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【映画】『LEGO(R) ムービー』でチームワークについて思いを馳せる

チームワーク、と言われても今活動している事の舞台裏とかをお話しするのは憚られるので、チームワークの概念として映画の話をしようかと思います。


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LEGO(R) ムービー』って映画、ご存知ですか?(*'▽')

具体的な事はあまり話さない紹介を書きたいところですが、この作品はある程度ネタバレしないと観てもらえない気がするので多少のネタバレは含むものとご留意ください(;´・ω・)

概要

LEGO(R) ムービー』って、こんな映画。

世界で幅広く親しまれている玩具「レゴ」を題材にした3Dアニメーション。特徴もなく、ただマニュアル通りの日常を繰り返すことになんの疑問も抱いていない平凡なLEGOフィギュアの作業員エメットは、ひょんなことから世界を救う「選ばれし者」と間違われてしまい、LEGOワールドを思うがままに支配しようと企むおしごと大王の野望を阻止する冒険に出るはめに。ヒーローになる覚悟も自覚もないエメットだったが、世界を救うため個性的な仲間や人気ヒーローたちと悪に立ち向かっていく。
引用元:https://eiga.com/movie/78099/

eiga.com

いかにも子供向け、って感じのあらすじでしょう?LEGO(R) ですし。っていうかLEGO(R) にしなくても良くない?
チームワークとか言いながら「仲間と力を合わせて世界を救うよくあるやつなんでしょ?」って感じですよね。

でも私、正直舐めてた

友人にリバイバル上映に誘われて、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』との抱き合わせで観たのですが、「これは…」と思いました。
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』もとても面白い映画ですし、寄せ集めメンバーが徐々に仲間同士として機能していく過程はとても見ごたえがあって良いですよ(*‘ω‘ *)

この作品が内包する要素

私がヤバいと思ったポイントは以下の通り。

・マニュアル通りの人生を強いられるディストピア世界観
・色々な意味でクリエイターとマニュアルにこだわる人の戦い→しかしどちらも存在しなければ成り立たないストーリー
LEGO(R) じゃないと成り立たない世界
・ハッピーエンドなのに皮肉過ぎるエンディング

初めて観た私「何これ……!( ゚Д゚)」

色々思う所はありますが、「色々な意味でクリエイターとマニュアルにこだわる人の戦い→しかしどちらも存在しなければ成り立たないストーリー」という部分がチームワークについて思いを馳せた時この作品がぽんと頭に浮かんだ所以なのだと思います。

マニュアル通りのディストピア

この世界にはマニュアルが存在し、その通りに生活する事が推奨されているようです。

例えば「ソファに家族で座って挨拶を交わす」とかね。
主人公のエメットは一人暮らしなので、ソファに植木鉢や何やらを並べて笑顔で挨拶を交わす

また、主題歌の「全ては最高!」をBGMに、コーヒーショップでボッたくられても「最高!」と言ってにこやかに受け入れる。

狂気か…!?( ゚Д゚)

でもそういう世界なんです。
映画開始10分でそれでしたから、「どうせ子供向けでしょ…」と舐めてかかったら真顔になってしまって。
ディストピア過ぎて怖い。

でもこの世界を構成する要素としてはとても大切な事なのです。この世界ではおしごと社長が全てで、彼の理想とする世界の実現のために必要な事なのです。

そして主人公、この世界を何の疑問もなく受け入れている。マニュアルから外れた行動をすることを恐れます。
でもマニュアル通りにいかない人たち(=マスタービルダー)に出会って物語が始まります。

クリエイターとマニュアル人間の戦い

この世界ではマスタービルダー(構築者)と呼ばれる存在がいて、彼らはマニュアルに従わないので狙われているようです。
彼らは周囲の物から独創力によって新しいものを生み出す能力を持っている…要するにクリエイターです。マニュアルなんかなくっても、自分の独創力によって何でも生み出してしまいます。その能力がこの世界では混沌を引き起こす原因と見なされるようですね。

主人公のエメットは没個性の作業員であり、マニュアル通りにしか動くことのできない人物です。
エメットの生活圏の中では没個性であることを周囲に認識されてはいても、模範的な市民のひとりとして受け入れられています。

だけどマスタービルダーのコミュニティではエメットは「ダメな奴」なんですよね。マニュアル(規則やルール)がなければ何も出来ないから、その没個性を余計に馬鹿にされる。
エメットは自分に個性がないと周囲に思われ、独創性がないと非難されてガチ凹みしちゃいます。

マニュアル人間に弾圧されるクリエイター

前述の通り、マスタービルダーは弾圧されています。マニュアルに従わないからね。

この物語はある意味反逆の物語で、"真の主人公(と私が思っている人物)"の反抗を再現しているとも考えられます。"真の主人公(仮)"は物語の後半、この作品の真の姿が明かされる部分で登場しますが、「マニュアル通りにしろ」と強制されている"真の主人公(仮)"がエメットに無限の可能性を託しているとも思えるのです。

そして、おしごと社長や"真の敵(仮)"にとってはエメットはただの作業員でしかなく、可能性の芽なんて彼にそもそも存在しない。

…って書くと、マニュアル人間側が全て悪いように聞こえますが……。

クリエイターにはマニュアルが存在しない

ところがね、マスタービルダー側の方がマニュアル人間よりずっと優れているとも言えなくて…。

マスタービルダーのコミュニティはマニュアルが存在しないのでチームワークは破綻しているんです。
実は、チームワークで何かをするという事に関してはエメットの能力が凄く高い。ルールを決めて、皆で何かを成し遂げるという能力です。

エメットは後々、様々な経験を通じて独創性を身に付けていきますが、個人での活動はともかく、大勢で何かをするとなった時はマニュアルを熟知し、適材適所で指示を出せる彼のような存在がいなくてはならない…という物語であったりもします。

マニュアル人間とクリエイター、どっちも存在しないと成り立たないんです。もちろん、それは現実世界でも同じだと思います。

LEGO(R) じゃないと成り立たない理由

この世界はLEGO(R) じゃないと成り立たない。
それはLEGO(R) だからこその演出がたくさんあるからなんですが、私は真の主人公はエメットじゃないと思ってるので…。

この辺りは是非映画を実際に観て感じて欲しいなぁ。

映画が入れ子構造になっているからこそこの物語は面白いし、メッセージ性が強く出ていると思うのです。だからやっぱりこの世界はLEGO(R) じゃないと駄目。LEGO(R) であることを最大限に活かしているところが、本気でヤバい。

皮肉過ぎるエンディング

いや~、しかしエンディングが皮肉過ぎて痛快なんです。
"真の主人公"と共に「そんなのあり~!?」と不条理さに苦笑いしながらも、「いや、でも、ほら、これは君が"真の敵(仮)"にしたこと、だよ?」という思いもあり……。

"真の敵(仮)"に勝った(?)事で、"真の主人公"は平和を手に入れたわけだけど、元々は「"真の敵(仮)"の求める平和を最初に壊したのは"真の主人公"である」という事を"真の主人公"は逆の立場になることで初めて知る。

この物語は二つの存在があって成り立ってる物語だから相手の気持ちを身をもって知るって、イイネ!

本当に好き。最高。

"真の敵(仮)"の気持ちもよくわかるんです。特に大人になるとね。
綺麗で完璧な物のほうがいいじゃないですか。そして綺麗なものを大切にして、傷つけたりしたくないって気持ちもあるじゃないですか。
それにマニュアル通りの方が、統一感があって効率的で機能的だって、ついつい思っちゃうじゃないですか。

勿論、どっちを推奨するってわけでもないけれどね。

まとめ

チームワーク……
この世界ではクリエイターとマニュアル人間の二つに分かれているから、とてもわかりやすい。

物語の中では「マスタービルダーと、そうじゃない奴」、みたいな言い方をされていますがその言い方だと「持つ者と持たざる者」みたいな言い方でいい気はしませんね。

この物語に登場するクリエイターも、「宇宙船だったらどんなものからでも作り出せるけどそれ以外は苦手」などの専門特化した能力を持つ人もいるわけで、クリエイターと一口に言っても色々な種類の存在がいます。


だから例えばエメットは「没個性で独創性がないと馬鹿にされていたけれどルールを作ってチームワークを行使させる能力を持っていた」という感じですけれど、決して「クリエイター能力はないからエメットみたいに適材適所を見抜いてリーダーシップを取れる存在にならなきゃいけない」ってわけでもないと思うのです。

エメットも言ってましたけど「マニュアルさえあれば(マニュアル人間は)一人じゃ作れない大きなビルを作ることもできる」。
チームワークの中では一人一人が大切な構成要素なのだと思います。


…なんにしても、です。
凄い映画だから観て欲しい!(*'▽')

小ネタも凄く多くて面白いです。
ここまで書くとかなり重苦しい内容に聞こえるかもしれませんが子供も楽しめるように作られていますから、軽快なテンションでストレスなく観る事が出来ます。

おまけ

っていうか続編が出るんですね…
wwws.warnerbros.co.jp
チェックしておきます( ゚Д゚)