海に浮かぶ月のはしっこ

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【日常】もう二度とここへ来ないことが私の幸せ:最後の手術後検診

先日、「入院していた時に読書が心の支えだった」という話を書きましたが…最後の検診に行ってきました。

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今日のサムネイルは退院直後に描いたヴィクターくん(「フランケンシュタイン」の主人公)のラフに、現在のヴィクターくん(カラー)を描き添えたもの。概ねのデザインは同じですが細かい所が変化していたりします。

ヴィクターくん=入院の時の記憶でもあり、入院=ヴィクターくんとの出会い でもある。
でも二度とあの病院に行かないことが私の幸せ…なのだと思う。少し、寂しいな。


前回書いた記事はこれ。

snow-moonsea.hatenablog.jp


私が手術を受けた病院が「がんセンター」というのも理由の一つなのでしょうが、手術を終えてから半年間、度々検診に呼ばれていました。
先日、最後の検診の日を迎えて。
綺麗な病院でしたし、私が住んでいる地域と比べるとのどかで静かで、落ち着いたところにありました。

入院の時の記憶は、確かに痛くて辛かった部分こそあれど、決して悪い思い出はないのです。
なのだけれど、「もう二度とここへ来ないことが私の幸せだ」と思うと何だか思うところがあって。

病室で読書にふけった事、「フランケンシュタイン」「緋色の研究」の続きを読むのが楽しみで、明日が来ることが待ち遠しかった事、院内のカフェでアマゾンにアクセスして「オペラ座の怪人」を注文したことや、院内のコンビニでiTunes Cardを買った事。
決して悪い思い出でもない。院内の雰囲気は静かで好きだった。


入院していた時に担当してくれた歯科衛生士さんとすれ違って、「あぁ!こんにちは」と一言挨拶を交わした。
この歯科衛生士さんもとても親切にしてくれて、とても良い印象を持っている。けれど、二度と会わないことが多分私の幸せ。他のサービス業だったなら、またいつか「あぁ!こんにちは」って言う事もあるかもしれないけれど。

病院ってそういうところなんだ、と思うと何だか少し寂しいな。
病気にならないと行かない所だから、次に行くことがあるとしたらまた私が病気になるか、今度は家族か友達か…そういった近しい人が病気になった時だろう。


人の出会いは一期一会。
病院なら尚更なのだろう。私が健康に生きて、二度とこの病院を訪れないことが私が幸せだってこととイコールに近い。そこでの出会いは二度目はない方がいいのだ。
二度目がない方がいい出会いって、なんだかもの悲しい。


とはいえ、手術の傷跡はくっきり残ってしまったので「もしも傷跡の処理の治療を希望するなら連絡をください」と言われていて。またこの病院に行くことになるかもしれないのだけれど。
けれど、入院の時色々な人に親切にしてもらったこと、ヴィクターくんに出会えた事…色々な良い思い出が付加されているのは救いだ。行くのがおっくうにならなくて済むし、病気になるって辛いことだから。
多くの医療従事者さんに、物に、環境に、本に、物語の登場人物に、感謝もしている。


そんなことを、帰りの待合スペースで考えていたのだった。
多くの人へ、ありがとう。