【読書】気分が落ち込んだ時、思い出す物語が(おまけ)

過去記事「気分が落ち込んだ時、思い出す物語がある」の続編です(・ω・;)
snow-moonsea.hatenablog.jp

彼の名はグレゴール・ザムザ。
フランツ・カフカ「変身」の主人公。
家の借金を返し、将来の妹の学費を稼ぐために身を粉にして働く、ブラック企業にお勤めのよく訓練された社畜であり、ある朝目が覚めたら毒虫に変身していた青年。
（でも個人的主観では本当に毒虫に変身しているのではなくて「統合失調症かなー(;´･ω･)」と思っている）

そんな「気分が落ち込んだ時に思い出す物語」について翻訳違いやコミックスについて軽くおまけ。

私が持っているフランツ・カフカ「変身」は新潮文庫版を持っていますが…

変身 (新潮文庫)

青空文庫でも読むことができます。
www.aozora.gr.jp

個人的には新潮文庫版を推したいところです。
…というか、私が電子書籍が苦手です( ﾟДﾟ)＜ 紙の本がいい

短い小説なので出来れば原作を読んで欲しい所ですが…
どうしても活字アレルギーだという方には「変身」に関しては「まんがで読破」シリーズも割と良かったです(*‘ω‘ *)

変身 (まんがで読破)

…が、一応私の主観ですが注意事項。

元々「まんがで読破」シリーズは脚色・アレンジシーンが多い作品が多い印象があります。
なので申し訳ないけれど、「原作のストーリーを知りたい」という人にお勧めするのは自称・原作原理主義者の私としては少々心苦しくなることもあるのです。
Amazonのレビューでも色々な意見が飛び交っている通り、このシリーズはシリーズ全体がどうか、というよりは作品ごとに判断した方が良い気がしています。
（…だから、うーん…「ジキル博士とハイド氏」のまんがで読破版を買うかどうか凄い悩むのです…あの素敵なブロマンスを漫画で読んでみたいけどあまり原作には忠実じゃないとレビューで書いてあるし…）

「まんがで読破 「変身」」に関しては、原作の一文から発展させたと思しきアレンジシーンが半分くらい入っていて、原作に存在しない登場人物がキーパーソンのように登場します。
…盛られている( ﾟДﾟ)

でも、個人的にはテーマそのものについてはそこまで大きくブレていないように感じました。
グレゴールが身を粉にして働いていた時系列から始まり、本文の有名な一節、

「ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。」

のシーンは漫画の真ん中あたりから始まります。

原作でグレゴールが”自分の置かれていた状況（親の借金を返すために働いている、妹を音楽学校に行かせてやりたい、親は息子が働くのに慣れてしまい借金を返す為に働いてるのに感謝もされない等）”について説明していくのは、虫に変身した後の文章なので、過去の出来事として扱われています。
漫画ではそれを時系列順に並べ直しているので、"何故グレゴール兄さんは虫の姿で目を覚ましたのか"というそもそもの問題を考えやすくなるかもしれません(*'ω')

少なくとも、私が原作を読み「グレゴール兄さん…統合失調症だったのでは…( ﾟДﾟ)」と思った後でこの漫画を読んだ時、何となく「そっちの方向で考えてる人って私だけじゃなさそう」、と思ったという経緯があってこの本を紹介した次第なのですが。

とはいえ、この作品については先日友人に聞かされた"小説の形態だからこそ力を持つ物語"に分類されるのではないかな…と最近思うに至ってきました。
それについてはまた別の記事を立てようと思います。

…しかし、友人からおすすめされた「変身」の、漫画でも小説でも、ましてや映画や舞台でもない表現方法として、ある意味傑作だなと思ったのがこちらです。
一瞬で読めるので読んだことがない方は是非。

楽●市場 商品広告風「変身」です。
portal.nifty.com

グレゴール兄さーーーーん(;´･△･)

……こうして、
残念ながらグレゴール兄さんの悲壮感はログアウトしました。

蛇足ですが、まんがで読破の話が出たので、まんがで読破「失楽園」もおすすめしてみます。
原作ダイジェスト版って感じで、稀に見る翻案系の作品より原作に忠実で良いものでした！

「失楽園」は叙事詩の為、読みなれないとなかなか難しい部分が大きいですが内容をザックリ知りたいという場合はこちらをお勧めいたします。

失楽園 (まんがで読破 96)

失楽園の原作はこちら。

失楽園 上 (岩波文庫 赤 206-2)

失楽園 下 (岩波文庫 赤 206-3)