20記事目到達…そして現実時間は5月になってしまいました。
もう一年か…早いな…と思っているところですが世界は非常事態に陥り、あのロンドンの風景も今は見ることが出来ません。いつになったら世界は元に戻るのだろうかとぼんやり考えながら、旅行記の完成まで綴っていこうと思います。
●前回までのお話
ツアー最終日。思い入れの深い文豪の所縁の地を歩き、セントポール大聖堂を見学しました。
祝日だからなのかマラソン大会などでダイヤ乱れや通行止めがあり、なかなか思うようにいかないものの、なんとかロンドン塔までたどり着きました。
snow-moonsea.hatenablog.jp
- 旅の最後の目的達成へ
- テムズ川からヴィクターくんの見た景色を見よう!
- 帰国までの道のり
- ヒースロー空港にて
- しばしの空の旅
- 帰国:「行きて帰りし物語」の終幕
- 旅の終わり夢の終わり、新たなる夢の始まり
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旅の最後の目的達成へ
この旅の最後の目的であり、とてもとても楽しみにしていた体験。
それが、テムズ川クルーズです。
特に私は遊覧船が好きというわけでもないし、今回の旅の目的は「英文学聖地巡礼」なのでそういう観光客向けのアトラクションにわざわざ乗らなくてもいいんじゃないかなと思わなくもないわけですが、今回はど~~~しても、この遊覧船に乗りたかったのです。
その理由はメアリー・シェリー著『フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス』にあります。
そこから海路、イングランドへと向かいました。そして、九月末のある晴れ渡った日に、グレート・ブリテン島の白亜の崖を初めて眼にすることになったのです。テムズ川の岸辺は、それほどまでとはまた趣が異なり、平坦ですが緑に溢れ、眼にする街のひとつひとつに何かしらの物語の面影を認めます。ティルベリーの要塞を見たときには、スペインの無敵艦隊のことを思い出しました。グレイヴズエンド、ウリッジ、グリニッジは祖国でも耳にしたことのある地名です。
やがてロンドンに近づくと、数えきれないほどたくさんの尖塔が目を惹きます。ひときわ高いのがセントポール大聖堂で、イギリス史にその名をとどめるロンドン塔も見えてきたのでした。
メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』 芹澤恵(訳)、新潮社(2014)、P.312~313
- 作者:メアリー シェリー
- 発売日: 2014/12/22
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この小説は主人公ヴィクター・フランケンシュタインが自分の数奇な人生を彼の命の恩人であるウォルトン隊長に語って聞かせる(なおかつ、その聞いた内容をウォルトンがお姉ちゃん宛ての手紙にしたためている)、という構成で綴られており、これは24歳前後の頃の思い出です。
21歳の時に自分が生み出した人造人間から逃げ、人造人間に脅迫され、脅迫されるまま花嫁を生み出すと約束してしまった彼は故郷のジュネーヴから、事情を知らない親友のクラーヴァルを伴ってイギリスに逃げる(逃げてばっかりなんですよねこの子…)。
なので、これはヴィクターくんがイギリスに入国した時の描写。
ちなみに、ヴィクターくんの辿ったルートも過去にまとめているので興味のある方はこちら↓
snow-moonsea.hatenablog.jp
そういうわけで、「私も船の進行方向さえ合っていればヴィクターくんと同じ景色を見られるのではないか」という思いから、テムズ川クルーズに参加することにしたのでした。
テムズ川クルーズとは
昔ロンドンが港町として栄えていた頃にテムズ川は船の往来に重要な役割を担っていたようです。
その名残もあるのでしょうか、テムズ川クルーズ自体はロンドン観光ではメジャーなアトラクションのようです。現地人向けの水上バスも走っているそうですし。
テムズ川を走る船のサービスをしている会社は何種類かあり、それぞれ特徴も違うのですが、私は「City Cruises(シティクルーズ)」さんを選びました。
www.citycruises.com
決定までの私の条件は
・帰国日で時間の融通が利きにくい為、出港時間の都合がよい
・ロンドン塔より西の港から東の港に向かってビッグベンあたりの港で降りるコース
・片道のみでOK
・ご飯は多分食べてる余裕がないので食事付きクルーズには拘らない
…という事。
各社の比較は地球の歩き方のロンドン編が大いに役に立ちました!図も載っていて滅茶苦茶詳しいです…。
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「City Cruises(シティクルーズ)」さんはルートの選択肢の都合がよく、一日の出港本数も多い事が決定打になりました。選択したルートは「ロンドン塔港(Tower pier)からウェストミンスター港(Westminster pier)まで」。ロンドン塔より西に行くと、グリニッジ港になってしまうので相当な距離(2~3倍)になってしまいますし、出発港まで電車で行くのが大変です。
本当はロンドン塔も船の上から見たかったけれど、まぁそこは妥協です。
「City Cruises(シティクルーズ)」さんのチケットはHPから購入手続きをした後、チケットを自宅のプリンターで印刷して当日持っていくという手順。セントポール大聖堂を含め、そういう形式のチケットは多いようです。
そういえば同じツアーに参加していたマダムズがディナー付きクルーズに参加していたそうですね(食事が口に合わなかったとぼやいていらっしゃいましたが…外国ではよくあること…(;^^))。
テムズ川からヴィクターくんの見た景色を見よう!
私が買ったチケットは「13時15分」でしたが、できればホテルまでの時間を考えて一本前の船に乗りたかったのですよね(※ホテルの集合時間が出国前にもらった予定表と違っていたからです)。
時刻は12時30分頃。駄目元で船の乗り場でチケットを見せたら、特に問題なく乗せてもらえました。
拙い英語読解で読んだ感じ、注意事項に「もし乗り遅れてしまったら次の船に乗ってね」みたいなことが書かれていたような気がするので大丈夫なような気はしていたのですが、たまたまだったのかわかりませんが一本前に乗れてホッ。
これは桟橋で撮った写真ですが、遠くにタワーブリッジが見えます。右手が船の乗り場で、左はロンドン塔脇の開けたスペース。確か二日目のバスツアーで写真を撮ったのはこの辺りだったと思います。
船の乗り場は都会の観光向けの桟橋だけに、結構しっかりした作りです。ええ、凄く都会感を感じます。東京っぽい(笑)
船に乗る前に、こちら側からロンドン塔を撮影してみました。
うん、これがヴィクターくんの見たロンドン塔の角度!(こんなに近くないと思うけれど)
船の中には簡単な売店もあって、雰囲気は日本の観光地でもよく乗る遊覧船の感じと似ています。なので新鮮な感じもないけれど、安心感はありますね。
船酔いの心配もしていましたが酔い止めも飲み、昼飯も食べていないのできっと大丈夫(実はギリシャの旅行の時猛烈な風と波に煽られて大変な思いをしまして…地獄でした…)。
船の中はテーブル席もあったのですが、幸い気持ち良く晴れてるし、天井が邪魔で「セントポール大聖堂の尖塔」が見られないと困るので外へ。
西の方面はかなり曇っていますが、とりあえず雨は降らなさそうです。
出港すると、なかなか風が気持ちいい。
しかし船上スタッフさんが放送で解説をしてくれているっぽいのですが英語なので聞き取れない笑
解説が聞き取れないまま、あの尖ったギラギラした建物は一体…と思ったのですが、Googleマップによるとあれは「ザ・シャード」という高層ビルで、通称「ロンドン・ブリッジ・タワー」。展望台が人気だそうです。
横の風景ばかりに気を取られていたら、不意に天井が現れて周囲を見渡すと、これはロンドン橋だったらしい。
完全に見逃している……!!
しかしGoogleマップの写真を見ると、タワーブリッジのような目立ったデザインの橋ではなく、車も行き交い、とりわけ印象に残るような見た目ではありませんでした。
見た事がなくても名前は何となく知っている感じがある有名な建造物なのにこんなナチュラルなものだったというのは少し意外(でもそもそも目的を重視するなら派手である必要はない)。
名前は知っている、というのはほら、歌に合わせて子供が遊ぶ「ロンドン橋落ちる~落ちる~♪」…という………………と、改めて歌を思い出すと物凄く不吉だなぁ!って思ったのですが「マザー・グース」の一種らしく「じゃあしょうがない」と納得をしてしまう(※「マザー・グース」の歌詞は不条理、という偏見)。
せっかくなので原文フルの歌詞を検索してみたら「ロンドン橋が落ちたから直そう、どうしたらいい?」という感じの歌詞のようですが、調べれば調べるほど闇が深そうなので興味が出てきたら検索してみると面白いかもしれません(*'ω'*)
そのもう少し先にちょっと目立つ橋が。
尖塔っぽいデザインの門のようなものがあるなぁと思ったら、これは駅らしい。この橋は電車の為の橋のようですね。駅の名前は「キャノン・ストリート(Cannon Street)」というそうですよ。
更に先に進むと、緑の大きな橋。
名前はサザーク橋。デザインが素敵です。
そういえばアサシンクリードシンジケートでよくよじ登ったのもサザーク橋。隣に線路専用の橋が見えたのも覚えがあります。
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(ロンドン橋は見ていると思いますが実際に何度も落ちているそうなので、ヴィクターくんが見たのは確実に現存する橋ではないと思う…)
サザーク橋を越えたあたりからはっきりと「セントポール大聖堂の尖塔」が見えてきました。
「テムズ川の岸辺」を散歩している人がいますが、緑にはあふれていませんね…笑
ヴィクターくんが生きた時代の後、産業革命に突入しロンドンの街とテムズ川は一気に環境汚染に晒されたそうなのでヴィクターくんが見た岸辺とは全く違うものなのでしょう。勿論、ロンドン塔よりもっと西の方は自然にあふれているのかもしれませんが。
産業革命の時代の描写は多分、『ジキル博士とハイド氏』に出てくる「チョコレート色の霧」というのが近くて、恐らく環境汚染によるスモッグが立ち込めている情景だと思います。
勿論、現在は環境保全活動によってかなり改善されているそうです。テムズ川の色は茶色ですが…苦笑 でもこんなに近くにいてもドブ川みたいな臭いは全くしませんよ?(/・ω・)/ 渋谷の方がひd()
と、ここでせっかくなので最後の聖地巡礼マーキング。
本当に最高の体験ですね(*^▽^*)
ちなみに、セントポール大聖堂は一番近い角度まで進んでも頭しか見えませんでした。
セントポール大聖堂を通り過ぎると、徐々にクレーンや工事の様子が目立つようになります。渋谷と同じで再開発ラッシュの真っ最中と言った感じなのでしょうね。
現代的な無機質な四角い建物ではなく、ヨーロッパの伝統的な街並みなのでそういった部分が趣深いです。
鞄からサッとヴィクターくん(手作りのオビツ11ドール)を取り出して撮影してみたり。
ピントが合ってない…。
この尖ったモニュメントは「クレオパトラの針」というらしいです。
古代エジプトのオベリスク(記念碑)で、ヒエログリフが刻まれているそうですが、クレオパトラの時代のものではないらしいです。
…と、そうこうしているうちにロンドン・アイが見えてきました。
ということはそろそろウェストミンスターです。
ビッグベンも近づいてきます。あっという間の船旅でした。
ウェストミンスターの港に到着。
こんなに近くでビッグベンを見るのも初めての体験ですが、こう修理中の風景というのもレアですよね笑
絵の資料には使えませんが…(T_T)
帰国までの道のり
これで私の観光はおしまいです。考えていたハードめな観光メニューをほぼ100%こなし、むしろ前日に頑張ってプリムローズヒルに行けただけ150%かもしれない、と思う程の充実っぷりでした。
でも観光はおしまいですが、帰るまでが旅。
帰路の道のりも満喫いたしましょう。
ホテルに帰るまでもまた冒険
その後「時間が空いたら本屋に行きたいなぁ」なんて思っていたけれど、時刻は13時40分。空腹が限界で本屋を探している心の余裕もありませんでした。
ウェストミンスターの駅にキオスクのような売店があって、そこで飲み物とパンを買うことにしました。
パンは直感で「Steak bake」をチョイス。
さしずめ「牛肉パン」。お腹にもたまりそうだし、見た目もパイに近いので昨日食べたエールパイに近いのではないか(=口に合わない危険が少ない)という発想。
「ロンドンの肉のパイ」なんて"アレ"思い出しますけどね…笑
↓ アレ
パンはケーキ屋さんみたいにカウンターのガラスケースから注文する形式だったのですが、発音が難しくてなかなか伝わらない。
「ステーキ」よりは「ステイク」に近い発音だと思いますが、私の発音が悪くて2回チャレンジして駄目。ガラスに指を指しながら「This Please」が無難でした(;^_^)
パンはほんのり温かくて、その場でかじりつきたかったけれどホテルに帰るまで我慢。
ウェストミンスター駅からホテルまで帰るまでも大変。またダイヤの乱れの影響を受けてしまいました。途中で路線が二手に分かれるタイプの路線だったのですが、Googleの検索通りに乗ったはずなのに違う方面に乗ってしまったようです。
降りたのは「ウエスト ケンジントン(West Kensington)」駅。ホテルまでは約1kmありますが、自宅の最寄り駅もそんなもんですから歩けない距離では全然ありません。
時刻は14時頃。14時半までにホテルに戻りたいので引き返してまた乗り換えてホテルの最寄り駅から300m歩くよりかは、そのまま歩いてしまった方が良いかもしれません。
そういう次第で、私はそのままそこで降りてGoogleマップを頼って歩くことにしました。
おっと、その前にオイスターカードを払い戻さないと。
(※オイスターカード→ロンドン版Suica)
オイスターカードの操作は日本語モードにできるので楽々です。交通ICカードとしてバスにも使えて凄く便利でしたし(テムズ川の水上バスにも使えるらしいですよ!)、余った分は操作パネルで払い戻しが出来るのでとても良いですね。
ただし、オイスターカードの残額が残り過ぎていると払い戻せないらしいのでその点は注意です。私は問題なく払い戻しが出来ました(*'ω'*)
オイスターカードの払い戻しを終えた時、数人の若い現地人に話しかけられましたが何を話しかけられているのかわからなかったので「わかりません」のジェスチャーをしてスルー。
記憶には残っているのですが一体何だったのか未だにわかりません。
駅からホテルまでの道のりは閑静な住宅街といった感じで、多くの集合住宅が立ち並んでいました。
中庭のお花が綺麗。この時期が現地人の一番好きな季節、というのもよくわかります。普通に冬寒そうだし…。
ふと視線を感じてとある集合住宅の方を見やると、猫さんが窓から顔を出していました。
格子状の窓っていうのもあんまり日本ではなじみがないですね。
こんな風に街の風景を楽しみながら20分ほどかけて無事ホテルに戻ったのでした。
ホテルで最後の一息
ホテルの集合時間(14時30分)まであと10分ほどありますし、実際のバスの出発予定時刻は15時頃です。
添乗員さんが免税の手続きの準備をサポートしてくれて、それに関しては難なく終了しました。一応、私は自分で手続きをする準備もしてきていたのですが、ここはやっぱり初めてですしプロが「免税の手続きがしたい場合は声をかけてください!」と言ってくれているので甘えようかと。
各々のお店で免税したいと申し出た時にもらった書類(長ーいレシートのようなもの)に必要事項を記入するだけです。私が手続したのは大英博物館のお買い物のみだったのですが。
荷物を引き取って、バスが来るまでの間に一息。
ホテルのロビーはツアーメンバーで一杯になっていたので、添乗員さんに一言声をかけてからホテルのテラスで休憩することにしました。少し風が強い。
駅で買ったパンと、非常食として持ち歩いていたスナックを食べました。
美味~~~~(*'ω'*)
昨日のエールパイにも似ていますが、エールパイの独特の汁気がなく、パイのサクサク感がとても美味しいです。
そんな風にまったりと休憩時間を過ごしていると、マダムズから「(朝食の時に私が勧めた)リージェンツパーク行ったわよ~!」と報告を受けました。
バラ園良かったみたいですね(*'ω'*)
現金は空港で使ってしまわなければならない…!?
バスで帰国サポート担当のガイドさんと合流し、一行はヒースロー空港へ。
免税手続きをしたい人への案内をされると同時に、「このタイミングで現金をまだ持っている人は空港で使ってしまうか、帰国後すぐに日本円に換金してしまった方が良い」と聞かされました。それというのも、ポンドは数年おきにデザインが変更され、期限が過ぎると価値がなくなってしまうのだそうです( ゚Д゚)
この時点で私が持ち歩いていたのは£11ほど。
日本円にすると1000円に満たないくらいですから、お土産でも買って使ってしまう事にしました。
ヒースロー空港にて
免税手続きをすることになった我々。
免税のコーナーはガラガラでほとんど並んでいなかったのですが、これって物凄く珍しい事らしい。中国からのツアー団体客が先客にいると人数や買い物の量が凄くて物凄くならぶそうなのです。
でもこんな状態なのでさほど時間はかかりませんでした。という事は、次回はもっと覚悟しておかないといけないって事ですね…(;^ω^)
しかし直前になって書類が見当たらなくてテンパってしまったりと、初めての事ってなかなか緊張しますね…(;^^)
私が見当たらなくなってしまったのは航空券の予約券。なくさないようにとチケットの予約券を入れていた「重要なものホルダー」に入れていたのに、そのことを忘れてしまって慌てたのでした。
うっかりです…。
余談ですが、並んでいる時にバスで合流した空港のサポート担当ガイドさんが私の鞄についていた時計を見て「ロンドンで買ったんですか?」と聞いてきた場面がありまして。
「日本で買ったんですよ~」などと。
ロンドンのイメージの絵柄って割と地味なタイプが多いのですが、これは滅茶苦茶可愛いですよね!
私は金属アレルギーなので腕時計は出来ないのですが、こういうタイプなら気兼ねなく持ち歩くことが出来ます。その代わり、結構壁にぶつけてガラスが割れちゃったりもするんですけど…。
ところで、この免税手続き。
添乗員さん曰く、ここ10年で最速だそう…。
添乗員さんが言うにはいろいろな場面で我々一行はとてもラッキーだったそうです。確かに、日本人の入国審査が簡略化されて3日目の事で滅茶苦茶早くホテルに着いたし、バスや交通の都合でなかなか行く時間が取れないというアリスショップにも行けましたし、何より雨が多いとされるロンドンですが雨が降ったのは全て夜だったので日中は天気に恵まれました。
そしてこの免税手続きのガラガラっぷり。
お陰でお土産を見て回る自由時間がたっぷりとれたのでした(*'ω'*)
なんと、1時間近くも。
現金でお土産を買おう
手元に残った現金を使い切るためにも、自分の気持ちを満足させるためにも買い物をすることにした私。一人でフラフラとヒースロー空港の免税店を見て回ります。
そういえば、イギリスに来たのに紅茶を買っておりません。
カフェテリアでもコーヒーを注文しましたし、朝食の時にTWINING(トワイニング)のティーバッグのお茶を飲んだくらいです。
元々、私自身が紅茶を好んで飲むほうではないし、家族……特に母は「Lipton(リプトン)一択。ちなみにコーヒーはネスカフェ ゴールドブレンド一択。それ以外はまず(それ以上はいけない…)」という偏食(?)タイプの味覚の持ち主。馴染みのない味にはすぐ「まずい」と言ってしまうので、外国の食品を買ってきても無駄になる可能性が高いのです。
でも実際、現在の現地人は紅茶よりコーヒー派の方が多いと聞きましたけどね…笑 ちなみに添乗員さん曰く、現地人の一番人気はTWINING(トワイニング)だそうです。
イギリスには高級茶葉のブランドがあんなにたくさんあるのに!と少し意外でしたが、日常的に飲むとなると馴染み深い味わいで、手軽に手に入って、価格帯も手を出しやすい、となるのは当然なんだろうなと思います。ホテルでもTWININGでしたからね。
そういう次第で、紅茶やデザインで惹かれそうな雑貨などを探したのですが、これと言って強く惹かれるものが見つからず……。
今思うと、この時には既にかなり満足していたのでしょうね。何だかんだ、私が1番テンション上がりまくって衝動買いしたのって表紙に一目惚れして買った洋書たちで、これを買って、アクセサリーも買えたのでそれ以上に何かという気持ちにはすぐにならなかったようなのです。
免税店をぐるぐる歩き回っていると、空港の空気が乾燥していることもあって喉が渇いてきました。フードコートにカフェがあったので、そこで後で飲み物を買う事にして、そのすぐ近くにあったリカーショップに入りました。
父にはお土産を一つも買っていなかったので、残ったお金で地酒のようなものが買えたらと思ったのです。洋酒が好きかどうかは微妙な所ですけれど。
英語でウイスキーを買おう…?
リカーショップでどれを買えばいいのかわからなくて店内でうろうろしていたら、背の高い男性の店員さんに話しかけられました。
英語が話せない私、一瞬固まる。
でも英語が出来ないなりにそこまでビビらなくなっているような気もして、もう滅茶苦茶な文法で「I want to」「my father」「present whiskey」「small bottle」とほぼ単語で伝えました。せめてプレゼントじゃなくてギフトって言うべきだったと思いますが。
ウィスキーの棚で比較的お土産として手軽な小さい瓶の列を見せてくれたのですが全く説明が聞き取れない。多分、「何処の地方又は種類のものが好みですか?」って聞かれているんだと思うのですが。
仕方なく伝えたのが「I am Japanese」「English is difficult...」。
すると、流石は免税店の店員さんです。
「お店で一番売れているやつ」と「二番目に売れているやつ」を教えてくれました。そういうわけで「一番売れているやつ」を買う事にしたのです笑
残っていた現金を全て使い、残りをクレジットカードで決済してもらっている時、店員さんに英語で「漫画とアニメ好き?ワンピースとかドラゴンボールとか、僕も好きなんだよね」と言われました。
なにこのやりとり。すげぇ面白い。
なんて台詞を返していいかわからずニコニコと頷くだけになってしまったのが後悔ですが、切り返しとして「日本の漫画も好きだけど、私は英文学が好きよ!」とでも返せればよかったのですけどね(笑)
今の私にとっては文学作品が漫画やアニメに相当するコンテンツだし、そのためにロンドンに来たのですから。
反省、する
しかし、今回の旅で反省することもある。
私は「実際のイギリス人男性がどうなのか」というのはさておいて、所謂「英国紳士」という属性に偏見を持っていまして。
シャーロック・ホームズといい、ヘンリー・ジキルといい、ハリポタのスネイプ先生や諸々のキャラといい、若干人を鼻で笑うような言い回しがきr(以下略)
勿論、英文学の中でもそういうキャラクターばかりではなく、ワト氏は好きですし、アタスンおじ様もルーピン先生も大好きです。だけどメインキャラクター枠がこんな感じな上に、「英国紳士」という言葉によく形容されている「親切で優雅(悪く言えばお高く留まっている)」「皮肉屋」というイメージが、「メインキャラクターたちがその具体例です」という感じに刷り込まれてしまって何となく苦手意識を持っていたりしました。
でもまぁ当然の事ですが、実際の人たちとそれが確実に結びつくわけがないですし、全ての人がステレオタイプに当てはまるわけでもなく。
現地の人に色々と親切にしてもらったので、そういう偏見からのちょっとした苦手意識というのは、見直さなくてはならないと反省したのでした。
カフェで飲み物を買おう
もう買い物も手慣れたもので、唯一の心配は発音だけ。
フードコートのカフェで予定通りクレジットカードで飲み物を購入。
紅茶にしようかと一瞬悩んだものの、結局空港が暑かったのでフラッペのモカにしました。
でかっ。これでもこぼすかと思って少し飲んだ後の写真です。最初はこのドームの上までスレスレまで入っていたんですよ!
£3.5ほどだから500円くらい?
ストローが紙でできていて、長時間そのままにしているとふやけてきてしまいます。でも紙のストローの方が環境には優しいそうです。
日本ではまだプラのストローが主流ですがこの一週間の旅行を通して差別の問題についても権利の問題についても環境についても、「意識の差でヨーロッパの方が進んでいる」という印象を受けました。
「旅行」とはいえどかなり学びが多かったと感じます。
フラッペを飲んでいると、隣に同じツアー客のメンバーが座りました。三日目にお味噌汁をおすそ分けした彼女。
買ったお土産の話や帰国後どうやって帰宅するのかという話をしたりしているうちにあっという間に時間が過ぎてしまいました。彼女が唯一、この旅でSNSのアドレスを交換した人物となりました(*'ω'*)
ツアーのこういう出会いもいいですね。
しばしの空の旅
搭乗したあとはしばらく空の旅。
でも興奮冷めやらず、しばらく眠れそうな気分ではありません。
機内食を食べる前後はノートに絵を描いたり、機内放送の映画を観たりして過ごしていました。
DVDも持っている『グレイテストショーマン』。
音楽を聴くだけでも最高ですよね。そういえば私、旅行に出る数カ月前に『グレイテストショーマン』の曲に合わせて手術したような気がする…。
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その後、『動物番組』。
その後に『メリーポピンズ リターンズ』。
そもそも、今作の原作は英文学である事を失念していたのですが。このシリーズ好きです。
そういうわけでほとんど眠れていないという状態。
なお、飛行機の中で描いた絵はその後帰国後に綺麗に描きなおしているんですよ(*'ω'*)
「ソーホー」
「リージェンツパーク」
「プリムローズヒル」
記事が20突破してしまったので飛行機の中で描いた絵よりも増えてしまいましたけれどね…(;^_^)
帰国:「行きて帰りし物語」の終幕
私の行って帰って来る物語、もしくはカタバシス(冥界下り)からの帰還、または一度人生が終わって生まれ変わる旅から、また(日本の)地上へ!!!
日本に到着した後は、添乗員さんにたくさんたくさんお礼を言いました。本当に最高の旅でしたので。
空の上で、「イギリスって行きやすいな…」思いながら、「あぁーー名残惜しいなぁ…ロンドンにもう少しいたかったなぁ…」と思えることは大変幸せな事なのだと思いました。
それというのも、ギリシャに行った時は本当に帰りが悪天候で最悪の体験でしたので、二度とあんな思いはしたくないです笑
しかしこの時の羽田はバカみたいな暑さ。
梅雨前でジメジメしてるのも余計にサウナ効果。イギリスが雨が降っても比較的カラッとしていただけに、日本の猛暑が身に沁みます。
その後は1時間ばかり待って、リムジンバスで帰路につきました。
でも、帰宅した直後は自分の部屋が自分の部屋だと思えなくてぎょっとしてしまいました。何しろ、旅に出る直前に大規模に断捨離をして段ボール箱7箱、ビニール袋11袋ほどの不用品をリサイクルに出したり捨てたりした後だったので「何にもない」という印象だったのです(勿論、それでも手放せないものはちゃんと収納スペースに収まっているのですが)
この旅の大きな目的の一つは「疑似的に一回死ぬこと」でした。
物語や英雄譚の基本構造「行きて帰りし物語」の疑似体験です。私としてはその構造はギリシャ神話になじみが深いのでヘラクレスやオルフェウス、オデュッセウスといった英雄たちの「カタバシス(冥界下り)」になぞらえます。「冥界に降りる事=死」ですから、「地上に戻ってくること=蘇り・生まれ変わり」です。
「ブラック企業に7年仕えた社畜としての今までの人生、それから引っ込み思案で自信なさげな自分を一度なかったことにしてしまいたい」
という思いから、「疑似的に一回死ぬこと」にした私は遺品整理のつもりで断捨離を実行した為、色々なものが部屋から消え去っていたのです。とはいえ一年近く経った今でも処分したことにさほど困ってないので処分して良かったんだと思いますけどね。
この帰ってきた時のこのぎょっとした感覚がまた、自分は新しい人生を迎えるんだという気持ちにもつながったような気がします。その後は就活の夢を見る事はあっても、あれほどロンドンで魘された「前職の黒に近いグレーの会社で苦痛に耐える夢」は一度も見ていません。
買ってきたお土産の話
帰宅後はすぐに荷物の解体。
お土産の開封とあげる人への仕分けも楽しみの一つです。
2日目:市内観光ツアー
〇ロンドン塔のお土産コーナーで購入したブローチ
お土産用でせいぜい£15前後(2000円くらい)の特に高価なものでもないのですがデザインが気に入ったので買いました。こういう少し大きいタイプのブローチはカーディガンのボタンの上から付けたりしてネックレスの代わりにして使ったりします。
金属アレルギーなのでネックレスの代わりに専らブローチですね(*'ω'*)
流石イギリス…クラウンモチーフのデザインがたくさんあって滅茶苦茶迷った。
〇大英博物館で衝動買いした洋書『The STRANGE CASE OF Dr.J
ekyll and Mr.Hyde』
買 わ ず に は い ら れ な か っ た
翻訳も紙の原文も持っているのに、装丁が気に入ったのです。
複数の意味で「推しのグッズ」ではあるし…装丁がオシャレすぎてあとはもうどうでもいい。
3日目:コッツウォルズとオックスフォードバスツアー
〇オックスフォードの不思議の国のアリスショップでトートバッグ
妹と母にお揃いで。
〇衝動買いした洋書『ALICE'S ADVENTURES in WONDERLAND』
これも装丁に一目惚れしました。
洋書読めるかって?読めません(;^ω^)
4日目:自由行動
〇シャーロックホームズ博物館のテディベアと洋書
ショーウィンドーを見て一目惚れしてしまったテディベア。こういうコスプレ系のぬいぐるみに弱いのです…ディズニーランドなどでも他のキャラクターのモチーフの服を着ているデザインとかにぐっときてしまいます。小さい方は甥っ子くんへ。
洋書は手軽なサイズで中が全てカラーで絵がたくさん描かれているので英語を読むのが大変でも楽しめるかなと思って選びました。ジキハイやアリスと同じシリーズのシャーロックホームズ原作もありましたが、サイズや重さがあまりに鈍器だったので…
絵を見ているだけでもなかなか凝っていて面白いです。
19世紀のロンドンの古地図とかもついてるのー!参考資料としてもイイ感じです。ちなみに、私は全てのホームズ原作を読んだわけではないため、原作でモリアーティとは会った事がありません…
〇大英博物館限定のバステトとアヌビス、そしてギリシャ壺USB
友人からのリクエスト。
ものすごく出来がいいし、毛並みも美しい!欲しくなっちゃう…。
〇大英博物館のコレクションのレプリカブローチ
これが1番高い買い物…
大英博物館の16世紀イタリア製ヒポカンバスネックレスをお土産用にアレンジしたレプリカ。めっっちゃ可愛いでしょ!?
実物の方が大きいし素晴らしい品物には違いない。けどレプリカだけどなかなかのサイズだしデザインもとても可愛らしい。
〇キングズクロス9と3/4番線のトートバッグとパスタグ
トートバッグはほぼ一目惚れ。散々ロンドンの電車に乗ったわけですが、このデザインがまさにロンドンの駅感があってそこもポイントが高く…他のトートバッグの誘惑を我慢して買ってしまいました…。
正直、ハリーポッターの世界観に再加熱してきたのはこのイギリス旅行が理由だったりするので、この頃はそこまでグッズの誘惑がなかったのです。
今となってはもっと派手に買い物しておきたかったなと思いますが、我慢できなければまぁ…通販も出来ますから…笑
旅の終わり夢の終わり、新たなる夢の始まり
荷物の解体が終わり、お土産の仕分けをし終わりました。
でも、何故か涙が止まらなくなってしまいました。
なんでだろう…夢が一気に叶ってしまって心がついていけていないとか…??
大英博物館で古代ギリシャのハデス神が描かれた有名な皿を見つけた時も、こんな形で出会うとは夢にも思っていなくて、心の準備なんて何もしてなかったですから。
夢は叶った時に終わります。
それは結構な喪失感です。その思いが強ければ強いほど…。
だからギリシャに行った時はクレタのハデスみが強すぎるセラピス像と対面した後で号泣したものです。きっと、今回の旅も私にとってはそういうものだったのでしょう。
感想は「最高の旅だった」……これに尽きます。
聖地巡礼をする(作品の舞台になった場所を実際に歩く)ことで初めて知った事もある。作品達がもっともっと好きになりました。
そして、案外私もやればできるという自信がついた。旅行先ではたくさんの人に助けてもらったので、私も誰かの為にある自分で居たいと思った。
色々失敗もしたけれど、でもそれも全て私のプラスになりました。
行って良かったとしか言いようがない。
夢が終わったら、新しい夢を抱くことが希望になる。
いつか死ぬまでに、エリスのハデス神殿跡を歩く。
そしてビッグベンの修理完了した後の未来にはミルトン先生の家で書斎を見学し、ミルトン先生の母校ケンブリッジに行き、ミルトンの木を見る。
それを叶えるために、今は頑張ろうと思うのです。
約1年経った今ですが、世界は大変な事になっているです。
私が置かれている状況も決して良いとは言えません。だけど、夢があるから生きていけるし、この旅で私を支えてきた文学たちをもっと好きになってもっと愛するようになって、それが私の希望になっています。
素晴らしい未来を目指して。
初めての英国聖地巡礼一人旅。お付き合いありがとうございました。
★英国一人旅記事一覧
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