ブログを始めたのが3か月前。ゴシック文学沼にハマって大体半年。
ということは、文学沼にハマって3か月くらいでブログを立ち上げたことになります。
最も、「記録をつけよう」という意図で始めたブログなので特定の作品の為というわけでもないはずなのですが、主に読書記録を想定していたので特定の作品の為とも言えるかもしれません。
あの入院生活が一つの転機になっているともいえるのですが…
その時の事を書いてみようと思います。
私が読書記録をつけるきっかけとなったのは、ブログの一番最初の記事にも書いている通り、2018年の4月に顎下腺を摘出する手術で入院した時のこと。
唾石症…簡単に言えば、唾液を作るところに石が出来てしまったのです。
こういうやつ。
medical.jiji.com
普段は違和感もないですが食事などで顎を動かす際に激痛+耳下~顎下あたりが腫れるのが特徴的らしいです。
場所が場所だけにリンパ腺が腫れているのだと思って内科に何軒か通ったけれど一向に良くならず、高い初診料を払って市立病院に行ったら「リンパに異常がないので親不知では?」と言われて歯科に行き…。
歯科で親不知の炎症を抑える治療を行うも、また症状が酷くなったので問い合わせたら、今度は口腔外科を紹介され……そこで見つかったのが、唾液腺の中の石。1cmくらい。
自然に出てくることもあると言われて1年くらいは欠片の摘出くらいで対処していたものの、2018年1月中旬頃、ある日突然膿が出るレベルで腫れ上がり、激痛に苦しむようになりました。
どれくらい痛い、って、膿が出るようになるとロキソニンを飲んでも痛いレベル。でもロキソニンを飲まないと日常生活もままならない。
膿がどこから出るかというと、舌の下、唾液が出てくる穴から。お陰で食事もまずい。
どのみち腫れが引かないと手術はできないし、膿を抜いて(二度と嫌だ…)消毒して様子を見つつ、手術・入院ができる大きな病院を紹介されたのでした。
3月にギリシャに行くことになっていたのに!この時もう2月ですよ!?( ゚Д゚)
結局、ギリシャは抗生物質の頓服を持って行き手術は4月上旬に行う事になり…忙しいなぁ。
手術も入院も初めてだし、嫌だけれどロキソニン飲んでも食事の度に激痛で悶絶する毎日や、検査や膿を抜く時の激痛を考えたら「相手はプロだ。お任せします(真顔)」っていう気分にもなるものです。
私の場合は石が神経に癒着していたそうで、舌に顔面に痺れや麻痺が残ったりしたのですが、半年経過した今はほとんど気にならないレベルまで感覚も回復しています。
痺れや麻痺が一生続くのかとビクビクしてたものだけれど、そこまで心配しなくても良かったと思う(触ると違和感は多少あるけども)
10日にわたる初めての入院生活でしたが、何より「これだけは」と思っていたのが気が滅入らないように保つこと。スマホのゲーム(専らFGO)も長時間やっていると飽きる。その上Wi-Fiが使えない。
TVを観る習慣もないし、話し相手もいないし、そもそも手術後で舌が麻痺して会話できないので、「もう我慢できん!」とばかりに隠し持っていた1諭吉を院内のコンビニでiTunesカードに変えてガチャ玉砕やらかしたりしました(;^ω^)
それ以外だと、初めてドラマCD(FGO関連作の「蒼銀のフラグメンツ」)というものを聞いてみたけどドラマCDというコンテンツは私にはあまり合わないみたい。
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他には、ポータブルプレイヤーを持ってきたのでDVDを観る事も試してみました。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」。映画館でも観たけれどこのシリーズ好き。
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ならば中断によるエラーがない読書ならいいかな、でもどうせなら為になるものを…と思った結果。
古代ギリシャ関連の活動の教養になればと思い、キリスト教から見た古代ギリシャの祭儀や信仰などが解説された専門書「初期キリスト教の宗教的背景 上巻: 古代ギリシア・ローマの宗教世界」を読み始めて…
初期キリスト教の宗教的背景 上巻: 古代ギリシア・ローマの宗教世界
- 作者: H.‐J.クラウク,Hans‐Josef Klauck,小河陽,吉田忍,山野貴彦
- 出版社/メーカー: 日本キリスト教団出版局
- 発売日: 2017/03/24
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↑私が所属しているパフォーマンス集団「古代ギリシャナイト」
しかし、手術後の傷が痛くて全然頭に入ってこなかった…楽しい本ではないしね(;´・ω・)
入院中に友人の本が出版され、注文したものが家に届いたというので持ってきてもらって読んだりしました。
ギリシャ悲劇を翻訳・作曲、演じたり演出したりしている演出家・佐藤二葉ちゃんの「うたえ!エーリンナ」。
- 作者: 佐藤二葉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/04/12
- メディア: コミック
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メディア媒体が「連作4コマ漫画」なだけで、とても文学的な作品ですよ(*‘ω‘ *)
というところで、「読む気になるかはわからないが」と持ってきた本が「ジキル博士とハイド氏」と「フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス」だったわけです。
- 作者: ロバート・L.スティーヴンソン,Robert Louis Stevenson,田口俊樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/01/28
- メディア: 文庫
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- 作者: メアリーシェリー,Mary Shelley,芹澤恵
- 出版社/メーカー: 新潮社
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飛行機の中で「ジキル博士とハイド氏」を初読した直後に機内上映で「マイティ・ソー バトルロイヤル」を観ていて「ん?」と思ったのが調べるきっかけでしたから。
マイティ・ソー バトルロイヤル MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
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「フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス」は数年前に友人…上述の佐藤二葉ちゃんと「美女と野獣(ディズニーの実写版)」の話をしていた時に、話題にのぼった小説でした。「映画(1931年版)しか観たことがない」と言ったら「原作も読みなよ~」と言われて、「そのうちね」と言ったのを覚えていたのです。
ブルース・バナー博士&ハルクの元ネタが"「ジキル博士とハイド氏」と「フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス」のミックス"だと言われても、ブルース・バナー博士&ハルクと1931年版のフランケンシュタイン映画のイメージは全くかみ合わない。
だから元ネタの話を知って「いいきっかけ…かなぁ?」と思って本を買ったはいいけれど積読していたのです。
私は文学部を卒業しているけれど、高校~大学時代は古代ギリシャにばかりかまけて、ろくに名作を読んでこなかったし、卒業してからもそう。
「ジキル博士とハイド氏」を持ってきたのは飛行機の中で読んだ初読の感想が「思ってた話と全然違う…ジキル博士の遺書の内容が全然頭に入ってこない」、2回目の感想が「ジキルてめぇアタスンに謝れ!!(定型句)」、3回目が「……これもしかしてブロマンスなのでは?」………だったので、4回目はどういう印象になるのか試してみたかったのです。
えぇ、ええ!ブロマンス、良いですね!ジキルおじさんは"外面の良いクズ"だけど(*‘ω‘ *) ←最終着地点
ところが「どうせ嫌々読んで退院までに読み切れないだろう」と思っていた「フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス」が私の中でクリーンヒットしてしまっため、2~3日で読み終えてしまったのです。
表紙をめくった瞬間に私の愛読書である「失楽園」の一節が引用されていた時点でかなりテンションも上がっていたのですが…
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どうにも、「不可抗力の変身・異形化をする紳士」だけではなく、「優秀で世間知らずのお坊ちゃんが鼻っ柱を折られて怯えたり絶望したりする姿」も私のトキメキの琴線に触れるようです。
序盤である"大学生のヴィクター(21歳)が人造人間を作った挙句、怖くなって逃げだしたかと思ったら親友の目の前で失神して何か月も寝込んで親友に迷惑かける"というくだりで、「ヴィクターが可愛い過ぎて辛い」と本を勧めてくれた友人にLINEを延々と送りまくり……反省しています(;´・ω・)
そのお陰で「早く続きが読みたい!」という気持ちに満たされて、孤独な入院生活が急にキラキラしてしまったので、何となく私は「ヴィクターくんに助けられたのだ」と思っています。
しかしその結果、予想以上に早く持ってきた本を読み終えてしまったので、残りの入院生活に困る。
困った挙句に友人に電話をかけました。付き合いの長い友人であるとともに、友人の中で一番19世紀イギリスの小説に詳しそうな人。
電話した結果「ヴィクターくんが可愛い!(定型文)」は数回言った気がする。……反省はしている……。
舌の麻痺で上手く喋れなかったものの、話したのは他愛もない事。でも凄く救いになった。
その話の中で「もう手持ちの本がないが、病院の貸出スペースにある本があんまりない」という相談をしました。「候補を言うなら『オペラ座の怪人』か『ノートルダム・ド・パリ』なんだけど、病院の貸出スペースには現代小説しかない。…シャーロック・ホームズは見かけたのだけど、中学時代に読んだけど好きじゃなかった」と言ったら、「シャーロック・ホームズいいよ!」と言われ、シャーロック・ホームズのドラマ版の話を延々と……。
翌日、貸出スペースで「緋色の研究」を借りたのでした。古い本で、確か角川書店の翻訳だったと思います。
- 作者: コナン・ドイル,阿部知二
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- 作者: コナン・ドイル,えすとえむ,駒月雅子
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実際読んでみて、1~2日程度で読み終ってしまう程度には面白かったのです。
考えてみれば、私はシャーロック・ホームズは短編集しか読んだことはなく、その短編集の中での彼のクセの強さに苦手意識を持っていました。ヤク厨ですしね(・ω・;)「えっ逮捕とかされないのかな…」と子供心で思ったことがありますが、19世紀の感覚と現在の法律は全然違います。
ここで思ったのは、「中学時代は見聞が少なかった」という点でした。主人公のワトソンが元軍人で医者である、という点や、ロンドンの風景が描写されている点、人物たちの職業、等、現代で生活しているだけでは全然想像が出来ないものがたくさん出てくる。
その頃から比べると15年も経っているので、それなりに私も成長したのでしょう。
アマゾンで「オペラ座の怪人」を院内のコンビニに届けてもらった翌日、私は退院したのですが…。
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10日ほどの入院生活で色々と学び、様々なものと出会ったような気がしました。
その後、「ヴィクターくんが可愛い!」とテンションが上がり過ぎて一カ月にわたる不眠症を患ったり大変な騒ぎだったりしたのですが……まぁそれは私の特性の一部なので仕方がありません。
外に出る事が出来ない代わりに様々な物語を読んで冒険する生活も悪くはないかもしれない。
まぁそれは手術後の激痛が最初の2~3日で消失し、それから管が取れるまでが痛くて大変だったけれど、そのあとは比較的元気だったからでしょう。
とはいえ、外に出られるようになってしまうと、やっぱり外の方がいいと思いました。
退院後、「読書は続けよう」と思ったのもの、案の定、読書スピードはガタ落ち。それでも大学卒業以降、殆ど読まなくなった入院前よりは確実に読んでいると思う。
でも多分、この入院がなかったらブログも始めていなかったと思いますよ。
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電話に付き合ってくれた友人の著作。
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「冥府の花嫁」は佐藤二葉ちゃんの監修が入った作品です。
村岡恵短編集(1)「人狼執事と冥府の花嫁」 (crazybanana)
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