海に浮かぶ月のはしっこ

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【M.S.F.P.魔法学校】第4話の原作ネタについて

原作の話をさせていただこうかなと思っています。
元々このシリーズはマッドサイエンティストの祖たちの物語をなぞる形で、彼らの魅力を伝える強火のプレゼンをするつもりで描き始めました。
なので、ちまちま混ぜている原作ネタをあとがき代わりに書いて行こうかと思います。

原作に少しでも興味を持っていただければ幸いです。

★【M.S.F.P.魔法学校】は文学作品の「マッドサイエンティストの祖」たちを14~5歳の少年に変え、ハリーポッター風の世界観の魔法学校生徒にして交流させるクロスオーバーパロディです

原作について

原作は「ハーバート・ジョージ・ウェルズ著『透明人間』(1897年)」です。

透明人間 (岩波文庫)

透明人間 (岩波文庫)

主人公の名はグリフィン。
彼もまた「マッドサイエンティストの祖」の一人なのですが、彼の名前はあんまり有名じゃない気がします。タイトルに名前入ってないしね。

主人公と言っても、この作品は群集劇のようなストーリー構成なのでグリフィン本人がどう感じているかの描写は少ないです。グリフィン視点の話は彼の大学自体の同級生ケンプが彼から事情を聞いているシーンでしかわからず、地の文でグリフィンがどう感じていたかは語られません。
突然ロンドンの南に位置するアイピング村に現れた怪しい服装をした包帯まみれの謎の男、そしてその謎の男が透明人間だと判明。気の短い透明人間は透明であることを良い事に脅迫や暴力を振るい、混乱する人々、捕まえようとする人々の姿が描かれています。
でも、グリフィンは確かに悪いのだけれど、彼の身の上や結末は可哀想に感じます。

「炎のゴブレット」の『透明人間』原作ネタ

「炎のゴブレット」は本当に描くか迷ったのでネームはある程度しっかり描いています。
ヴィクターくんの人造人間騒動の後、研究テーマを探していたグリフィンが透明になる薬の理論を考案してしまう物語。でも、きっとこの世界のグリフィンは救われる。
この世界には魔法も、彼以外のマッドサイエンティストの祖たちもいるのですから。

アルビノ体質の少年グリフィン

第4話の最後で描いた通り、グリフィンはアルビノである事に意味があるキャラクターです。
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それは原作からの話で、彼が透明人間になろうと思った理由は彼が透けるような肌や白い髪、赤い目を持っていた事が理由になっています。

翻訳によって表現揺れが激しいので原文を引用しますね。

"Griffin," answered the Voice. A younger student than you were, almost an albino, six feet high, and broad, with a pink and white face and red eyes, who won the medal for chemistry."
(「グリフィンだよ」と声は答えた。「君より若い学生で、ほぼアルビノで、身長は6フィート(約183cm)で肩幅が広く、ピンクがかった白い顔で赤い目、化学の優秀賞のメダルを獲った」(私の訳なので訳本を見ていただくのをオススメします…)

His hair and brow were white—not grey with age, but white with the whiteness of albinism—and his eyes were like garnets.
(彼の髪と眉毛は白かったー年齢によって退色したのではなく、アルビニズム(アルビノ体質)によって白くなった白―そして彼の目はガーネットのような赤色だった(私の訳なので訳本を(以下略))

彼が自分の事をどう思っていたのかはわかりません。というより、群集劇のような構成の上、彼の事はケンプの目線でしかわからない為、彼自身の心理描写は少ないのです。ただ、ケンプが金髪である事を羨ましがるような言動をしている為、自分の容姿を快く思っていなかったのではないか、と思っています。
ちなみに、原作のグリフィンは30歳前半(計算では32歳くらい)ですが身長約183cmで肩幅も広いと書かれています。19世紀のイケメンの条件は背が高くて体格が良い事ですし、当時の平均身長は170cm台だったみたいなので、それなりに美男だったのではないかと思います。本編はほとんど透明になってて見えないけど。
それにしても「色素がない」という本来の性質の部分が最重要視されるアルビノ設定のキャラクターって珍しいですよね。

緑色の目の白い猫

原作でグリフィンが住んでいたロンドンのスラムにある下宿の別の部屋に住む老婦人の飼い猫が緑色の目の白いメス猫でした。グリフィンが「She」って言っていたので。
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何でグリフィンにやたら懐いていたのかはわかりませんが、この白猫は原作でもそれなりに重要なポジションにいる猫です。
でも白猫は用途があるにしても原作のグリフィンも彼女にご飯をあげたりなでたり、それなりに接しています。まぁ、最終的には鳴き声がうるさくて追い出しちゃうんだけど。

グリフィンは貧乏なので研究費がない

原作のグリフィン、貧乏です。
実家も貧乏です。でもグリフィンは学校に通う事ができていたので、本当に貧乏な層(ディケンズのロンドン描写に出てくるような児童労働や劣悪な救貧院に頼らざるを得ない層)ではなかったと思いますが…
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でもレストランで食べる彼の食事は決して豊かなものではないですし、大学教授の助手を辞めてからはロンドンのグレートポートランド通り近くのスラム街にある下宿に住んでいます。おまけに、父親もグリフィンも貧しい事が原因で事件が起こってしまうのです。
そこら辺が恵まれた環境に生まれたヴィクターくんやハリーと異なる所だと思います。

動機

原作でのグリフィンの熱意の動機はシンプルです。
世間をあっと言わせてやりたいから。彼は田舎の大学で非常勤講師のような仕事をしており、その生活はとても苦しい物でした。職業としては大学教授の助手なので、教授が上司という事になりますがこの上司がなかなかにパワハラ気質で部下の研究やアイディアを盗んでは自分の研究として発表してしまうのです。
おまけに、グリフィンに新しい研究はいつ発表するのかとちょこちょこ探りを入れている。
妙に親近感がわく身の上です苦笑
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そんな環境なので自分の研究は夜中に隠れて行い、いつか見返してやる、とその一心で研究に打ち込んでいました。彼を青寮に選んだ理由も、そういう「学問で自分の人生を変えてやる」という熱意からです。

原作のグリフィンの専攻は二種類

M.S.F.P.の主人公格のうち、原作においてヴィクターくんは自然科学一本(現代自然科学の原点となった錬金術が起点)でまだ学生なので博士号を持っていません。ハリーは医学の他に法学・民法学の博士号を持っています。
グリフィンは…というと、元々は医学を専攻していましたが途中で物理化学に転向したのだそうです。なので、彼の透明化理論も医学の知識と物理化学の知識を融合したものだったりします。
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後述のケンプは医者なので、医学専攻時代の同級生なのでしょうね。また、グリフィンの透明化理論はヴィクターくんやハリーと異なりとても具体的で、文系の私でも何となく理屈は理解できるんですよね(*'ω'*)
ただそれだけに地に足が付いているように見えてしまいますし、他の2人よりも現実的に思えるので二人よりだいぶスペックが劣って見えてしまうのは仕方ない事なのでしょうか…。
最も、2年で人造人間を作り上げたヴィクターくんはチートが過ぎるので論外ですけど。

同級生のケンプ

原作でのグリフィンとケンプとの距離感。
グリフィンとケンプは大学生時代の同級生で、お互いに名前を知っている仲ではあったのですが………どうにも、友達関係のようには思えないのです。
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グリフィンはケンプに会った時、自分の自己紹介と、自分の容姿と、自分が科学で賞を取った事を話します。

前述のこれです。

"Griffin," answered the Voice. A younger student than you were, almost an albino, six feet high, and broad, with a pink and white face and red eyes, who won the medal for chemistry."
(「グリフィンだよ」と声は答えた。「君より若い学生で、ほぼアルビノで、身長は6フィート(約183cm)で肩幅が広く、ピンクがかった白い顔で赤い目、化学の優秀賞のメダルを獲った」)

…10年ぶりくらいだったとしても、大学時代の「友達」にこういう話しかけ方するかなぁ?それに、翻訳では「同級」とありますが「younger student than you were(君より若い学生)」とあるので専攻が同じだけで年齢は違うのでしょうね。
なので、ルームメイトだけどちょっと距離がある…少しぎこちない関係として設定しています。

つまらない女

原作にはわずか2行程度だけ、ヒロインが登場しています。映画とかだと出番も多くなりグリフィンの恋人役になる事が多いようなのですが、原作では既に彼女との関係は過去のものです。
彼女の事は「昔の女」「昔の恋人」等と訳されていますが、魔法学校パロでは「初恋の女の子」ということにしました。
勿論、「終わった関係」なのでフラれてますが笑
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彼女の名前は本文には出てきません。
ただグリフィンは「つまらない女」と。でも原作で彼が感傷に浸ってしまったのは彼女と再会したことも大きかったようなので、やっぱり昔はそれなりに愛していたのかな。

透明人間理論

かなり端折っていますが、グリフィンの透明人間の理論は大体原作をなぞっています。
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原作のグリフィンは生物の色素について研究をしており、その過程で「色素を除くすべての組織の色を抜き、その機能を失わせない」という理論に至るのですが、彼が言う色素は髪の毛の色素と血液の色素で二種類あるようです。
多分、メラニンとヘモグロビンのことです。グリフィンは元々メラニンを欠乏しているアルビノ体質ですから、血液の色がなくなればどちらの色素もなくなります。
「それが生まれつき色素の薄い男にとってどういう意味を持つと思う?私は透明人間になれるんだ!」というのは原作での彼の言葉。
ちなみに彼がこの理論を思いついたのも魔法学校パロと同じ真夜中でした。原作では昼間仕事してますからね。

「炎のゴブレット」の『フランケンシュタイン』原作ネタ

Paradise Lostジョン・ミルトン著『失楽園』)

原作の人造人間(本作のテオドール)の愛読書がいくつか原作の中に登場していますが、その中の一冊で最も影響を受けた本が『失楽園』です。
原作の至る所に『失楽園』の引用があり、冒頭にも引用があるんですよね。
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ちなみに、この『失楽園』は私の愛読書でもある…というか、私が神話や文学をサブカル的に愛するオタクになった原点でもあります。
失楽園 上 (岩波文庫 赤 206-2)
どんなお話かというと、「アダムとイヴが知恵の実を食べて楽園を追われた」という旧約聖書の一節の裏には神への復讐を誓った堕天使の陰謀があり…という叙事詩形式の作品。主人公がその堕天使サタン(=ルシファー)なのでダークヒーローものぽいです。

アーサー王伝説好きのクラーヴァル、読書家のテオドール

原作のクラーヴァルは冒険譚や騎士道物語が大好き。
アーサー王伝説絡みの本が好きだとヴィクターくんが描写しています。一方、原作の人造人間も読んだ本の感想を延々とヴィクターに聞かせるという文学オタムーブをかましています。おいおい、でも多分ヴィクターくんはそれらの本読んだことないかもよ?(ちなみに、その本とは『プルタルコス英雄伝』『若きウェルテルの悩み』『失楽園』)
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原作の人造人間とクラーヴァルが会話することはありませんが、もしも平和的に会話することが出来るとしたらお互いの愛読書を交換して読む読書仲間になれたのではないかという理想から、平和的に終わった「ヴィクターの物語」の続きの世界線という事で二人を読書仲間に設定しています。
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命を自由に生み出す力など大衆の目に晒してはならない

原作の語り部のヴィクター(色々あって全て失い、自分のしたことを後悔し、九死に一生を得た後のヴィクターであり地の文の語り部)は人間を生み出す恐ろしい技術など人の目に晒すべきではないとして、人造人間の作り方を一切口にしません。
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勿論、ガルバーニの生体電気研究を知った事が、錬金術オタクであった彼の心をぽっきり折ってしまったり、実家の前にある大きな木に雷が落ちてそのエネルギーの大きさに驚いたという描写があるので、彼が考案した「命なきものに命を吹き込む力」が落雷という大きな電気エネルギーを利用したもの…なのでは?、という考察は出来はするのですが。
でも映画などの映像作品で研究室に雷が落ちるシーンとして見る事が出来る程度の事は原作には書かれていないんです。ヴィクターくん曰く、こんな事が繰り返されてはならないので言えないんだってさ。ちなみに、材料を集めたシーンはあっても、具体的にどうやって人造人間を作り上げたのかもヴィクターくんは話しません。
だから私も何がどうなって人造人間が作られたのか、描けないんですよね!笑

もう科学とは縁を切りたいヴィクターくん

原作では人造人間を生み出してビビッてふさぎ込んでしまったヴィクターくん、しばらく科学関連の道具を見るのも嫌なくらいウンザリしてました
まぁ数カ月寝込んでますしね。
だからこの世界のヴィクターくんもしばらくは使い物になりません。でも錬金術と死霊術のスペックが異常過ぎるヴィクターくんから錬金術と死霊術を抜いたら「コミュ障でオカルト好きのヘタレ」しか残らないのでは…?
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原作でも、彼は天才だけどそのメンタルの弱さが本当に致命的なんです。ホラー小説・ホラー映画の主人公としてはまぁアリだとは思うんですが…。彼が動かない事で事態が悪化し、気が付いた時には全部事後になってる主人公、それでいいのかなぁ…。
私はそんな彼の事が大好きだけど。

人造人間は家族が欲しい

人造人間の原作での要求は「家族としての伴侶」です。
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成長が早いとはいえわずか二歳であり、恋も知らない彼が何故花嫁を求めるのか……という事を考えると彼がずっと見守っていた家族の在り方が「親子と息子夫婦」だったからじゃないかと思います。
彼の親子関係といえばヴィクターくんとの疑似父子関係なのですが、ヴィクターくんとの関係は最初から破綻していますし、実際に対面した後も激しく拒絶されています。勿論、拒絶された理由の一つとして彼の容姿の恐ろしさと同時に人造人間の犯したヴィクターへの復讐への憎悪があったからなのですけれど。
だから彼にとって理想の家族の在り方に「親子」が望めないのであれば、仲睦まじい様子を眺めていた「息子夫婦」のようなものになるのではないかと思います。
でも、この世界で彼が眺めているのは「魔法学校」です。恋人たちはいれど、夫婦はほとんど目にする機会はないでしょう。しいて言うなら、飼育小屋の動物のつがいぐらいでしょうか。でも人の形をしている者たちの血の繋がりを持つ関係で一番よく目にしていたのは「兄弟」なのではないかと思い、「妹」としました。
あとグリフィンは1歳児に余計な事教えちゃ駄目。

「炎のゴブレット」のハリーの物語の原作ネタ

出典は「ハリーの物語」を描くまで明かさない方向で行こうと思ってますが、第4話にして結構要素を出してしまったのでそろそろバレそうな気がします。

ただ、もしもハリーの物語を描くのなら、ハリーの事件が起こる時系列の前に起こった出来事が原作では10年以上前だったりすることがざらなので今のうちに布石を打っておこう、と「炎のゴブレット」では某作品の原作ネタをかなり出しています。

ハリーはお金持ちで人気者で背が高くてイケメンな王子様

原作のハリーは非常にお金持ちで慈善家で、街でも有名な人物です。おまけに背が高くて体格も良く、顔立ちも整ったイケメン(handsome)だそう。
ちなみに、19世紀のイケメンの条件は顔立ちだけでなく、背が高くて体格が良い事も含まれているそうです。盛りすぎだと思うけど、原作に書いてあるんだからしょうがない。第3節で確認可能です。
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ただ、彼の髪や目の色については描写がありません。原作ベースの容姿をくせ毛で生え際の暗いくすんだアッシュゴールドにしたので、「その若い頃」というイメージにしています。金髪は年齢を重ねるとメラニンの沈着によってだんだん茶色がかっていくそうなので髪色は明るめにしています。また、くせ毛も毛質を細くして巻き毛風のふわふわ髪に。
そういうわけで背が高くて金髪巻き毛の絵にかいたような王子様みたいになったわけですが、性格は、まぁ、かなり悪いです。

歯軋り

ハリーの癖です。
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原作でも、理性が飛んでいる状態で怒りを我慢している時に何度もしている描写があります。この世界のハリーはまだ若く、感情や本性を理性で押さえつける事もまだ甘い。すぐに理性が飛んでしまい、本性が表に出てしまう事が多いです。

優等生で裏番長、ハリーの二面性

原作の第2節でハリーの親友であるギャビーは「若い頃のハリーは粗暴(wild)だった」と語ります。「50歳になったハリーが何らかのトラブルに巻き込まれているのは、その頃の天罰が今になって下っているから」とギャビーが考えるくらい、どうやら若い頃のハリーは乱暴者だったようなのです。
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ところが、原作の第10節でハリーは自分の人生を振り返り、「私は裕福な家の生まれで、努力家で才能にも恵まれ、優れた人々の尊敬を集める事が好きだった」「自分は人一倍享楽性を持ち、それを人一倍恥ずかしく思っていた」というような事を言っています。原作の第10節冒頭なので原作が分かった人は確認していただけると。
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この世界の彼らは若いので、ちょうどハリーがやんちゃしてた時期を当てているのですが、「本人は優等生ぶって振舞い、大人の前では良い顔をしているけれど、周囲の同世代たちからの評価は「乱暴者(裏番長)」」、と表現しています。また、享楽性についてもまだ子供なので「衝動や欲望」という言葉に置き換えています。
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原作を考察していくとどうやら彼の二面性のある性格は感情的で激しい本性を理性で殺してひた隠しにしてきたことから生じているようです。14~5歳のハリー(この世界)はその人格形成の過程にあるはずなので、うまく隠している50歳(原作)の彼に比べてまだそこまで上手く隠せない、という匙加減で描いています。
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だから、生徒指導室で泣いているのは「喧嘩で怪我して泣いている」のではなく、「激しい本性を律しようと努力したのに失敗し、先生(目上の人)に怒られてしまった事が悔しくて泣いている」のです。
彼の二面性は自分の本性を理性で律するか、欲望のままに暴れるかの二通り。まぁここまで書くと本名バレしそうですが。(バレバレですけど)

執事のプール

原作で第2節から登場する、何十年もハリーに仕えている老執事のプール。
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35年前なのでまだ二十代くらいだと思います。

杖を振りまわしちゃあかん。
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彼は理性が外れると暴力行為に走りたがるようです。怒りのあまり杖を振りまわした挙句どうなったかは原作第4節と第10節をご確認くださいませ。

ハリーの父親からの期待

原作第10節で取り返しのつかない事をしてしまった後に今までの人生を振り返った時、「父に手を引かれて歩いた幼少期」と出てきます。彼の身の上話で父親と歩くシーンはその場面の再現です。
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ですが…彼が本当に父親を尊敬し、愛していたのかは私には疑問。その理由はまた「ハリーの物語」で。
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ちなみに、35年後、ハリーは本当に医者になっており、マッドサイエンティストの祖として大きな事件を起こします。

努力家で才能にも恵まれている

「努力家で才能にも恵まれている」は原作のハリー本人が自負として語った言葉です。
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周囲が見ているハリーのイメージと、第10節で語られるハリーの本心は大分差があります。正直、第10節を読んだ途端に一気に「こいつクズじゃん!」とそれまでの良いイメージがぶっ壊れてしまった。でも、彼のように本性は非常に感情的で快楽主義者で狡猾なのに誰からも尊敬される温厚で物腰柔らかな人物を演じる…という生き方というのは、だれしも少なからず共感するところがあり、彼の原作が現在でも読み継がれているのはそういうところにあるような気がします。

ハリーは法学を履修している

原作のハリー、ただのアラフィフの医者ではありません。
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第2節によれば医学、法学、民法学の博士号を持つ王立学会特別研究員です。ヤバいです。
原作でハリーが何故法学を学んでいたのかは不明ですが、彼の行動を見ていると彼の法学の知識は法の目を掻い潜り、利用する為に役立っているように思えます。最終的に自分の所にお金が戻ってくるように遺言書の文面を作ったり、架空の人物の口座を偽造したり、小切手用に筆跡を偽造したり、隠れ家を用意したりね…。
三人の中で一番犯罪的にアウトな事やってる。本人はさも自分じゃありません的な態度でケロッとしてるけどこれらの偽装工作した時はシラフなので言い逃れ出来ないぞ…。

ハリーはフランケンシュタインと違って社交的

原作のハリーは5~6人の友達を招いて会食会を開くのが好きです。第3節以降、何度も会食会を開いている描写があります。
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でも、会食の後はギャビーと二人きりでゆっくり過ごすのが好きらしいです。

幼馴染同士のハリーという愛称は原作から

ギャビーの本名は「ガブリエル・ジョン・アタスン」です。19世紀の英国の大人たちは苗字で呼び合うのがマナーらしく、原作では勿論大人ですから皆「アタスン」と呼びます。
ですが、このアタスンはハリーを言葉では苗字で呼ぶのに、心の中で彼の事を呼ぶ時は「Harry(ハリー)」と呼びます。恐らく子供の頃にハリーというあだ名で呼んでいたのでしょう。
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原作はアタスンが読者の目線を担当する「狂言回し」なので、ハリーやヘイスティの心の中はわかりません。だから二人が心の中でアタスンの事を何と呼んでいたのかはわかりません。
でも「ガブリエル」は気軽に呼ぶにはちょっと長いので「ガブリエル」のメジャーな愛称形「ゲイブ」「ギャビー」「ガビ」の中から呼びやすそうなものを勝手に選びました。

ハリーとギャビーとヘイスティは幼馴染

学校制度が現代の日本とは異なりますが、原作の描写ではギャビーとヘイスティは「学校と大学(college)の時からの友人」だそうです。この「学校」というのが6~7歳からの入学で小学校に相当するようなので翻訳では「小学校」と訳されているのをしばしば目にしました。
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なので小学校からの幼馴染だと明確に書かれているのはギャビーとヘイスティの関係だけということになりますが、アタスン(ギャビー)が「(ハリーにとって)我々は最も古い友人だと思うんだが?」と言ってヘイスティも同意しているので、「三人は同時期に知り合ったのだろう」と推測し「ハリーとギャビーとヘイスティは幼馴染」と言っています。

ハリーとヘイスティが絶交する

ギャビーは知らなかったのですが、原作時系列の10年前に二人は絶交しているらしい。これは原作の本文が始まるずっと前の出来事という事になりますから、もしも原作をなぞる予定があるのなら今布石を打たなくてはと思ったのがこの「ハリーとヘイスティが絶交する」というイベントです。
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勿論原作では10年も経っているのでお互いに仲直りしたい気持ちもなくもないようなのですが、この絶交の理由である「ハリーの研究理論をヘイスティが「頭がおかしい」「科学的異端」と批判」したため、「ハリーはヘイスティを「頭の固い傲慢な衒学者」と吐き捨てた」という出来事は彼らにとってかなり根深く、後々に取り返しのつかないことになってしまいます。
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ハリーとヘイスティが絶交した理由をギャビーは理解できない

原作のギャビーは文系であり、絶交した話をヘイスティから聞いた時に「それだけのことか」と思っている描写があります。ただ少し研究の事で意見が合わなかっただけで、それ以上に悪い事があったわけではないと少し安心したようなのです。
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それもこれも原作の描写曰く彼が「科学的情熱を持っていない」からだそうなのです。つまり彼だけが文系なので理系二人の親友が何故そこまで張り合っているのかわからないのですよね。
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ちなみに、原作のギャビーの職業は弁護士であり、ハリー(法学の博士号も持ってる)と遺言状の発行についてちょっともめてたりする。
ハリーがトラブルメーカー過ぎる。


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