フランケンシュタイン博士(?)の人造人間が動いた時の反応、イメージと原作のギャップが激しい。
でもこのイメージの差はメディアミックス(映画化)のせいよね?という話をします。
今、友人のパフォーマンス会に参加するためプレゼンの資料を集めている。
前回は退院したばかりで頭の中が完全に「ヴィクターくん可愛い!!!」モードだったので「私の思っていた「フランケンシュタイン」のイメージが原作と全然違ったんだけど」っていうプレゼンをしたのです。
その続編として「何故こんなイメージが定着したのか」という部分を少しまとめてみようかと思った次第で、映画関連の資料を集めているのです。主にプレゼンに使うのは私が実際に観たものに限るけれど、タイトルを並べるにあたっては私が把握できていない部分もあるだろうということで、ウィキペディアで検索をかけてから情報を確かめる方式で進めることにした。
何かを調べるにもまずは手掛かりがなくちゃぁね。
「フランケンシュタイン」のヴィクターくんが狂気のマッドサイエンティスト化したのが1931年版「フランケンシュタイン」(その後シリーズ化され、全8作!)の影響が強いというのは、原作を読んだ時から私の認識にあったこと。
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それ以外にも派生作品は何本か観ているのでそれなりに観た方だと思っていたのだけれど、調べていて初めて、「フランケンシュタインの逆襲」は1931年版のリメイクとして作られた別シリーズである事を知ってしまう……。
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そしてなんか宇宙人と戦っているタイトルもあるらしい。
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……沼が深いなぁヴィクターくん。これだけたくさんあるのだから、名作も駄作も数え切れないほどあるのでしょう。
そんな地道な調査をしているうちに、完全に蛇足だけれど、今まで70本以上映画や舞台が作られたという「ジキル博士とハイド氏」を原作とする無声映画についての記述をウィキペディアで発見した。
1920年「狂へる悪魔」というらしい。なんかタイトルが人狼ものっぽい。
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原作が1886年で、エジソンによる映写機誕生が1893年。
とすれば、1920年って相当初期だと思われる。
あらすじをさーーーっと読んで、私は「あぁ…ジキおじが若者で恋人がいる設定ってもうこの頃には既に…」と半笑いしたのでした。色々な思いがあって「フランケンシュタイン」とは違い、「ジキル博士とハイド氏」は映画も舞台も一本も観ていないのだけれど、ウィキペディア情報によれば今作の設定がその後の映画に大きな影響を与えたというので、今作が原作と現在のイメージとの溝を作った一端を担っていた可能性は高いと思う。
まぁそれもそうか、かなり初期の映画作品ですし。
(でも登場人物一覧にアタスンおじ様がいるのはかなり嬉しいから今作は観るかもしれない!)
原作と現在のイメージの溝の一つに「姿が変わる」という部分があると思うけど、ハイド氏の外見設定が消え失せたのは舞台化の頃から、と光文社翻訳の解説で読んだ。それは同じ俳優が2役を演じる事で生じた事のようです。
しかしそれ以外の部分でも原作から変更された設定や原作にない設定がくわえられていったのが「初期の映画から既に」ということは、もう止めることのできない進化なのかもしれない。それが良かろうが悪かろうが、ね。
なお、「フランケンシュタイン」に関しては1994年版と2004年版を観てその時代の流行りが強く反映されているという感想を持ったものの、1994年版を経て2004年版と考えると段々と原作に近くなった印象。だけど、その後「ヴィクター・フランケンシュタイン」や、「アイ・フランケンシュタイン」(まだ観てない!)の設定を読むと「フランケンシュタインっていうのは、もうそういう概念と化しちゃってるんだな~」と思ってしまう。
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メディアミックスによって原作からどんどん離れてしまう事は、原作原理主義を自称する私には不安を感じる。
勿論、映画化、アニメ化、コミカライズ、これらはそれぞれ特徴が違うから内容を変えざるを得ない事もあるだろうと思うし、商業媒体である以上、その時の流行りを反映させるのは当然だと理解はしている。
たとえば、映画のヴィクターくんはそれが狂人方面なのか、社交的という意味なのかという違いはあるけれど、総じてアクティブになる傾向がある。
でも原作のヴィクターくんはろくに友達を作れない引きこもりなので、映像として観るには多少アクティブにしないと物語が進まないし画面がつまらないものになってしまうでしょう。
そういう理解は一応はしているけれど、自称・原作原理主義者の私、ついつい「ヴィクターくんは自分から大学に行きたいなんて言わないもん!大学も親から勧められたから、っていう超受け身キャラなんだもん!」なんて叫んじゃうんだけど。
「フランケンシュタイン~或いは現代のプロメテウス」は今年で200周年だけど、こういう概念化の現象はもっとスパンが短くても起こる。例えば、私の愛する1958年の映画「蠅男の恐怖」もその一つ。
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今作は原作「蠅」の舞台をロンドンからモントリオールに移していて、それに伴って登場人物の名前や性格、結末などが多少変化しているものの個人的には名前などのアレンジが「うまいな~」と思うばかりだし、なによりこの映画が大好き。
だけど、そのあとインパクトが強烈なリメイク作品が登場して、日本で「蠅男」というとこちらのイメージになってしまう。
本場アメリカだと、カートゥーン等でパロられる時は「蠅男の恐怖」の方のデザインや設定であることが多いのでそんなことはないのかもしれないけどね。けれど、「蠅と合体した男」という概念だけが残り、人間サイズで二足歩行のハエの姿になったり、ハエの頭と翅を持つ男(not科学者)になったりと変化している。
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これはこれで好きなので何とも言えないけど、原作やリメイクものとは全く別のものとして捉えてスッキリできるのはもしかしたら舞台が一新&それに伴って登場人物の名前が全員アレンジされているからかもしれない。
とはいえ、きっと原作が好きで「映画化決定」を聞いたときにそういうアレンジが加えられている事を知ったらきっと私はがっかりするんだろうなぁ。
だからといって、メディアミックスを否定できない欲望に忠実な私。
映画や舞台で三次元の人間として動くヴィクターくんが観たいし、蠅男の続編(映画で言うなら6作目!)が出るらしいという噂だけで今凄くわくわくしている。
原作原理主義だと言いながらも、蠅男シリーズは映画化作品である1958年の「蠅男の恐怖」を原作よりも愛してしまっているし、「アタスンおじ様が出ないなら観たくない!」と心の中でぎゃーぎゃー叫んでいる「ジキル博士とハイド氏」のメディアミックスにおいては、そもそも「ジキル博士とハイド氏」の翻訳を2種類も購入して嗜むようになったきっかけはFGO(スマホゲーム)から始まった事なので、今でさえパートナー英霊"アサシンのバーサーカー"こと、"若くて心根の優しい方のジキル"さんを想うと「胸が苦しい!」と言っている始末。
原作原理主義でも原作との溝が大きくなった時、その溝を楽しめるようになれれば色々なアレンジを楽しめるのかもしれない。
けれど私にはそれが少し苦手な事でそのメディアミックスもしくは派生作品自体の良さを噛みしめるためには何度も反芻する必要がある。だから全てを受け入れるのはまだちょっと無理です。
でも考えてみたら私はマッドサイエンティスト沼はまだ3カ月。3か月じゃ呑み込めなくても仕方ないよね。(と開き直って終わります)
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