海に浮かぶ月のはしっこ

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【映画】フランケンシュタイン推しの私が「メアリーの総て」を観に行くか悩むだけ

19世紀のイギリス文学作家メアリー・シェリー女史の映画が公開されるらしいですね。
彼女の生んだキャラクター、ヴィクター・フランケンシュタインを愛でてはいますが観に行くかどうかは悩みどころ…今日はなんかそんな話。

タイトルの通り、"悩むだけ"です(-ω-;)
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ちなみに、今日のサムネイルはヴィクターくんとハイド氏。


その映画というのは「メアリーの総て」というらしい。

eiga.com

お気に入りの文学作品が出来て、それを愛でて考察をする…となった場合、文学部学生時代の習慣で、ある程度は調べたりします。とはいっても、今となっては趣味の範囲内なのでネットで信頼できそうな記述を探したり、翻訳本の後ろについている解説を読む、という程度の話。

でも、メアリー・シェリー女史の場合はある程度の事は「フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス」旦那様であるシェリー氏とメアリー・シェリー女史自身による前書きに書かれています。

フランケンシュタイン (新潮文庫)

フランケンシュタイン (新潮文庫)

この彼女のデビュー作だけじゃなくて、この作品の誕生秘話自体が様々な作品等のモチーフやら何やらに使われている印象はあります。それこそウィキペディアで独立記事にされちゃってるくらいには…。

ディオダディ荘の怪奇談義 - Wikipedia

確かに本当にあった出来事にしてはフィクションみたいにスキャンダラスで不可解で怪奇な雰囲気はありますよね。

先ほど作品のモチーフ、と言ったのは1931年版「フランケンシュタイン」の映画の続編の事なのだけれど…私はあらすじを読んで確認しているだけで未視聴なのでそのうちきちんと観ておかないといけない…。
と思いつつも、「だってフランケンシュタイン博士って名前だけで全然ヴィクターくんじゃないじゃん…(;´・ω・)」と、ヴィクターくん推しの私はやる気があんまりないのでした。

観なくちゃいけないとは思っているのだけどね!

※何度も言うけど原作のヴィクター・フランケンシュタインは、博士号も持っていない20歳前半の卑屈な豆腐メンタル大学生である(`・ω・´)+可愛い。


「メアリーの総て」の映画あらすじを読むと、恐らくは通称"ディオダディ荘の怪奇談義"と呼ばれる「フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス」誕生秘話に、そこに至るまでの出来事を足したもの…だと想像します。
フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス」誕生秘話については上記の通り「ご本人の手記の翻訳読みましたよ??」という気持ちにはなるのだけれど、前書きという扱いなのでそれほど細かく書いているわけではない…。誕生秘話と言っても、大体はその"ディオダディ荘の怪奇談義"での出来事についてが中心となる。
もしも私がヴィクターくんの考察のためにこの映画を観るのだとしたら、それは多分「作者が見たりメンバーと話したという、電気による人体蘇生の理論についてを確認するため」になるのだと思う。


ヴィクターは作中で人造人間の作り方について一切口にしないので、実際にどうやって作ったのかはわからない。
ただ、ふわっと死体置き場や屠殺場からパーツを集めてきたとは言っているけど…つなぎ合わせたとも言っていないし、むしろ私は「ヴィクターくんは少年時代に錬金術マニアだったから、錬金術で人体錬成かホムンクルス作成かしたんじゃなかろうかね(・ω・)」とすら思っている始末。

だって、本文の人造人間が目覚めるシーンの描写はこれだ。

わたしは生命を吹き込むための道具を取り揃え、足元に横たわる物体に生命の火花を注入しようとしていました。時刻は午前一時をまわろうとしています。雨が陰気に窓を打ち、蝋燭は今にも燃え尽きようとしていたそのとき、半ば消えかけたその不確かな明かりのなか、足元に横たわった物体の、くすんで黄身がかった瞼が、まずは片方だけ開くのが見えたのです。

メアリー・シェリー「フランケンシュタイン」 芹澤恵(訳)、新潮社(2014)、P109

なにがあったのかさっぱりわからん。

まぁでも、映画での表現を観ている限り、電気と雷を使ったというのが通説なのでしょうね。
ヴィクターが少年時代、家の近くに落ちた雷が木を倒したのを見てビックリする描写があるし、科学者の電気の実験を見ていじけてしまい、あれほど傾倒した錬金術への情熱がすっかり冷めてしまう描写もある。
前書きでメアリー・シェリー女史が見たり話したりしたという「電気による人体蘇生の理論」と、そういったヴィクターの少年時代の出来事として語られている部分を並べて解釈すると、電気を使っていると解釈するのは自然なのでしょう。

…しかし、ウィキペディアの記述でヴィクターが人造人間を作る時に「縄と糸を用いて凧を作り、雲から雷を抜き取った」という表現があるようですが、小説本文のどの辺に書いてあったのか教えて欲しい。私の見逃しだったとしたら、こんなに美しい表現を見逃していたことが本当に勿体なくて悔しいから。
フランケンシュタインの怪物 - Wikipedia



じゃあ、私はこの映画を観るべきなのだろうか、というところなんだけど、まぁ気が向いたら…と思っています。

解説でヴィクターくんのモデルについてかかれているものがあって、それがちょっと不快に思ったから…っていうのも理由の一つ。
そりゃぁこれだけ持っていれば私と翻訳者で解釈違いを起こしているものだって存在しますよね。
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ヴィクターくんのモデルと考えられる作者の身近な人物の名前が挙げられるのですがそれを読んでいると作者の周囲の男性も主人公であるヴィクターくん自身も、凄く嫌な奴に思えてきて(+_+)

それは多分作者が作品を書く時の意図に関わる部分なので私自身、あまり決め付けた言い方をされたものを読むのは好きじゃないのでしょうね。
そういうところも、私が映画を観に行くのを渋っている理由なのでしょう。


…と思っていたのだけれど、このタイトルを話題に出してきた友人から「ヴィクターくんのママだよ!?(*'▽')」と言われたので本気で悩みだしてしまいましたよ。
うううんでも彼が好きなのと彼の生みの親が気になるかどうかはまた別の話だから……!

もうしばらく悩みそうです(;一ω一)