海に浮かぶ月のはしっこ

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【観光】英国一人旅 2 / ロンドン市内観光バスツアー 5月24日・午前編

人生をリセットするための初めての文学聖地巡礼一人旅、二日目…。

5月末、20時になっても日の沈まない街、ロンドンで迎えた最初の朝。
長くなってしまったので前編です。

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【観光】英国一人旅 1 / 旅立ち、そして20時でも日の沈まない世界へ 5月23日

私が一人旅をしようと思ったのは、黒に限りなく近いグレーの会社を辞め、そこから新しい人生を歩むためのターニングポイントにするため…

そして
英文学聖地巡礼をするためだ!!!!

それこそめっちゃくちゃに準備を重ね、いよいよ訪れた出国の日。…早かったような、いよいよのような…。
準備に悔いは残っていない。
だからきっと旅に悔いも残らない。

そう思いながら、当日の朝を迎えたのです…。
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【観光】英国一人旅 0 / 準備~前日の、そわそわ 5月22日

私が一人旅をしようと思ったのは、黒に限りなく近いグレーの会社を辞め、そこから新しい人生を歩むためのターニングポイントにするため…でした。

古代ギリシャ好きとしてはそれをあえて「カタバシス(冥界下り)」と呼びたい。冥界へ降りる行為は死そのもので、地上へ戻る行為は蘇りです。死と再生…行って帰って来る行為はそういう意味があります。
私は今までの嫌なものを全部現世に置いて、新しい人生を歩きたかったのです(╹◡╹)

そのための、ターニングポイント。
自分に自信と度胸をつける為の試練。一度死んで生まれ変わる為の大きな試練。

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【雑記】ロンドンから帰国しました

黒に限りなく近いグレーの会社を退社し、気持ちの切り替えというか…新しい人生を始める為の通過点として挑んだ初めての海外一人旅。

本当に…
これ以上ないってくらい、最高の旅でした。

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この思いをどう文章にまとめていいのか分からなくなるくらいの多幸感。何をするにも最高でした。
そして、帰国後にラインのやり取りをしていた友人から言われた「月ちゃんの羽化って感じだ!」という言葉も滅茶苦茶嬉しかったです。

一皮むけたって意味だと思いますが、それを目指しておりましたので……


時系列別に並べて、それから蛇足になる事を分けて書いていこうかと思います。そうしないとごちゃごちゃになりそうなので。

ではひとまず御報告まで。

関連記事

観光予定メモ フランケンシュタインとテムズ川クルーズ編

ロンドンに流れるテムズ川
アサシンクリードシンジケートでテムズ川をと思った時はその底の見えない茶色い濁った水に「きっ、汚…!!」と思ったものです。
でも主人公姉弟は、町の平和を守り任務を遂行するためなら躊躇なの川に飛び込んで見せる……アサシンのプロ意識凄い。

調べてみると、産業革命を迎えた19世紀後、テムズ川は環境汚染で最高に汚かったそうな。
当時のロンドンはテムズ川を使って海から内陸への運搬を行う港町の役割も担っていたそうですが…「大悪臭」と呼ばれるほどのひどい臭いの川…ううーん、こんなところ飛び込みたくない……。


ロンドン観光のヒントやオプションツアーなどを見ると「テムズ川クルーズ ディナー付き」などの文字をちらほら見かけます。

アサシンクリードの茶色というか灰色というか褐色の川の水を思い出しながら)
「えっあの川の上で食事を…??」と思ってしまったのですが、調べてみたら現在は環境整備で浄化に成功していて、都市を流れる川としてはかなり綺麗な川になったらしい。
イメージとしては東京湾みたいな感じなのかも。


今回のロンドン旅行の大事なキーワードの一つに『フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス』がありますが…一応おさらいも兼ねて。

現在よくイメージされている四角い頭にボルトが刺さった継ぎ接ぎだらけの怪物をフランケンシュタインと思っていらっしゃるなら、それは今忘れてください(╹◡╹)
(これはユニバーサルスタジオジャパンにいたフランケンシュタイン

フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス』は1818年のイギリス文学で、当時まだ10代の女流作家メアリー・シェリー女史の処女作です。読めば読むほど深みがあるので、200年経っても世界中で愛され続けているのも当然…だと思いますが、残念ながら私も原作を読むまで、30代くらいの狂気の科学者が生みだしたボルトが刺さってる継ぎ接ぎだらけの怪物が風車小屋で焼け死ぬ胸糞な話だと思ってました。

けど、実際は天才大学生のヴィクター・フランケンシュタインが人造人間を作ってしまい、怖くなって逃げ出してしまった事から始まるホラーで、でもヴィクターのあずかり知らぬところで滅茶苦茶に賢く育った人造人間が「誰にも愛されず、我が創造主もおれを拒絶するなら自分を愛してくれる花嫁作ってくれ」と要求してくる…という物語。
個人的にはこのヴィクター・フランケンシュタインが自分の天才的な能力に全く精神が追いついておらず、追い詰められて苦悩して誰にも相談できず抱え込んで苦しんでしまう姿が、あまりに情けなくて可哀想で可愛いと思っております(°▽°)

そう、そして彼が近代SF小説におけるマッドサイエンティストの祖と呼ばれる天才大学生なのです。ヘタレですが。


ヴィクターくんが人造人間(名前なんてない)に花嫁を作るように脅迫された後、家族を巻き込むわけにはいかないと友人のクラーヴァルを連れてイギリスに旅に出ます。
その時に使ったルートが、馬車で陸路→船で海路→テムズ川を通って船の上から各地を眺め、ロンドンの中心部に滞在する…というもの。

今作を通して知り合った友人がこのイギリス旅行のシーンが大好きだと言っていたのでしげしげと眺めると、人造人間に脅迫されてることを思い出してはテンション撃下がりのヴィクターくんを励ますように話しかける友人クラーヴァルとの人間関係が浮き彫りになりますね。
私はクラーヴァルとのやりとりでは、人造人間が目覚めた時の恐怖で寝込み、学校に行けなくなっていたヴィクターくんが久々に大学に行った時の教授と会話するシーンがお気に入りなのですが…。

どちらのクラーヴァルも、ヴィクターくんのことを気遣って気を利かせて何でもしれてくれるけど、ヴィクターくんの悩みには一切触れないし「話してくれるのを待ってる」んですよね。
結局、その日は来ないけど…。


そんなヴィクターくんとクラーヴァルがロンドン周辺の観光地を眺めるのはテムズ川の船の上。
ヴィクターくんの生きた時代は、設定上では1700年代なのでまだテムズ川は綺麗だったはず。きっと今テムズ川をクルーズしたら、ヴィクターくんの見た景色に近いものが見られるかもしれません。街は当然変わっているでしょうけど、テムズ川から見るロンドン塔やセントポール大聖堂なら、きっと同じ。

テムズ川のクルーズも催行会社によって色々な種類があるようで、前述のお食事付きプランの他にオーディオガイド付きの観光客向けのクルーズ、地元の人は水上バスを使うらしいです。

私が申し込んだのは観光客向けのクルーズ。
流石に時間的な問題で、現在のクルーズ経路の最東に位置するグリニッジから出発することはできなかったので、もう少し西のロンドン塔からビッグベンまで。
この船旅でヴィクターくんの見た景色を体験できますように。

観光予定メモ ブループラークとジョンミルトン先生のお墓参り編

計画を練る時に知ったのですが文学旅と一言で言っても色々とやる方法はあるようで、私はどうするか迷いましたね。

結局私は物語に登場する場所を実際に訪れることにしたのですが、やり方としては「ブループラーク」などの記念碑を追いかける方法もあるそうです。
ブループラークとは著名人、作家などの所縁の地につけられている記念プレートのこと。青くてマンホールみたいな形をしていて、多くは建物の壁に貼ってあるみたい。

例えば、ロバート・ルイス・スティーヴンソン氏のブループラークは彼が作家活動をしていたエディンバラにあるそうです。彼は晩年、体調改善のためにイギリスを離れて南の島で暮らしたそうですが……都会の暮らしに疲れてしまったのかもしれないなぁと何となく感想。
元々『ジキル博士とハイド氏』は彼が悪夢に魘された後で取り憑かれたように書き上げた一作で、確かに象徴されているものと当時の社会の様子を読み比べてみると社会風刺っぽい話(いくら取り繕っていても皆何かしらの悪意は持っていて、自分の中のそれに気づかないフリをして生活しているだけだ…みたいな感じでしょうか)ですし、「人間関係に疲れたのかなぁ…」と勝手に想像してしまいます。
エディンバラも栄えた町だそうなので。


ブループラークや記念碑の場所はネットで調べることができますが、『フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス』のメアリー・シェリーの記念碑で、なおかつロンドンから行けそうで観光地も近くにある範囲はバース。
でもバースも行って帰ってくるだけで一日費やしてしまうような観光地です。

バース…つまり、バス。風呂。
ローマの風呂の遺跡があるそうで、その周辺は観光地として賑わっているみたい。
でも今回の目的とそれてしまうし、せっかくロンドンに宿泊しているのに記念碑を見に行くためだけに貴重な自由行動を片道1時間半〜2時間のバス旅にしてしまうのもなんか勿体無く感じて、諦めたのでした。


今回の旅で唯一絶対行きたいリストに入っているのはジョン・ミルトンの記念碑。
ジョン・ミルトンは『失楽園』の作者。

ブループラークを調べている時、彼の墓地がロンドンにある事、またその近くに彼の生誕した教会があってそこにブループラークがある事がわかったのでそこには行ってみたいと思っています。場所もセントポール大聖堂のすぐ近くで、観光しやすそうなので^_^

失楽園』は私にとってとても大切な作品で、全ての始まりでした。
美術書の中に出てきた『失楽園』という作品名からたどって、高校生の時に初めて出会った叙事詩
これがあったから『失楽園』の例え話や描写で多用されている古代ギリシャの世界観にハマり、古代ギリシャ好きの友人と長きに渡る付き合いをさせてもらっていて、そこで出会った友人に10年後に勧められたのが『フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス』なのです。彼女と仲良くなったのも『失楽園』を読んだことがある、という事から話が弾んだからだったり、『フランケンシュタイン:或いは現代のプロメテウス』にも物語の象徴的として引用が多用されている。

私にとって『失楽園』は私の人生に大きく影響する作品なのです。
だからこそジョン・ミルトン先生のお墓参りには行きたい。感謝を伝えたくて。

「夢は夢のままでいいかも…でも夢を叶えるチャンスがあるなら、叶えるでしょう?」と思って参加した去年のギリシャ旅行にも私と古代ギリシャを結びつけた大切な作品として『失楽園』の上巻をバッグに忍ばせていきました。
もちろん今回も^_^

もし次回があるなら、ミルトン先生の生まれた家も見学してみたい(見学できる期間は決まっているらしい)。


ブループラーク巡りも散歩をしながら集めるのはなかなか面白そうですが、今回は優先事項ではありません。
でもせっかくだから、見かけたら注意深くみてみるのもいいな。

観光予定メモ リージェンツパークとソーホー編

割と行く場所を決め始めて早い時期に、「リージェンツパーク」と「ソーホー」は絶対に行くリストに上がっていました。

この二つのスポットは、ロバート・ルイス・スティーヴンソン『ジキル博士とハイド氏』に登場する地名で、物語のキーになる出来事が起こる場所だからです。


物語の中に出てくるソーホーは歓楽街ですが、暗くていかがわしい雰囲気の、いかにも治安が悪そうな場所。
ここにハイドの隠れ家があって、物語の導き手であるガブリエル・ジョン・アタスンが警察と一緒に家宅捜索をしたところ、燃やされた小切手や、ハイドが議員を殴り殺した時に折れた杖を発見します。
しかもこの杖、アタスンがジキルおじさんへのプレゼントだったものなんですよね。なんてエモい。。。

ちなみに、一応訂正しておきますが、ハイドが殺したのはこの議員だけです。
少女を踏み倒した事件もありましたが、何となく染み付いているシリアルキラーのイメージは映画化された時にジャックザリッパーのイメージがつけられたからみたいですね。その時のハイドの名前はジャック・ハイドというそうですが。(原作はエドワード・ハイド)
また二重人格モノの代名詞扱いをされている作品ですが、原作ではあまりハイドは独立した一人格というわけではないので、ジキおじの時もハイドの時も感覚や記憶は共有しています。自作の薬を飲むと不気味でチビな若者に変身できるおじさんが昼は慈善活動、夜はヤクをキメて大暴れする話です。
(我ながら酷い解説…)


リージェンツパークはもう少し先の時系列で登場します。
ハイドが失踪し、ジキルおじさんが慈善活動に精を出すようになって平和が続いたある日、リージェンツパークのベンチで日向ぼっこをしていたジキルおじさんが自惚れに浸っていると突然ハイドの姿に変わってしまい「えっ何で!!!??薬はもうやめたのに!!?!?」とパニックになるシーンですね。
いや、それね、薬物依存症のフラッシュバックって言うんですよおじさん…。

リージェンツパークはメリルボーン地区の近くにある大きな公園で、メリルボーン地区は高級住宅街だったのだそう。


明石書店『ロンドンを旅する60章』に「41章 大英帝国の光と影 ージキルとハイドのロンドン」という項目がありますが、このコラムではこの2つの場所を対比して解説しているのでなかなか面白かったです。


現在のソーホーも歓楽街だそうですが、何となく新宿歌舞伎町とかのイメージなのかしら?と勝手に想像しています。近くにチャイナタウンもあるようなので…横浜中華街を足して二で割った感じかしら?
5月24日は別途申し込みした現地ツアーで、夜のソーホーを歩き夕食を食べるそうなのでワクワクしていますが、ハイドが隠れていた何となく薄気味悪くて小汚いイメージは現在にはないのではないかと考えてます。

リージェンツパークはその中にあるクイーンメアリーズローズガーデンがもしかしたら咲いているかもしれないのでそこへ行ってみるつもりです。
リージェンツパークは演劇が行なわれることもあると聞いているので、何となく代々木公園を想像しています。
朝早く行って、シートを広げてみたり、ベンチで日向ぼっこしたりしたいです(^^)
130年前よりは、やっぱり少し違う景色なのでしょうけれど…。


23日、ロンドンに到着して驚いたのはその日の長さ。9時半になっても明るいんだもの。

緯度が高いせいなのでしょうけれど、なんだか不思議な世界…