海に浮かぶ月のはしっこ

映画や文学作品、神話関連その他の事をおぼえがきしますよ

【雑記/映画】元ネタ探しの旅ならぬイメージ変遷を辿る旅?

楽天お買いものマラソンが始まっていたのでDVDを2本発注しました。
「狂へる悪魔」と「フランケンシュタイン(1931)」。
前者は未視聴、後者はレンタルで観た事があるけれど…。
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ゆるゆる辿るイメージ編纂の旅。

☆これまでのお話

snow-moonsea.hatenablog.jp

フランケンシュタイン(1931年)」との出会い

フランケンシュタイン(1931年)」については何度も話題にあげている通り、この作品が登場したことによって「フランケンシュタイン」という作品や言葉自体に影響を及ぼしている"根強い"映画。
もう5~6年前になるだろうけれど、配送レンタルで観た映画だ。

この頃は好きな映画に散見するオマージュやパロディの数々の元ネタ探しに凝っていたのです。その中で「蠅男の恐怖」に出会ったのですが…その話はまたいつか。


そしてその1931年版の「フランケンシュタイン」を観る事になったのだけど、当時は何が面白いのかわからなくて。
今も思い出すだけで"フランケンシュタイン博士"の奇妙な行動の数々にブチ切れそうになるので私の感性に合わないんだろうなと思うけれど。
…でもまぁ、元ネタ探しには大いに役に立ったし、映画館で「フランケン・ウィニー」を観て、元ネタがわかってわくわくしたし、今に繋がっているので観て良かったとは思う。

フランケンシュタイン(1931年)」は立派なパブリックドメイン

そういえば1931年っていうともう77年も前だから、立派なパブリックドメイン。つまり著作権切れです。青空文庫が無料で読めるのと同じですね。
ということは、DVDが配給元じゃない会社から出ても海賊版じゃないからその点は大丈夫。
けれど映画がパブリックドメインになる定義は結構変わっているようで、いつも混乱するからもっとわかりやすく説明して欲しいところ。
気になるのは…「蠅男の恐怖」のパブリックドメイン化は何年後なんだ~!!

初めての☆パブリックドメイン500円版

そんな「フランケンシュタイン(1931年)」。
今回購入したのはこの500円のシリーズ。もうAmazonでは絶版扱いなんですね…。楽天で購入できたのはラッキーだったのかな。

フランケンシュタイン [DVD] FRT-275

フランケンシュタイン [DVD] FRT-275

…でも、パブリックドメイン500円のシリーズって画質とかちょっと心配。
ディズニーの初期の作品だと、正規配給元から出ているものはデジタルリマスター等修正が入って美しい映像になっているけれど、この手の名作系ってどうなんでしょうね。

Amazonで検索をかけてみるとユニバーサルからはBlu-rayとか出ているのだけど…。

何か画質の違いなどがはっきりあるのだろうか?
パブリックドメイン500円版を購入するのは初めてなのでそのあたりが分からない。でも、上記の通り私はこの「フランケンシュタイン(1931年)」の"フランケンシュタイン博士"が、キライというか許せないほうのク○(言葉が汚い…)だと思っているので、「まぁそこまで美しい映像を求めなくてもいいかな…」と思ったのでパブリックドメイン500円版を選びました。

ところで、続編の「フランケンシュタインの花嫁」もパブリックドメインなのですね。…それもそうか。

そこまでして買う理由…

主人公たる"フランケンシュタイン博士"がそんなにキライなら別に買わなくてもいいじゃないかと思われるかもしれないけれど、私はこのDVDを持っていた方がいい気がしたのです。

この映画一本で"フランケンシュタイン博士"と"フランケンシュタインの怪物"のイメージが固定されてしまった。

いらすとや」さんで"フランケンシュタインの怪物"を検索すると、これです。
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ということは、現在の一般的なイメージは、これ。
原作の、黒髪で恐ろしい目をした賢くて狡猾で、愛を求め続ける孤独な人造人間の面影なし!!
あの可愛い豆腐メンタル大学生ヴィクター・フランケンシュタインと賢くて狡猾で可哀想な復讐鬼たる怪物が。

悪人の脳みそを入れられるのも、風車が燃えるのも1931年版からなのに、私は長い事「フランケンシュタインは人造人間に悪人の脳みそを入れる」「フランケンシュタインは風車が燃える」と思っていたので「嘘つかれたー!(泣)」と思っていて、この事が輪をかけて1931年版が好きじゃないことにつながるのだろうけど。。。

それでも、私に長い間「フランケンシュタインは人造人間に悪人の脳みそを入れる」「フランケンシュタインは風車が燃える」と信じてこさせたその影響力は今後どうしても重要なものになるだろうと思うので、所有すべきだと思ったのです。

「狂へる悪魔」のタイトルが分かりづらい。

今回購入したもう1本のDVD。
これは正規配給元がDVDをだしていないのか、パブリックドメイン500円版しか見つける事が出来ませんでした。

狂へる悪魔 [DVD] FRT-154

狂へる悪魔 [DVD] FRT-154

これが今回の本命となりますが1920年の映画「狂へる悪魔」…これ、タイトルだと分かりづらいけど「ジキル博士とハイド氏」の映画。「フランケンシュタイン」映画は全部「フランケンシュタイン」なので年代で覚えないとしんどいのですが、これはこれで面倒くさい!

「狂へる悪魔」は1920年の映画。
それにしても、「フランケンシュタイン(1931年)」を観た時「これ以上古い映画を観ることはないだろう」と思ったのに、まさか…まさか1931年より11年も古い1920年の映画を観ることになるとは。
人生何が起こるかわかりませんわ(笑)

ジキルおじさんの現在のイメージ?

ヴィクターくんの現在のイメージ、って"フランケンシュタインの怪物"に名前を取られてる程度にはハロウィンでも定番でわかりやすいのだけど、ジキおじの現在のイメージ、ってはっきりとイメージしにくい。

だけど…

マッド サイエンティスト [8] 【mad scientist】
SF の登場人物で,天才的頭脳をもつが,道義心の欠如など著しく人格のバランスを失っている科学者。奇怪な大発明をして世を騒がせる。フランケンシュタイン・ジキル博士など。

www.weblio.jp

マッドサイエンティストであることは間違いないようだ。
(この書き方だとジキルおじさんがフランケンシュタインって名前みたいだからもう少し工夫して欲しいぞ~…)

私は書名を何となく知っている以外の知識がなかった頃に、FGOでジキルおじさんの派生キャラであるジキルさんを知って、彼に持った違和感は「薬によってハイドくんと交代する事」だった。
つまりは派生キャラであるジキルさんは現在のイメージの要素を大体持っていたことになる。(勿論、私の主観ですが)

つまり「真面目な主人格とサイコキラーの別人格の構成で体を共有する双子のような存在」で、「サイコキラーの人格によって人生を狂わされる悲劇の主人公」というイメージ。変身要素は想像したことがない。
ヴィクターくん同様、結構原作からかけ離れていると思う。だって原作はどう見ても"自業自得"だもん。

ジキルおじさんは悲劇の主人公…じゃなくない?

ネットで映画史を調べている時に1920年の「狂へる悪魔」によってジキルおじさんのイメージが決定されたと知った事と、登場人物に"ガブリエル・ジョン・アタスン"の名前があったことで「観ようかな」という気になった私ですが。

この映画で作られたオリジナル要素が現代の作品にまで影響をさせていると聞きます。
「ジキルおじさんがアラフィフじゃなくて若者」だとか、「ジキおじとハイドは同じ俳優が演じる」とか、「ジキおじには婚約者がいて、ハイドは別の女性と恋に落ちる」とか、そういった調子。

この時点で大分悲劇の主人公みが出てきている気がする。

原作では悲劇の主人公みが強かったのに、映画では徐々にマッドサイエンティストになっていくヴィクターくんと対照的に悲劇の主人公になっていくジキおじ。
ただのヤク厨のダメなおじさんなのになんだこの扱いは!?

引きこもって怯え、罪滅ぼしも出来ないまま無様に死んでいくヴィクターくんより、懺悔のような遺書を残して自ら死を選ぶジキおじの方が悲劇の主人公に相応しいという事なのだろうか?
(いや、ジキおじはアタスンに土下座して謝って欲しい!)

いやいや、まずはDVDを観てからですが。

おまけ:透明人間

もう一本、買うか買わざるべきか迷って結局今じゃなくていいかと思ったDVDがある。それがこれ。

透明人間。
文章化されたあらすじを読む限りあらすじが違う気がするけど大丈夫か!??!?
原作にあった透明になったグリフィンが真っ裸でロンドンを彷徨い歩いて「寒い…」と風邪引くシーンは…さすがに期待するだけ無駄なので仕方ないですね。

DVDはユニバーサル公式が出してるシリーズがあるから多分これの方が綺麗そうなのでまた悩みます。
しかし、「透明人間」ってAmazonで検索をかけるとエッチなDVDがいっぱい引っかかるので、「グリフィンの現在のイメージ…ちょっとwww」と思わず吹き出してしまったのでありました。

まぁグリフィンもエッチなことはしなかったものの、泥棒とか恐喝とかやってるので風評被害も何もないと思うけど、「エッチなことをするのに都合がいい」等と思われていると思うとちょっと可哀想なのでした。