンが結構あったので年頃の少女として期待していたヒーロー像とはかなりズレがあり「イケない人なのだわ…!( ゚Д゚)」というイメージが定着して受け入れることが出来なかった。
まぁ、私は昔から優等生タイプ(…で自虐系ヘタレ)のキャラが好きなのです。
けれど少しイメージが改善された理由は、『緋色の研究』に関しては一時の私の心の支えになった事実が存在するからで。
私が(内部に石が出来てしまったために)唾液腺を摘出する手術を受けた後、口内に一時的な麻痺がでて喋ることが出来なくなってしまった時、その一週間ほどの入院の時に読んだ本の中の一つが休憩室で借りた『緋色の研究』だったのです。その時はもうアラサーでしたから、14歳の頃よりは見識も広がっており「キャラクターとして尖っててかなり面白いと思う」というイメージに変化しました。
だから、私を救った作品の一つには入っているんじゃないかなと思っています。
また、ロンドンはブループラークの件からもわかる通り、「シャーロック・ホームズ」というキャラクターをかなり推しているので、「ロンドン名物を見る」という感覚もありましたね。
そしてもう一つは、「空気が知りたかった」という事。前述の通りこの博物館が世界一有名な名探偵バディの家を模している事は知っていたので、「19世紀のロンドンのとあるお宅を見学させてもらう」という観点を考えたら最高の資料なのではないかという気持ちもあったのです。
つまりは、そこまでシャーロック・ホームズに詳しくなくても、19世紀のロンドンに各キャラの家があった『ジキル博士とハイド氏』や『透明人間』の舞台や世界観の参考資料という目線でも楽しめるんじゃないかって思ったわけですね。
あの子たちには今もこれからもお世話になっていくと思うので、私にはそれはとても大事な事だったのです(残念ながら最愛のヴィクター・フランケンシュタインだけは少し時代がズレます…)。
そういうわけで私にとっては一石二鳥どころではない収穫を求めてきているわけですが、実際は想像以上だったのです(*'ω'*)
この書斎の雰囲気もさることながら、それよりも、これ。
時代と場所がほぼ完全一致しているマッドサイエンティストの祖たちにとって実験器具とかガチ資料じゃないですか!!!
薬品がこうレトロチックに整然と並べられている光景というのもなかなか見る事が出来ないし、ロンドンだし、最高ですね…(*'ω'*)
ところで、私は帰国後にNetflixで『BBC SHERLOCK(シャーロック)』にハマりまして……。
kadokawa-d.jp
行く前に観れば良かった、というよりかは一人旅で「ベイカー街221B 」に来て、何となく親近感を得たからというのが大きい気がしますね。
私がそれまで「ワトソン氏」と呼んでいた語り部を「ワト氏」と呼ぶようになったのは、破天荒なシャーロックに「何考えてるんだ!」とか「もうついていけない!」と呆れながらも、彼を放っておけずに追いかけていく彼の姿を視覚的に見ることで共感や思い入れが強くなったせいだと思っています。(現代アレンジだし、原作よりも相当に気が強い気はするけれど)
小物類の部屋
階段を使っていくつかの部屋に入ることが出来ますが、添乗員さんから聞いていた通り、ロンドンの家は「縦に長い長屋」である事を体で体感することが出来ます。
少し急な階段をぐるぐるとらせん状に登ることができ、全部で3階+屋根裏、みたいな構成(うろ覚えですが、確かそうです)。階段は「人がすれ違うのはちょっと辛いかな」というくらい狭い。
階段の壁にはポストカードくらいのサイズの、シャーロック・ホームズシリーズの挿絵らしき絵が写真用のような簡素な額に入ってたくさん飾られていました。
客室のようないくつかの部屋は小物が飾られた部屋になっていて、品物によってはガラスの棚に飾られていたり、ショーケースの中に納められていました。
書斎に比べるとスッキリした印象の部屋。
室内にはシャーロック・ホームズシリーズにまつわるアイテムがショーケースに飾られている。
説明文には日本語も書いてあるのだけど時間制限があるしゆっくり読んでいる余裕はない…(;^ω^)
説明文の写真を撮ったものの、ピントが合っていなくて読むことが出来ませんでした。残念…
当時の品物なのかしら?台所にありそうなガラス製の小瓶や陶器の入れ物たち、それからヴィンテージ物のトランプやルーペ。
こちらの部屋はショーケースの部屋に比べてごちゃごちゃした印象。整理されているというよりたくさんの物品が目に付きます。
机の上に乗っている箱のようなものをのぞき込むと…
ノートが納められていました。ううん読めない……悔しい。
英語の得意な誰かに解説して欲しいものだ。
この机の左手には机や棚が並べられていて、そこもたくさんの小物に囲まれています。
個人的にはこういうごちゃごちゃしているが物が綺麗に並んでいる状態の方が落ち着くし、視覚的にも楽しい。
私も物に囲まれている方が落ち着くタイプですしね。
机に乗っている本をのぞき込んでみると、医学書のようでした。
ホームズの私物なのかワト氏の私物なのか判断が難しい所。
この椅子はどうやら挿絵のものを再現したもののようです。
上の棚の書類に「DOCTOR WATSON」って書いてある……(*'ω'*)
蝋人形の部屋
三階は蝋人形の部屋が二つあります。
架空の人物ですし、私は「生きているようにリアル」という感覚は抱かなかったのですが……。
そもそも「私はドール趣味があってリアルめの造詣のお人形を見慣れている」という前提があってこの感想を抱いているので、人形趣味のない人にとってはどうなのかわからないです。
なので、畳んでおきます(*ノωノ)
「マネキンサイズのちょっとリアルな人形、全然平気だぜ!」という方は下記の「▶ 記事を展開する」ボタンをクリックしてくださいね(*'ω'*)
目安としては、多分ディズニーランドの「カリブの海賊」の中にいるジャック・スパロウの人形が大丈夫な人なら大丈夫だと思う。
屋根裏 → ミュージアムショップ
さらに上の階があるので行ってみました。
四階は屋根裏部屋になっていて、大量にトランクが。
物置みたいな感じですけど、これがまた雰囲気が良いのです。
ハリー・ポッター感も何となく感じる(ロンドンだからね…)
見学できるところはこれでおしまい。
一旦外に出てから、ミュージアムショップでお買い物。
カラーイラストがたくさん入った洋書と、テディベアを買いました(*'ω'*)
ビニールのショッピングバッグは有料ですが、絵柄がお洒落なので購入。
博物館を出ると、時刻は午前10時55分。
リージェンツ・パークを出たのは9時45分頃ですから、滞在時間は入場前~買い物を済ませるまでの時間で約1時間くらいだったようですね。
博物館の正面にはこんなロックなショップが。
ロンドンがロックの聖地であることを思い出させてくれます。
次回予告
次の目的地は「プリムローズ・ヒル」。
8時40分頃にリージェンツ・パークに着いているので観光を始めてから約2時間。午前中に「プリムローズ・ヒル」まで終わらせてしまえば、午後は大英博物館でゆっくり過ごせます(*'ω'*)
しかし、私にはそこへ行くために「一人で市内バスに乗る」というミッションが。
さて、この後私は一体どうなるのでしょうか……!?
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